コンドロイチンやSAM-eは犬猫の関節以外にも効果アリ!? 海外研究から解説

コンドロイチンやSAM-eは犬猫の関節以外にも効果アリ!? 海外研究から解説

人やペットのサプリメントの成分としてよく含まれているコンドロイチンやSAM-e、コラーゲンには、関節保護作用以外にも腸の炎症を抑えたり、認知機能を改善させたり、皮膚の弾力性に効果があるという報告が海外の大学や企業研究所から出されています。今回はそれらの研究報告を獣医師の福地が解説します。

コンドロイチン硫酸の投与で犬の炎症性腸疾患が改善する?

炎症性腸疾患(Inframmatory Bowel Disease)は、原因不明の慢性の嘔吐下痢、体重減少などの症状を特徴とする病気で、人だけでなく犬や猫でもみられる疾患です。英語名を略してIBDと呼ばれることもあります。

長期間の炎症性腸疾患の管理には、コンドロイチン硫酸とプレバイオティクス(※)が副作用なしで、
  • 腸の炎症と酸化ストレスに対する保護作用
  • 腸内細菌叢の正常化
に関わると注目されています。

※βグルカンやマンナンオリゴ糖などの食品成分のことで、正常な腸内細菌叢を構成する腸内細菌の餌になる。

スペインのバイオテクノロジー企業「BIOIBERICA」のSegarraらの研究チームが、コンドロイチン硫酸とプレビオティクスで炎症性腸疾患は改善するかという研究論文を出しているので紹介します。

コンドロイチン硫酸とプレバイオティクスの効果

組織学的に炎症性腸疾患と診断された27匹の犬すべてに対してIBDに有効な療法食である加水分解フードを与え、そのうちコンドロイチン硫酸とプレバイオティクスのサプリメントにを与える群(9匹)と与えない群(10匹)に分けて効果を判定しました。

その結果、どちらの群でも臨床症状に基づく炎症性腸疾患のスコア(CIBDAI:Canine inflammatory bowel disease activity index)の低下が見られました。CIBDAIは犬の炎症性腸疾患の活動性の指標に用いられるもので、腸管の組織を取って炎症している様子をみる検査や血液検査でわかる炎症の指標マーカーなどとの相関性がみられるため、問診で重症度をはかる指標として用いられています。サプリメントを与えられていない群でも改善がみられたことから、CIBDAIの低下はどちらの群でも与えられていた加水分解食の効果を示していると考えられます。

一方、組織における実際の炎症は、サプリメントを与えられた犬でのみ改善が見られました。サプリメントを与えられた群は治療開始後60日の血清コレステロール値と酸化ストレスへの保護作用があるパラオキソナーゼレベルが高く、サプリメントを与えられていない群では120日後に血清抗酸化能(Total Antioxidant Capacity)レベルが低下しました。いずれの群でも副作用は報告されませんでした。これはコンドロイチン硫酸とプレビオティクスが酸化ストレスから腸を守る機能があることを示唆しています。

また、炎症性腸疾患によって腸の絨毛(じゅうもう)や乳糜管(にゅうびかん)がダメージを受けることでコレステロールの産生が減ることから、コレステロール値の低下は腸組織のダメージを反映していると考えられます。このことから、血清コレステロール値の上昇は炎症がより少ないことを示していると考えられます。血清抗酸化能レベルがサプリメント非投与群で低かったのは、酸化に対する防御能が低下しているといえるでしょう。

SAM-eは犬の認知機能の改善にも有効?

動物医薬品メーカー大手「Virbac」の研究所のReme CAらは、犬の加齢に関連した性疾患(認知機能)の改善に、経口でのS-アデノシルメチオニン(SAM-e)投与が有効ではないかという報告を発表しました。

最低でも1カ月以上認知機能障害を示している犬を対象に、SAM-eを1kgあたり18mg経口投与した17匹と、SAM-eではないタブレットを与えられた犬19匹にわけて2カ月間の実験を行いました。認知機能改善の効果判定は、14項目の振る舞いと運動に関するアンケートを飼い主に記入してもらう形で行いました。

その結果、SAM-eを与えられていない群に対して、SAM-eを与えられた群では活発性が増すことがわかりました。4週間後ではSAM-e投与群41.7%、与えられていない犬の2.6%に活発性が増し、8週間後ではSAM-e投与群57.1%、与えられていない犬の9.0%で活発性の向上がみられたのです。

意識がはっきりしているかの評価でも同じ傾向がみられ、4週間後ではSAM-e投与群33.3%、与えられていない群の17.9%、8週間後ではSAM-e投与群59.5%、与えられていない群21.4%で改善がみられました。アンケート結果の総計では、SAM-eを与えられている群の41.2%と与えられていない群の15.8%で、認知機能障害が以前と比べて50%以上減少したと報告されています。

サプリメント成分が入っていない群でも改善がみられた理由

認知機能改善の効果判定は飼い主さんの自己申告をもとに行われたため、飼い主さんが「薬を飲んでいるから良くなった」と思い込むプラセボ効果(プラシーボ効果)の影響が考えられます。それを減らすため、今回の実験ではSAM-eが入ったタブレットと有効成分が入っていない偽のタブレットを与えています。飼い主さんは、自分が与えているのが有効成分入りか、そうでないかわかりません。SAM-eを与えられていない群でも改善効果がみられたのは、プラセボ効果によるものと考えられます。

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コラーゲンは人の皮膚の弾力性を増す!

犬ではなく人間での話になりますが、コラーゲン加水分解物が加齢による皮膚の改善効果があるのではないかという研究がドイツのキール大学のProkschによって報告されたので紹介します。33歳から55歳の女性について2.5gのコラーゲン加水分解物と5.0gのコラーゲン加水分解物、それらが入っていない偽薬を服用する群に分けて2カ月間実験を行いました。

皮膚の弾力性、皮膚の水分、経表皮水分損失量、皮膚の粗さについて実験開始時と比較したところ、2カ月投与から4週間後の追跡調査でも皮膚の弾力性を評価しました。皮膚の水分と経表皮水分損失量については、統計学的に差がある結果は出ませんでしたが、コラーゲン加水分解物を服用していた二つの群ではいずれも皮膚の弾力性が改善しました。また、投与終了後4週間後の弾力性もコラーゲン服用群の方で高かったとのことです。

サプリメントを与える際に

サプリメントは薬と違って病院以外でも手に入れることのでき、体に有用な作用が期待されるものです。全ての犬で効果があるものではなく、個人差はありますが、合う体質の子にとってはとても良い補助的な治療、もしくは予防になります。投与する量や、原料についても効果に関わってくる可能性がありますので、ワンちゃん猫ちゃんに与える時は、かかりつけの動物病院の先生に相談してみるとよいでしょう。


引用・参考文献

  • コンドロイチン
  • 調査期間:治療開始後30、60、90、120、180日でCIBDIスコアを判定
  • 対象者:炎症性腸疾患と診断された犬27匹
  • 調査方法:炎症性腸疾患と診断された犬に加水分解食を与え、さらに加えてサプリメントを与える群、与えない群に分けてCIBDAIスコア、組織学的検査、血液検査を用いて評価。血液検査はCRP、アルブミン、PON1、TACを測定
  • 詳細:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4785639/

  • SAM-e
  • 調査期間:2カ月
  • 対象者:最低でも1カ月以上認知機能障害を示している8歳以上の犬36匹
  • 調査方法:飼い主にわからないようにSAM-e投与群と、プラセボ群に分け実験終了後に認知機能改善についてのアンケートをとり評価
  • 詳細:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/18597245/

  • コラーゲン
  • 調査期間:最初の経口投与から4週間、8週間後に評価。最後の経口投与から4週間後に追跡調査
  • 対象者:33-55歳の女性66人
  • 調査方法:コラーゲン加水分解物を2.5g、5.0g服用した群とプラセボ群で皮膚の状態を評価
  • 詳細:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23949208

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