愛犬にどのシャンプーを選べば良いの?犬用シャンプーの選び方を被毛研究のプロが解説
連載「愛犬の被毛ケア」第3回は、「犬用シャンプー」がテーマです。人用シャンプーとの違いから犬に合ったシャンプーの選び方まで、よくある疑問にお答えします。
こんにちは、中野製薬です。弊社は主に美容室向けの頭髪用化粧品を60年にわたり製造・販売する専門メーカーです。犬猫用のシャンプーも30年にわたって開発をしており、グループ会社のハートランドを通じて「ゾイック」を販売しています。毛髪や被毛の研究を行なってきた我々の知見が、みなさんと愛犬の健やかなペットライフにつながれば幸いです。
人が毛髪を洗う際にシャンプーを使うように、犬の毛を洗う際にもシャンプーを使います。同じ「シャンプー」ではありますが、中身は人と犬それぞれの特徴に合ったものになっています。まずは、シャンプーは犬用と人用で何が違うのかについて説明していきます。
化粧品と雑貨で大きく違うのは、化粧品が薬機法の制約を受けるのに対し、雑貨には薬機法のように制約を課す法律が無いことです。どんな原料を使ってもいいわけですから、極端に言うと、工業用の原料(例えば衣類用の洗浄基剤など)を使用することも可能です。
しかしながら、これまでの連載でお話ししてきた通り、犬の毛や皮膚はとてもデリケートです。工業用原料は重金属やヒ素の含有量など毒性に対する規格が無いものが多く、犬には刺激が強すぎる場合があります。
犬用のシャンプーであっても「人の化粧品に準じた成分を使用する」ということを理想とし、人よりも刺激の少ない成分を使うことが望ましいでしょう。
こすれ合うと犬の毛は摩擦で傷みます。しかも濡れた状態のほうが乾燥した状態より犬の毛の強度が下がっていますので、シャンプ一は犬の毛を傷めやすい状況といえます。シャンプーの泡は犬の毛と毛の間に入ってクッションの役割を果たしますので、「滑りの良い小さな泡がたくさん出ること(クリーミーな泡質)」が重要なのです。
シャンプーとは何か
人が毛髪を洗う際にシャンプーを使うように、犬の毛を洗う際にもシャンプーを使います。同じ「シャンプー」ではありますが、中身は人と犬それぞれの特徴に合ったものになっています。まずは、シャンプーは犬用と人用で何が違うのかについて説明していきます。
犬用シャンプーは「雑貨」
私たちのシャンプーは法律上、「医薬品」「医薬部外品」「化粧品」の三つに分類されます。犬のシャンプーも「動物用医薬品」「動物用医薬部外品」「雑貨」の三つに分類されます。治療やフケ防止などを目的としない美容のためのシャンプーは、人用が「化粧品」で犬用が「雑貨」です。化粧品と雑貨で大きく違うのは、化粧品が薬機法の制約を受けるのに対し、雑貨には薬機法のように制約を課す法律が無いことです。どんな原料を使ってもいいわけですから、極端に言うと、工業用の原料(例えば衣類用の洗浄基剤など)を使用することも可能です。
しかしながら、これまでの連載でお話ししてきた通り、犬の毛や皮膚はとてもデリケートです。工業用原料は重金属やヒ素の含有量など毒性に対する規格が無いものが多く、犬には刺激が強すぎる場合があります。
犬用のシャンプーであっても「人の化粧品に準じた成分を使用する」ということを理想とし、人よりも刺激の少ない成分を使うことが望ましいでしょう。
シャンプーの役割
シャンプーの最も重要な役割は「汚れを落とすこと」で、もう一つは「クッションの役割を果たすこと」です。こすれ合うと犬の毛は摩擦で傷みます。しかも濡れた状態のほうが乾燥した状態より犬の毛の強度が下がっていますので、シャンプ一は犬の毛を傷めやすい状況といえます。シャンプーの泡は犬の毛と毛の間に入ってクッションの役割を果たしますので、「滑りの良い小さな泡がたくさん出ること(クリーミーな泡質)」が重要なのです。
犬用シャンプーと人用シャンプーの違い
犬用シャンプーであっても人用の化粧品に準じた成分を使用すべきですが、これは処方設計も同じように作るべきという意味ではありません。成分は同じ基準でも、犬と人では毛の特徴が違うため処方の考え方も違うのです。犬用シャンプーの特徴として、以下の四つが挙げられます。
- 洗浄基剤は人用よりマイルドで優しい洗浄力が要求される。
- コンディショニング剤として極端にしっとりする成分は配合しない。
- 柔らかく細い犬の毛が洗いやすく、乾燥後はふんわり仕上がる処方設計が要求される。
- 人より嗅覚が優れているため香料に注意(苦手な香りがする香料は配合しない)。
犬に人用シャンプーをすすめない理由
犬用にシャンプーを買わずとも、「犬も人用のシャンプーでいいのでは?」と思う方がいるかもしれませんが、犬に人用のシャンプーを使うことは好ましくありません。それは、犬と人では皮膚の構造が異なるからです。犬の表皮(皮膚の表面)の角質層の厚さは人よりも薄く、皮脂が保護の役割を担っています。人用の洗浄力が強いシャンプーを使用すると、皮脂が過剰に落ちて防御機能が低下してしまうのです。その点を考慮し、犬用シャンプーは皮脂を落とし過ぎず、皮膚に優しいマイルドな洗浄基剤が主成分として使われています。
ただし、皮脂分泌が過剰な犬もいます。洗浄力の弱いシャンプーを使うと皮脂が多くなり、菌の繁殖などを引き起こしてさまざまな皮膚病につながります。過剰な皮脂分泌が認められる犬には、専用のクレンジングタイプのシャンプーを使用してください。
犬用には「しっとり成分」より「ふんわり成分」
犬は人のようにヘアカラーやパーマを施術しませんので、犬の毛が損傷して滑りが悪くパサついた状態になることはありません。そのため、犬用シャンプーに極度にしっとりすることを目的としたコンディショニング剤を配合する必要はありません。逆に、犬の毛は人の毛と比較すると柔らかく細いため、犬の毛の洗いやすさとボリュームアップが要求されます。匂いも人より敏感ですから、シトラス(柑橘)系やミント系などの香りは避ける必要があります。
犬にトリートメントは必要か
犬の毛もブラッシングにより多少は損傷しますので、その補修や損傷の予防を行うのがトリートメントです。損傷した犬の毛を補修するためには、クリームタイプのトリートメントが適しています。犬はシャンプーを舐めても大丈夫か
シャンプーをしている際に犬が舐めてしまったり、口に入ってしまったりすることはあるでしょう。舐めてしまったからといって、害を及ぼすケースは少ないと思いますが、食品ではありませんので、なるべく口に入らないようにしてください。シャンプーの種類
シャンプーには「低刺激シャンプー」や「トリートメントインシャンプー」「ドライシャンプー」といった機能の異なるものがあります。最近では「オーガニックシャンプー」もよく耳にするのではないでしょうか。それぞれ説明していきます。
低刺激シャンプー
低刺激シャンプーは犬の皮膚に優しくマイルドなシャンプーで、子犬や老犬に好ましいシャンプーです。また、「フケが多い」「痒がる」「皮膚が赤い」など、デリケートな皮膚の犬にもお薦めです。トリートメントインシャンプー
トリートメントインシャンプーは、シャンプーだけでリンスをした状態のように仕上がるシャンプーです。コンディショニング成分を多めに配合したり、通常のシャンプーには配合しないオイル成分を配合したりすることで仕上りのすべりを良くし、トリートメント効果を与えています。シャンプーとトリートメントを分けて使用した場合に比べると、シャンプー本来の洗浄力が十分に発揮されにくいことや、仕上がりが劣ることがデメリットとして挙げられますが、その分短時間でシャンプーをすることができますので、シャンプーを極端に嫌がる子や子犬、老犬に適しています。
ドライシャンプー
ドライシャンプーは水を使用しないため、洗い流す必要がありません。ミスト状だったりフォーム状、粉末状、ウエットティシュ状などの種類が存在します。かつてはシャンプーが面倒なときに使用されるアイテムでしたが、最近は散歩帰りの足の清浄やお尻周りの部分的な汚れの清浄に利用されるケースが増えています。皮膚が敏感で頻繁にシャンプーできない犬にも有効ですし、頻繁にシャンプーができない老犬にも適しています。
オーガニックシャンプー
オーガニック農場で穫れた農作物を加工した原料を使用し、オーガニック認証機関で認定されたものがオーガニックシャンプーです。オーガニックの農作物は安全に作られていることから、安心感を得られることがメリットではあります。ただ、それを加工して作られるシャンプーが被毛や皮膚にどこまで安全なものであるかはそれぞれ確認が必要です。シャンプーの選び方
みなさんがシャンプーの成分表を見ても、どの成分がどんな働きを持っているのか分かりにくいと思います。そこで基剤成分と効果成分にわけて解説していきます。
基剤成分
基剤成分は、シャンプーの性能を決定付ける成分です。洗浄基剤、洗浄助剤、コンディショニング剤、粘度調整剤、pH調整剤、安定化剤、防腐剤、香料、着色料などがこれに該当します。洗浄基剤 | 洗いやすさ(泡立ち、泡質)や洗浄力を決定する成分。クレンジング用や子犬用など用途に応じて種類が選択されます | 低刺激アミノ酸系ベース |
洗浄助剤 | 泡の保持力、泡立て時の滑りを改善するために配合される成分 | ノニオン界面活性剤 |
コンディショニング剤 | すすぎ時の滑りや、すすぎやすさを改善するために配合される成分 | カチオン化ポリマー、油性成分 |
粘度調整剤 | 垂れ落ちにくいなど液性を扱いやすい状態に保つために配合される成分 | ノニオン界面活性剤、ポリマー類 |
pH調整剤 | pHを微酸性~弱酸性(犬の毛・皮膚にマイルドな領域)に保つために配合される成分 | クエン酸、乳酸 |
安定化剤 | 時間が経過することによる変化(外観や匂いなど)を防止するために配合される成分 | 金属封鎖剤、酸化防止剤 |
防腐剤 | シャンプーを雑菌の繁殖から守るために配合される成分 | パラベン類 |
香料 | 原料臭のマスキングのために配合される成分(犬が嫌う香り成分は配合しない) | |
着色料 | シャンプーの区別のために配合される成分 | 黄色203号 |
効果成分
シャンプーの特長となるコンセプト成分であり、被毛保護剤、ツヤ付与剤、保湿剤、消臭剤、ハリ・コシ付与剤などが該当します。被毛保護剤 | 犬の毛を保護する目的で配合される成分 | タンパク由来成分(PPT) |
ツヤ付与剤 | 犬の毛にツヤを与えることを目的として配合される成分 | 油性成分 |
保湿剤 | 犬の毛や皮膚に潤いを与えることを目的として配合される成分 | 植物由来成分 |
消臭剤 | 犬の体臭を抑えるために配合される成分 | 緑茶エキス等の植物由来成分 |
ハリ・コシ付与剤 | 犬の毛にハリコシ、ボリュームを与えることを目的として配合される成分 | タンパク由来成分(PPT) |
まとめ
犬に人用シャンプーは好ましくない
犬に合った特長のシャンプーを選んであげる
嫌いな匂いが配合されていないものを選ぶ
犬用シャンプーは単に犬の毛を美しく見せるだけでなく、犬の健康維持を考える上でも重要なものであることは言うまでもありません。安心、安全な成分で作られたケアアイテムを用いて、犬の毛を清潔に保ちながらきれいにすることが大切です。ご家庭でも定期的に愛犬をシャンプーしてあげることを推奨します。
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