スマホカメラも「構図」を意識して、愛犬をいつもよりかわいく【犬の写真の撮り方】
ペットの写真撮影を数多く手掛けるプロカメラマンの杉本 奈々重さんに、基礎から応用までさまざまな「写真の撮り方」をお聞きしていく第1回は、カメラ初心者がスマホでできる簡単ペット撮影のテクニックを紹介。「自分は高性能な一眼レフを持ってるからスマホカメラなんて」と思っている方も、意外な発見があるかもしれませんよ。
スマホで愛犬の写真を撮ってもなんだかうまく撮れない。
Instagramを見ているとみんなうまく撮っていて「やっぱり高いカメラがいいのかな?」そんな悩みを持っている飼い主さんも多いと思います。
確かに高機能なカメラのほうが良い写真を撮るための選択肢は広がりますが、使いこなせなければ良い写真は撮れません。それは逆も然りで、スマホのカメラも上手く使えば良い写真が撮れるのです。
杉本:もちろんです! 「杉本くん」の写真を撮りたいと思ったときに一眼レフを持っているとは限りませんし、お散歩やお出かけの途中などは良い瞬間を逃したくないので、スマホカメラでサッと撮ることもあります。
例えば下の写真、お散歩中にてんとう虫が飛んできたので手のひらに乗せると、杉本君が「ボクにも見せて!」と覗き込んできました。スマホの手軽さはこんな時に大活躍。この瞬間! を逃さないで撮ることができました。
それに私のカメラ教室では最初にスマホカメラの機能を使って写真の撮り方を教えることもあるんですよ! スマホでも一眼レフカメラでも撮影の基本中の基本! は同じです。
山本:プロもスマホのカメラを使ってるんだというのが分かると安心しますね。撮影の基本というのは具体的にはどんなことでしょうか。
杉本:基本と言っても一つ一つ説明していくと長くなってしまうのですが、スマホで愛犬を撮影されている飼い主さんのレベルアップにつながりそうなポイントとしては、「構図」「光」「背景」「犬とのコミュニケーション」が挙げられると思います。
山本:なるほど。いつもかわいい愛犬の魅力が写真でも撮れるように、ぜひそれぞれ解説をお願いします。どれも大切なことだと思いますので、今回は「構図」についてお願いします。
Instagramを見ているとみんなうまく撮っていて「やっぱり高いカメラがいいのかな?」そんな悩みを持っている飼い主さんも多いと思います。
確かに高機能なカメラのほうが良い写真を撮るための選択肢は広がりますが、使いこなせなければ良い写真は撮れません。それは逆も然りで、スマホのカメラも上手く使えば良い写真が撮れるのです。
杉本 奈々重(Sugimoto Nanae)
2001年より写真家としてフリーランスの活動を開始。コマーシャルフォトを中心に雑誌、企業の季刊誌の撮影などを行う。近年犬と人とのつながりをテーマにした作品を多数発表。全国各地で撮影イベントや講演会などを開催中。公益社団法人 日本写真家協会会員。
スマホも一眼も同じ! 写真撮影の基本
山本:最初に聞いておきたいことがあるのですが、なんとなく「スマホのカメラは素人や初心者が使うもの」「プロはいつも一眼レフ使う」というイメージがあるんですが、杉本さんは愛犬の「杉本くん」をスマホのカメラで撮影することはありますか?杉本:もちろんです! 「杉本くん」の写真を撮りたいと思ったときに一眼レフを持っているとは限りませんし、お散歩やお出かけの途中などは良い瞬間を逃したくないので、スマホカメラでサッと撮ることもあります。
例えば下の写真、お散歩中にてんとう虫が飛んできたので手のひらに乗せると、杉本君が「ボクにも見せて!」と覗き込んできました。スマホの手軽さはこんな時に大活躍。この瞬間! を逃さないで撮ることができました。
それに私のカメラ教室では最初にスマホカメラの機能を使って写真の撮り方を教えることもあるんですよ! スマホでも一眼レフカメラでも撮影の基本中の基本! は同じです。
山本:プロもスマホのカメラを使ってるんだというのが分かると安心しますね。撮影の基本というのは具体的にはどんなことでしょうか。
杉本:基本と言っても一つ一つ説明していくと長くなってしまうのですが、スマホで愛犬を撮影されている飼い主さんのレベルアップにつながりそうなポイントとしては、「構図」「光」「背景」「犬とのコミュニケーション」が挙げられると思います。
山本:なるほど。いつもかわいい愛犬の魅力が写真でも撮れるように、ぜひそれぞれ解説をお願いします。どれも大切なことだと思いますので、今回は「構図」についてお願いします。
※記事で紹介している写真は「iPhone 6s」のカメラで撮影したものです。
スマホ撮影のポイント1:構図を意識する
山本:構図と言うと「指で四角い枠を作って撮る場所を探す」みたいな仕草をイメージしてしまうんですが。※イメージ
杉本:ハハハ! ちょっと違いますね(笑)。構図を決める際にそういうこともするかもしれませんが、その前に「構図の考え方」を知っておかないと決まらないと思います。構図にはいくつかお決まりの「型」があるんです。それを覚えるだけでも撮る時の意識が変わると思いますよ。具体的には「日の丸構図」「三分割構図」などがあります。
山本:「日の丸写真」というのはよく聞きますね。日の丸弁当みたいに被写体がど真ん中にあってカメラ初心者がやりがちな構図ですよね。
杉本:そうですね。構図の説明としてはそうなんですが、「日の丸だからダメ」というわけではないですよ。いつも日の丸構図で撮ってしまうと「単調になりがち」というのが問題です。もう一つの三分割構図もその名の通りで、縦か横に画面を三分割する構図です。
山本:なるほど。では実際に「日の丸構図」と「三分割構図」で撮った写真を見比べながら解説していただきます。
日の丸構図で撮影した場合
山本:ザ・日の丸構図ですね。「犬を撮るんだ」という強い意志を感じます。
杉本:日の丸だと単調になりがちというのは、常に「中心の被写体が主役」という撮影意図が伝わってしまうせいでしょうね。本当にそういう写真が撮りたい時は効果的な構図です。三分割と比較するとよりわかりやすいと思います。
三分割構図で撮影した場合
山本:これは横に三分割して左側にコルクを配置した構図ですね。日の丸と比べてかなり印象が変わって、奥行きが出た感じがします。
杉本:右側を大きく空けることで、コルクの目線に何か意味があるような感じがすると思います。その目線の先には「何か気になるものがあるのか」「大好きな飼い主さんがいるのか」。被写体の空間とそれ以外の空間の関係性をうまく使うことで、見た人の想像をかき立てるようなストーリー性のある写真を撮ることができます。
山本:「三分割構図」と書くと漢字が多くて難しそうなイメージがありますが、画面を単純に三つに分けるだけなのですぐできそうですね。撮りながら「ここに被写体を置いて、残りの空間を右にするか左にするか、上下にするか」といろんなストーリーを考えながら試行錯誤してみるのは楽しそうですね。
アングルを意識すると愛犬の表情が豊かに!
杉本:構図というよりアングルの話になりますが、よくカメラ初心者の飼い主さんがやりがちな撮り方として、自分の目線で上から撮ってしまうということがあります。これも時と場合によるので一概に「悪い撮り方」というわけではないのですが、上から撮るとどうしても「ワンちゃんが見上げた時」の表情になってしまいます。そこで、腰を落としてワンちゃんの目線の高さで撮ると、正面を向いた自然な表情を撮ることができます。ワンちゃんのかわいさを表現したい時は、こちらのアングルもオススメですよ。上からのアングルで撮った時
山本:「あ、かわいい」と思って何も考えずにパシャッと撮るとだいたいこんな感じになりますね。目的は達成されてるはずなのに、何かコレジャナイ感があります。
正面のアングルで撮った時
山本:そうそう、これが「いつものかわいいコルク」ですね。口と鼻の全体が見えるようになって、さっきより表情が豊かになったように感じます。
杉本:この高さで一眼レフのファインダーを覗こうとすると地面に直接座ったり、腹ばいになったりしないといけないので、画面を見ながら撮れるスマホのカメラはペットの撮影に適していると言えますね。ぜひ一つのシーンでも構図やアングルを意識して、いろいろな撮り方を試してみてください。
構図を意識していつもと違う愛犬写真を♪
今回は杉本さんに「構図」を意識したスマホカメラの撮り方を説明していただきました。いつも日の丸写真になっていた方は、ぜひ「三分割構図」を意識してみてください。
愛犬がどんなことを考えているのか。どんな気持ちなのか。ストーリーを考えながら撮影することで絆も深まりますね。構図だけでなく、アングルの注意点も忘れずに!