【猫の写真の撮り方】ケニアドイさんが教えるスマホカメラの撮影テクニック

【猫の写真の撮り方】ケニアドイさんが教えるスマホカメラの撮影テクニック

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猫の魅力を最大限に引き出すカメラマンたちに、その技を披露していただく連載「猫の写真の撮り方」の第2回は、スマホカメラでの撮影がテーマ。「インスタ映えする写真を撮るためには一眼レフがないとダメなの?」と思っている方もいると思いますが、高い一眼レフを持っていなくても、スマホだって工夫次第で良い写真を撮ることができるんです。今回も先生は、黒の背景色で撮る犬猫の素敵な写真「ドイブラック」で知られるケニア・ドイさん。そして被写体は、ネコリパブリックお茶の水店の保護猫たちです。


ケニア・ドイさん
ケニア・ドイさん

――ドイさんは普段スマホで撮影することありますか?

    ドイ:うちの猫はスマホで撮りますよ。ビビリなんで一眼レフを出すを怖がっちゃうんです。だからスマホでしか撮れない。そういう理由もあるんですけど、スマホの良さは手軽さにあるんで、すぐSNSにあげたいときはスマホで撮りますね。

やはり「弘法筆を選ばず」。プロもスマホをうまく使って撮影しています。どんなことに気を付けて撮影すればスマホのカメラでも良い写真が撮れるようになるのでしょうか。今回も三つのポイントに分けて解説していきます。

  1. 上から撮ってみる
  2. 構図を意識する
  3. 狙いで魅せる

上から撮ってみる

前回の一眼レフ編では、「上から見下ろすのではなく、低くカメラを構えて猫目線で撮影する」という話をしました。でも、それは「見下ろして撮るのはダメ」という話ではありません。上から猫を撮ると、顔と体が直線状になって体が隠れてしまい、伝えられる魅力が限られてしまうというデメリットがあるためです。

そのため、そのデメリットに左右されないような撮り方をすれば、上から撮っても良い写真が撮れるんです。実際に、ドイさんに上から撮影していただきました。

ケニアドイさんがスマホを使って真上から黒猫を撮影する様子

皆さんはドイさんがどんな写真が撮ろうとしているか想像できますか?

一眼レフだと猫の高さが上がれば上がるほどファインダーを覗くのが難しくなりますが(そのため画面の角度を変えられるチルト機能やバリアングル機能の付いたカメラがオススメです)、大きな画面を見ながら撮影できるスマホのカメラは、一眼レフより見下ろした写真が撮影しやすいと言えます。

答えは、こちら。

ネコリパお茶の水店のクロベエくん

体は隠れてしまっていますが、そのデメリットは気にならないですよね。それより左半分や右下など、上に向かう線のインパクトに目がいくはずです。下から上に迫ってくる感じが目線と重なり、何かを訴えかけるような顔の表情が強調されて見えると思います。

また、今回はInstagramを意識してスクエア(正方形)で撮っていただきましたが、椅子の上部や側面のスクエア、部屋の隅にできたスクエアなど、さまざまな線が1枚の写真から見つかると思います。幾何学的な美しさがありますよね。ここもポイントで、撮影の際に縦・横・斜めの線を意識することで、より芸術性の高い写真が撮れるようになります。

ドイさんの「ここがポイント」

ケニア・ドイさん 僕のカメラ教室でスマホ講座もやるんですが、まず「グリッドを出してください」と教えます。意味もなく傾いている写真を撮りがちな方は、特に注意が必要です。これは一眼レフでも同じです。僕は水平・垂直をちゃんと撮りたいので、そういうときにグリッドが役立ちます。


構図を意識する

次は構図です。まずはドイさんが撮影した写真を見てください。

ネコリパお茶の水店のマナちゃん

黒の背景に黒猫を重ねるというドイブラックの一端を垣間見るような写真です。構図としては一般的には被写体がど真ん中に来る「日の丸構図・日の丸写真」と呼ばれるもので、ドイさんいわく「日の丸写真はダメな写真だと言われてたけど、1周回るとokになってくる」とのこと。

ドイさんは1周しているからいいんですが……。日の丸写真を撮りがちな方は、ぜひこれから紹介する構図に挑戦してみてください。

まずは、ちょっと後ろに引いて撮った写真です。

ネコリパお茶の水店のマナちゃん

先ほどの日の丸写真からちょっと引いただけなのに、だいぶ印象が変わったと思いませんか? 先ほどは猫ちゃんがどこにいるのか状況がわかりませんでしたが、少し引いたことで窓に付いたハウスにいることがわかるようになりました。「黒猫だけ」から「黒猫とハウスと窓の外」と要素が増えたことで、見る側が受ける印象も一つでは無くなったと思います。

個人的な感想ですが、右側の吸盤の印象が強く、「この吸盤がマナちゃんの重さを支えているのか」と考えると、猫ちゃんのリアルな存在感が増すように思いました。ここら辺は見る人によっていろいろなストーリーが生まれると思います。

次に、もっと後ろに引いて撮った写真です。

ネコリパお茶の水店のマナちゃん

今度は左側のスペースが空いたことで、部屋の様子がわかるようになりました。ほぼ同じ位置で同じ被写体を撮影していただきましたが、距離を変えることでこれだけの変化が出ました。いつも日の丸写真になりがちな方は、少し引いてみる。逆にいつも引いた写真を撮りがちな人はグッと近付いて撮ってみると、撮影の幅が広がると思います。

ドイさんの「ここがポイント」

ケニア・ドイさん 僕は「ポストカードにする」「ポストカードにできるクオリティーで撮る」ということを意識していて、撮る前に「どこから撮るか」っていう絵作りが始まっています。そのイメージを淡々と切り取っていく感じです。

初心者にありがちな失敗として、「背景にこれ写ってなければいいのに」ってのはよく感じます。やけに生活感漂うものが写ってたりとか。そういうのは「惜しいな」と思って気になります。あとは基本的なところでピントが合ってない写真ですね。そういうのは許されないと思ってSNSにアップしないことです。失敗を意識することで、良い写真が撮れるようになります。


狙いで魅せる

最後はスマホカメラの手軽さを生かした撮影です。「あ、あくびしそう」「あ、手伸ばしてる」と気付いたらサッと取り出して撮影できるのがスマホカメラの良いところですよね。

ネコリパお茶の水店のマナちゃん

ネコリパお茶の水店のマナちゃん

サッと取り出してサッと撮らなければいけないのですが、ここで先ほどの構図も意識して撮れると、ワンランク上の写真が撮れるようになります。また、スマホなら猫ちゃんに対して一眼レフほど圧迫感がないので、そーっと近付いて撮れるのも良いところ。

ネコリパお茶の水店のカナちゃん

ドイさんは先ほど黒背景で黒猫を撮影していましたが、それは上級編。まずは、黒と白のコントラスト(対比)で撮るのが基本です。

ネコリパお茶の水店のマロンちゃん

猫が寝てる姿をそのまま撮るのではなく、「意図して余白を作る」というのも意識してみましょう。

ドイさんの「ここがポイント」

ケニア・ドイさん ただ単に撮るんじゃなくて、意図を持って撮ったほうがいいと思いますね。見た人が「これを狙ってるんだな」ってわかるような写真のほうが面白いんじゃないでしょうか。何を見せたいのかっていうのが明確になると、写真のクオリティーはグッとが上がります。


スマホのカメラで撮る時は良さを生かして

今回はケニア・ドイさんに、

  1. 上から撮ってみる
  2. 構図を意識する
  3. 狙いで魅せる

という3点でスマホカメラの撮影テクニックを教えていただきました。一眼レフには一眼レフの良さ、スマホカメラにはスマホカメラの良さがありますので、それぞれの良さを生かした撮影を意識してみてください。スマホカメラの撮影テクニックはすぐ実践できると思いますので、ぜひ愛猫のステキな写真を撮って、Instagramにアップしてみてくださいね。ハッシュタグ「#ペトこと猫部」を付けていただければ、連載「猫のいる生活」で紹介されるかもしれませんよ♪