猫のジャンプ力はどのくらい?ジャンプできない場合に考えられる理由も解説
猫は高い場所が大好き。かなり高さのある場所にもジャンプして簡単に上がってしまいます。見慣れてしまうと当たり前の光景ですが、自分の体長の5倍以上、人間に置き変えるとビルの2階に簡単にジャンプできてしまう高さです。なぜ猫はそんなに高くジャンプできるのでしょうか。今回は、猫のジャンプについて解説します。
猫はどのくらいの高さまでジャンプできる?
猫のジャンプ力はとても優れていて、冷蔵庫や棚などに助走無しでも飛び乗れてしまいます。猫は自分の体長の5倍の高さまで飛べるジャンプ力を持つと言われており、1.5m〜2mほどは簡単にジャンプできしまうのです。
1.5m~2mの高さというと人間でもオリンピックの高跳びの金メダル級ですが(しかも助走無し)、猫のジャンプの高さを人間に換算すると、7m~9mほどの高さをジャンプできることになります。つまり、人間で例えるならビルの2階~3階くらいまでを助走無しで飛び上がれることになるのです。
猫が高くジャンプできる3つの理由
1. 足の筋肉が発達している
高いジャンプ力を産む第一の要因は足の筋肉の発達です。特に後ろ足の速筋が発達しています。速筋とは一瞬の瞬発力を生み出す筋肉です。人間でいうと短距離走やウェイトリフティングなどの競技の時に瞬間的に大きな力を出すことができる筋肉のことです。
猫の高いジャンプ力もこの速筋から生み出されているのです。猫の筋力は発達しているので、ジャンプ力だけでなく速く走るなど、機敏な動きも得意です。
この速筋は瞬発力こそありますが、持続はせず、すぐに疲労が溜まってしまいます。最高速が時速100kmを超え地上最速の動物と言われるネコ科のチーターも、その速度を維持できるのは10秒ほどといわれています。
猫も猫じゃらしやボール投げなどで激しめに遊んであげると10分~15分くらいで猫は疲れてお腹で大きく息をし、ゴロンと横になってしまいます。15分くらい遊んであげると満足すると言わているのはこのためなのですね。
2. 体が柔らかい
猫はとても体が柔らかいですね。その体の柔らかさにより、ジャンプするときに背筋力を最大限に使うことができるのです。高い場所にジャンプする時の猫の姿勢は、顔は到達地点を見つめ、足を縮めて背中もギュッと丸くなっています。この丸くなった姿勢をから思い切り地面を蹴り、背筋の力も利用して高くジャンプしているのです。
3. 体重が軽い
猫が高く飛ぶことができるのは体重の軽さも理由の一つです。ネコ科の動物は木登りをすることが得意ですが、大型のライオンやトラなどは高い場所に登るのが苦手です(できなくはありません)。猫に近い体形のヒョウやピューマなどは木登りも得意ですね。猫は一般的に成猫でも体重は3㎏~5㎏しかありません。体中がばねのような筋肉質の体で、さらにスリムな体形をしているので高いジャンプが可能なのです。猫は細マッチョなのですね。
非常に優れた身体能力を持つ猫ですが、やはりジャンプ力にも個体差があります。筆者が保護した猫たちを見ていると、1.2m〜1.5mくらいまではちゅうちょなく飛び上がる子が多いですが、それ以上になると一気にジャンプするのは少数派です。
ジャンプが得意な子で2歳くらいまでのやんちゃざかりの子はカーテンレールやエアコンにまで飛び乗りますが、そういう忍者のようなことは不得意な子もいますし、2歳を過ぎるとそのような行動は少なくなっていくようです。
また、体重が7㎏ある筆者の愛猫は、高い場所が好きでよく棚の一番上にいたりしますが、やはり一気にジャンプするのは苦手なようです。
猫がジャンプする際に落下には注意
猫は着地も得意で、不安定な体制で落下しても体を素早く反転し、足で着地することができますが、あまり低い場所だと間に合いませんし、高すぎる場所は態勢を整えられても骨折や命の危険もあります。
安全に下りられるのは猫がジャンプできる1.5m~2mの間までだと考えておきましょう。
ときどきTVのコメンテーターなどでも平気で「猫はどんなに高いところから落ちても大丈夫」など聴きますが、猫の落下による死亡事故は珍しくありません。
マンションからの落下や、最近では吹き抜けがあるお宅が増えたため、吹き抜け部分での落下死亡事故も筆者は耳にしています。自宅の屋根から落ちて死亡した、もしくは大けがをしたという事故もあります。筆者が保護猫を譲渡するお宅に吹き抜けがあるときは、落下防止ネットを設置してもらうことにしています。
ジャンプが下手な猫もいる
運動が不得意な猫
ジャンプが不得意な猫もいます。マンチカンなどの足が短い猫は、そもそも運動能力が一般的な猫に比べて劣るとされていますが、ジャンプも不得意です。
猫は後ろ脚の筋肉の瞬発力を使って高くジャンプするのですが、マンチカンは足が短いために、その筋力が足りないのです。
ジャンプがあまり上手ではない子を飼っている場合には、「低めのキャットタワーを用意してあげる」「簡単に冷蔵庫などの高い場所にいけないようにする」「落下しても大丈夫なようにクッションやマットを敷いておく」などの対策をしてあげるといいですね。
そういう子は外に出たときの危険回避が困難な場合もありますので、完全室内飼育をしてあげてください。
猫がジャンプできない場合に考えられる理由
1. 病気や怪我
まずは病気が原因であることが考えられます。関節炎や爪が割れたり巻き爪になったりすることで、痛みがあるためにジャンプができなくなります。室内飼育をしていると、爪が摩耗せず巻き爪を発症してしまうことがあります。巻き爪とは爪が伸びすぎて肉球に食い込んでしまう状態です。室内飼育の場合は定期的に爪を切るなどのお手入れをしてあげましょう。
猫は関節炎を発症しやすい傾向にありますが、飼い主さんが重症になるまで気が付かないことも多いです。高い場所にジャンプしなくなった、ジャンプが低くなったなどのいつもと違う様子が見られたら獣医に相談しましょう。
2. 太りすぎ
Photo by Tripp
室内飼育をしていると特に運動不足になりがちで、肥満になってしまう子も珍しくありません。体重が重くなると当然、高い場所へのジャンプは難しくなりますね。肥満はジャンプができなくなるだけでなく、健康によくありませんから太らせすぎには注意しましょう。
3.老化
猫も年を取ると筋力が衰え、若い頃のようにジャンプできなくなります。これは年齢をとれば仕方のないことなので、低いキャットタワーを用意してあげたり、万が一着地に失敗してもケガをしないようにマットやクッションなどを敷いてあげると良いですね。愛猫のジャンプは年齢とともにほどほどに
人間と暮らしてる現在はそんなことをする必要がありませんが、本能で備わっているもので、猫のジャンプ力は魅力の一つでもあります。完全室内飼育であっても、猫のジャンプ力が発揮できる空間にしてあげたいですね。