犬の鼻が乾燥(乾く)しているのは大丈夫?原因や考えられる病気を獣医師が解説

犬の鼻が乾燥(乾く)しているのは大丈夫?原因や考えられる病気を獣医師が解説

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犬は健康な子もお鼻が濡れていることが一般的です。ただし、いつでも濡れているわけではなく、一日を通して乾いている時間帯もあったり、時には乾いていることが病気のサインの場合があります。どんなことに注意すべきなのか、普段は何を見ておけばいいのか、一緒に見ていきましょう。今回は犬の鼻が乾いている場合の理由や考えられる病症などについて、かどのペットクリニック院長の葛野が解説します。

犬の鼻が乾燥する理由 健康な場合 眠い・加齢
病気の場合 発熱や脱水症状、皮膚疾患など
危険度 低。著しく乾燥が長びく場合は動物病院での受診をおすすめします。

犬の鼻が濡れている理由

犬

まず犬の鼻は、人間と同じく、呼吸やにおいを嗅ぐために使われます。ただ、ご存じの方も多いと思いますが、犬の嗅覚は人間と比較してもはるかに優れていて、わずかなにおいでも感知することができます。

犬の鼻の表面は、人間と異なり湿っていて、触るとヒヤッとすることもあります。これは病気ではなく、健康な子でも犬の鼻は濡れていて、実は理由として「よりにおいを感じやすくするため」「呼吸する際に、吸い込んだ空気にちょうど良い湿気を与えるため」などの理由があるといわれています。

ただし、鼻水などで過度に濡れている場合は体調不良などが疑われます。また反対に乾いていると病気が疑われるケースもあります。

犬の鼻が乾燥している状態とは

横になっている犬

触ってみて湿り気がないと「乾燥している」といえますが、触ると「ポロポロしている」、目に見えて鼻が「割れている」「皮が剥けている」などが挙げられます。

特に「ポロポロしている」ことは長期間の慢性的な乾燥を示しているので早急に病院で対処してもらいましょう。

他に犬の鼻が「かさぶたのようになっている」「白くなった」という主訴で乾燥を心配する飼い主さんもいらっしゃいますが、かさぶたの場合は外傷、白くなった場合は細胞が入れ替わって、色素が薄くなったことを示している可能性があります。

犬の鼻が乾燥する原因

寝ている犬

犬の鼻が乾いているかといって病気とは限りません。「病気ではない場合の原因」と「病気の場合の原因」をそれぞれ紹介します。

病気ではないもの(生理的なもの)

  • 加齢
  • 眠いとき

病気ではないものの原因として挙げている「加齢」や「眠いとき」ですが、加齢により皮膚の水分量が減ってかさついてきたり、眠さにより体温が上がる際に鼻が乾燥したりしているように感じることがあります。

これらの病気では無い場合はずっとではなく、一日を通して乾燥している時間帯が長かったり、乾く頻度が増えてくるため、飼い主さんも「乾いているのでは?」と気づくことが多いといえるでしょう。

病気の可能性があるもの

  • 発熱
  • 脱水
  • 鼻汁・出血
  • 皮膚疾患(角化症や免疫が関係するもの)

病気の場合、脱水と関連しますが発熱により脱水も伴い体温が高くなり鼻が乾いてしまっている場合、発熱の原因の対処や脱水を補ってあげる必要が出てきます。

脱水は下痢や嘔吐など必要な水分を出しすぎてしまったときになる可能性が高まり、熱中症や腎不全で腎臓の機能が衰えている場合などにも起こり得ます。

また、鼻汁や出血で血液が付着しているときなども鼻の皮膚表面の乾燥が進んでしまう場合があります。色の薄い鼻汁などは付着しているかどうかわかりづらい可能性がありますが、よく舌で舐めとろうとして鼻をよくペロペロとなめるような仕草をすることもあるので、鼻の表面だけで無く犬の行動なども合わせて判断してみると良いかもしれません。

そして次に、非常にまれなケースではありますが、免疫が関連した皮膚の疾患で皮膚の表面がかさぶたのように剥がれる天疱瘡という病気もあります。

この病気は鼻も起こりやすい部位の一つであるため、乾燥していたり、皮がむけてしまっていつもと違う状態になっていると感じた場合、速やかに動物病院を受診した方がいいでしょう。

犬の鼻が乾燥しているときの応急処置

鼻をペロっとする犬

では、鼻が乾燥しているのを見つけた場合、お家でできる応急処置はあるのでしょうか?前述した病気の場合は、すぐに病院を受診し鼻の乾燥の原因を突き止め、その原因を解決することが一番の対策になります。

「元気が無い」「食欲が無い」「体がいつもより熱く、熱っぽい」などある場合、病気の可能性は高まるので、かかりつけの先生に連絡を取り、受診の相談をした方が良いでしょう。ここでは、状況に応じた応急処置を紹介します。

食欲が無い場合や水分をまったくとらない場合

動物病院での受診までの間に、好物のおやつやPETOKOTO FOODSのようにフレッシュタイプのごはんをあげると良いでしょう。

「元気や食欲がない」「水も飲まない」という場合、脱水症を起こしている可能性があります。受診までに時間がかかる場合、上記のような食べ物や鶏肉でだしを取って少し風味をつけたスープ(味付けはしなくて大丈夫です)で水分をとったりご飯を食べてエネルギーをとれるか試してみても良いと思います。

それもできない場合、動物病院での点滴が必要な可能性が高いでしょう。受診の際に、試した旨も伝えてみて頂けると、診察がスムーズになる可能性が高いです。

体が熱く、発熱や熱中症が疑われる場合

体を冷やしてあげましょう。

夏場などの熱中症が原因となる体温の上昇が疑われる時や他にも風邪や何かの炎症などによる発熱が疑われる場合、体を冷やしてあげるなどの応急処置も有効です。

脇の下や、首など、太い血管が走っている部分を保冷剤をタオルで巻いたものなどで冷やしてあげても良いと思います。また、夏場などの場合は通気や室温を下げることも同時に行うと良いと思います。

皮膚疾患が考えられる場合

前述の皮膚病が関連する場合、脱水などと異なり命の危機に直結する可能性も低く、まれなケースではありますが、痒みや痛みを伴うこともあるので、負担を与えないようにしてあげるためにも、早めに受診をした方が良いでしょう。

病気である可能性が低そうな場合

  • 保湿クリーム(自然性)を塗る
  • 水を飲ませて様子を見る

ワセリンやヘパリン類似物質などの保湿性のあるクリームを塗ってみたり、まずは脱水症状を起こすまでは至らないとしても、水分不足に陥っている可能性はあるので、水を足してあげたり、なかなか水を飲まない子には前述のように風味をつけた水分を与えてみましょう。

これらで改善されずに続くようであれば、何か乾燥の原因となる病気や体調不良などが隠れている場合もあります。その際は動物病院で受診をするようにしましょう。

犬の鼻が乾燥は病気の可能性があることも頭に

笑顔の犬

このように、接していて気づきやすい鼻の乾燥ですが、実は重大な病気や体調不良のサインであるかもしれません。

いろいろな病気は怖いなと感じますが、日頃からお家の子の鼻の濡れ具合や、乾燥するタイミングなどをコミュニケーションの一環としてふれあいながら把握できていると、普段と少しでも違った際に、いち早く気づくことができるでしょう。

重大な病気を、少しでも致命的にならないようにするには、少しでも早く気づき、少しでも早く適切な処置をすることが大切です。普段から健康管理の一つとして、気をつけていけたら良いですね。

参考文献

  • 山根 義久 「イヌ・ネコ家庭動物の医学大百科」ピエ・ブックス,2006/4/21
  • 永田 雅彦 「普及版 犬と猫の皮膚科臨床」ファームプレス,2008/7/1


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