猫の歯が抜けた・折れた場合に考えられる原因や病気、応急処置を獣医師が解説

猫の歯が抜けた・折れた場合に考えられる原因や病気、応急処置を獣医師が解説

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猫の歯は生後2週間から1カ月の間に乳歯が生え揃い、さらに3カ月から6カ月の間に永久歯に生え変わります。この生え変わり以外の理由で歯が抜ける場合は、対応が必要です。今回は、猫の歯が抜けたり折れたりした場合に、症状別に考えられる原因や病気、対処法を白金高輪動物病院・中央アニマルクリニック顧問獣医師の佐藤が解説します。

猫の歯の生え替わり時期における注意点

ねこ

歯の生え替わりの時期、歯がむずむずしてよく噛むようになります。ほとんどの場合、生え替わりが完了すれば噛むことはなくなりますが、もし噛みグセになりそうだったら、噛んだ瞬間に床を叩いて大きな物音をたてるなど、噛むと嫌なことが起こると学習させ、しつけるようにしてください。さて、生え変わりによって歯が抜けるのは問題ありませんが、それ以外の理由で歯が抜ける(折れる)場合は原因があります。それぞれ主な原因と病気を見てみましょう。

猫の歯が急に抜けた・折れた場合に考えられる原因と病気

歯周病

病的な原因で歯が抜ける場合、最も多いのが歯周病です。歯周病のその他の症状としては、歯茎が赤く腫れて歯肉炎になっていたり、口臭が強かったりします。歯石が付着していたり、歯がグラついたりすることもあるので、そうなる前に歯のケアをこまめにしてあげましょう。また、歯肉炎の原因として全身性の病気が潜んでいる場合もあります。

ケガや事故

歯が折れる原因としては、圧倒的にケガや事故によるものが多いです。この場合、歯以外の口内には異常がない場合も多い半面、思わぬ大ケガや出血が隠れていることもあるので、念のため体の他の部分にも注意してあげてください。

破歯細胞性吸収病巣

歯の一部が溶け、そこから折れてしまう病気です。この場合、歯茎の中に折れた歯の根っこだけが残ってしまう可能性もあるので、注意が必要です。歯が露髄(ろずい:歯の中心の、神経や血管の通り道が露出すること)し、出血していないか観察してあげてください。この場合は、すぐに動物病院で診てもらいましょう。

猫の歯が抜けた・折れた場合の応急処置・予防ケア

猫の歯が抜けた場合

歯が抜けてしまい、すぐに病院を受診できない時には、猫の口を開けて患部を確認後、その部位の歯茎をやや強めに圧迫して止血を止めてあげてください。圧迫するものとしては、家にある綿棒などで血が出ている部分を直接押さえつけてください。血が出なくなるまで、しっかりと圧迫してください(歯肉炎や歯石の付着が重度の場合は、口を触られること自体を嫌がることも多いため、注意が必要です)。 また、ご自宅に口腔内の人間用消毒液があるようでしたら、綿棒の先などに消毒液をつけて、歯が抜けた部位の歯茎を消毒してあげても良いでしょう。動物には強すぎるものもあるため、あくまでも一時的な応急処置です。

猫の歯が折れた場合

このケースでは、痛がっていないか、折れた部位から出血していないかをよく観察していただき、すぐに動物病院を受診してください。折れた部位が露髄している場合には、即座に治療にうつれるかどうかで、歯自体を残せるか、抜歯が必要になるかが変わってしまう場合があります。

両方

歯が抜けた(折れた)直接的な原因が分からない場合は、事故などによってケガをしてしまった可能性もあります。他にも外傷を負っていることもあるので、体のその他の部位にもケガや出血がないか、よく観察してあげてください。また、ご自宅にエリザベスカラーをお持ちであれば、つけてあげることで、掻いたりすることでの出血や口腔内のケガを予防できますので、着用をおすすめします。

猫の歯が抜けた・折れる前に日頃から歯磨きケアを

ねこ

人間も犬も猫も歯は大切です。猫は幸い歯が抜けても食事に影響はありませんが、歯がないのはやはり悲しいことです。日頃からできる限り猫の歯のケアをしてあげるようにしましょう。