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新海誠監督の最新作『すずめの戸締まり』は国内の観客動員数が1115万人を超え、海外でも大ヒットを記録しました。9月20日(水)からは、Blu-ray&DVDが発売予定です。その制作中だった2021年4月、新海監督は2匹の保護猫を家族に迎えました。
それが「すずめ」と「つばめ」です。最新作のヒロイン「鈴芽」(すずめ)とその母「椿芽」(つばめ)と同じ名前を付けてもらった保護猫は、実は筆者がミルクボランティアで預かっていた猫たちでした。
迎えた頃のつばめ(左)とすずめ(新海監督のX投稿より)
今回、新海監督にインタビューの機会を頂きましたが、直接お会いするのは譲渡の日以来となります(猫たちの近況はご家族から伺っていました)。「すずめ&つばめ」の話はもちろん、最新作に登場する猫のキャラクター「ダイジン」や新海監督の猫観などなど、猫好きトークをさせていただきました。
新海監督の猫愛をお伝えできれば幸いですし、一人でも多くの方に保護猫のことを知っていただく機会になれば嬉しいです(ぜひ保護猫のマッチングサイト「OMUSUBI」をご覧ください)。
ちなみに、「すずめ」(♀)と「つばめ」(♀)は我が家で迎えた「ホタテ」(♀)と「ポテト」(♂)と4姉弟です。保護していた時の写真から成長した最近の写真まで、かわいい猫たちの写真もお楽しみください。
左上から時計回りに「すずめ」「ホタテ」「つばめ」「ポテト」
元気ですよ。今日も「遊んで遊んで」ってうるさく鳴いてました(笑)。すずめは抱っこが好きでされるがままなんですけど、つばめは抱っこしようとすると逃げますね。でも娘にはべったりです。
本当に穏やかで仲良しで、獣医さんから「トイレは少なくとも一つずつ用意してあげてください」と言われたのでそうしたのですが、2匹とも共有してますし、ごはんも並んで食べたり、一緒に寝たりしています。メスのほうが育てやすいイメージがあるんですが、オスのポテトはどうですか?
ホタテとポテト(右)
──ポテトはちょっとおバカな性格をしていて、元気ですが性格は穏やかです。ホタテのほうが気が強くて、新入りの保護猫がうちに来ると殴りに行くので大変です(笑)。姉弟でも性格が違って面白いですね。
猫って仕事をしているとずっと「遊んで!」って言ってくるじゃないですか。モニターと自分の間に立ちふさがるし、邪魔だからどかすとそばにずっといて、遊んでくれるまで鳴き続けるんです。
最初は控えめに「ニャーニャー」言ってるんですけど、そのうち大きな声で「ニャ〜ッ!」って(笑)。仕方ないから遊んであげると満足してしばらく大人しくなる。邪魔なんだけど、「遊んで」って求めてくれるのが嬉しいですよね。
作業の邪魔をするすずめとつばめ
『すずめの戸締まり』でもダイジンが鈴芽に「遊ぼう」と言ってくるシーンがあるんですが、「うるさいなあ」っていう気持ちと「仕方ないな」っていう気持ちが入り混じった感じは猫から感じるもの、そのものなんですよね。
──「すずめ」と「つばめ」という名前はどのように決めたのでしょうか?
娘と話し合って決めました。すでに『すずめの戸締まり』を制作していたので、そこから取ったというのもあるんですが、すずめがキジトラに白が混じった色合いで雀の色に近くて、つばめは白と黒で燕の色に近かったので、それぞれの名前は色のイメージから決まりました。
『すずめの戸締まり』の制作はとてもハードで僕の心も殺伐としていたんですけど、うちにすずめとつばめが来てくれて、本当に救われました。
──預かっていた子たちが新しい家族と幸せに暮らしていて、本当に嬉しいです。
それが「すずめ」と「つばめ」です。最新作のヒロイン「鈴芽」(すずめ)とその母「椿芽」(つばめ)と同じ名前を付けてもらった保護猫は、実は筆者がミルクボランティアで預かっていた猫たちでした。
今回、新海監督にインタビューの機会を頂きましたが、直接お会いするのは譲渡の日以来となります(猫たちの近況はご家族から伺っていました)。「すずめ&つばめ」の話はもちろん、最新作に登場する猫のキャラクター「ダイジン」や新海監督の猫観などなど、猫好きトークをさせていただきました。
新海監督の猫愛をお伝えできれば幸いですし、一人でも多くの方に保護猫のことを知っていただく機会になれば嬉しいです(ぜひ保護猫のマッチングサイト「OMUSUBI」をご覧ください)。
ちなみに、「すずめ」(♀)と「つばめ」(♀)は我が家で迎えた「ホタテ」(♀)と「ポテト」(♂)と4姉弟です。保護していた時の写真から成長した最近の写真まで、かわいい猫たちの写真もお楽しみください。
※この取材は2022年11月に行われました。
「すずめとつばめが来てくれて、本当に救われた」
──すずめちゃんとつばめちゃんは元気にしていますか?元気ですよ。今日も「遊んで遊んで」ってうるさく鳴いてました(笑)。すずめは抱っこが好きでされるがままなんですけど、つばめは抱っこしようとすると逃げますね。でも娘にはべったりです。
本当に穏やかで仲良しで、獣医さんから「トイレは少なくとも一つずつ用意してあげてください」と言われたのでそうしたのですが、2匹とも共有してますし、ごはんも並んで食べたり、一緒に寝たりしています。メスのほうが育てやすいイメージがあるんですが、オスのポテトはどうですか?
──ポテトはちょっとおバカな性格をしていて、元気ですが性格は穏やかです。ホタテのほうが気が強くて、新入りの保護猫がうちに来ると殴りに行くので大変です(笑)。姉弟でも性格が違って面白いですね。
猫って仕事をしているとずっと「遊んで!」って言ってくるじゃないですか。モニターと自分の間に立ちふさがるし、邪魔だからどかすとそばにずっといて、遊んでくれるまで鳴き続けるんです。
最初は控えめに「ニャーニャー」言ってるんですけど、そのうち大きな声で「ニャ〜ッ!」って(笑)。仕方ないから遊んであげると満足してしばらく大人しくなる。邪魔なんだけど、「遊んで」って求めてくれるのが嬉しいですよね。
『すずめの戸締まり』でもダイジンが鈴芽に「遊ぼう」と言ってくるシーンがあるんですが、「うるさいなあ」っていう気持ちと「仕方ないな」っていう気持ちが入り混じった感じは猫から感じるもの、そのものなんですよね。
──「すずめ」と「つばめ」という名前はどのように決めたのでしょうか?
娘と話し合って決めました。すでに『すずめの戸締まり』を制作していたので、そこから取ったというのもあるんですが、すずめがキジトラに白が混じった色合いで雀の色に近くて、つばめは白と黒で燕の色に近かったので、それぞれの名前は色のイメージから決まりました。
『すずめの戸締まり』の制作はとてもハードで僕の心も殺伐としていたんですけど、うちにすずめとつばめが来てくれて、本当に救われました。
──預かっていた子たちが新しい家族と幸せに暮らしていて、本当に嬉しいです。
「自然と人間をつなぐ存在を考えたら、猫の姿だった」
©2022「すずめの戸締まり」製作委員会
──『すずめの戸締まり』に出てくる猫のキャラクター「ダイジン」は映画を観た方から「猫ちゃんかわいい」と話題になる一方で、鈴芽から「嫌い!」と言われたり、やせ細ってしまったり、「猫ちゃんかわいそう」という感想も出ていました。そういった反応は予想されていたのでしょうか?
ダイジンの反響はすごく大きかったですね。それほど多くの方の感情をつかむとは予想していませんでした。「猫って愛されてるんだな」と思いましたね。でも、映画をご覧いただくとわかると思うのですが、ダイジンは猫の姿をしていますけど「要石」(かなめいし)と呼ばれる役割を持って生まれてきた存在で、本物の猫というわけではありません。
──ダイジンは猫ではないとすると、どのような存在なのでしょうか?
それは観た方がそれぞれの受け止め方をしてもらえればいいなと思っています。明快に「こうなんです」と答えを言ってしまうと楽しみが無くなってしまうので(笑)。ただ、もともと考えていたのは、「自然と人間をつなぐ存在」ということです。
例えば人間は地震や津波、豪雨を「自然災害」と呼びますけど、自然はただ純粋にあるがままの振る舞いをしているだけなので、人間がいなければ「災害」ではありません。自然は人間に対して時に美しく、時に恐ろしく、優しかったり厳しかったり、そういった想像できない気まぐれな振る舞いをします。
それって、猫の性質に似ていますよね。そんな風に考えて、自然と人間をつなぐ存在を考えた時に、ダイジンは猫の姿をしていたんです。
ただ、だからといってダイジンに感情がないわけではなく、いろいろな気持ちのゆらぎがあります。気まぐれな部分もありますし、誰かと遊びたいという気持ちもあれば、寂しいという気持ちもある。
そんな時に鈴芽と出会ったので、「この瞬間を楽しみたい。鈴芽と遊びたい。仲良くなりたい」という無邪気な想いが、この2時間の映画で描かれています。
ダイジンは、人間とは生きている時間のスケールが違うんです。ダイジンは自分に役割があるということをわかっていて、自分の役割を果たすことは喜びでもあります。だから映画の2時間だけ切り取ると「猫ちゃんかわいそう」と思ってしまうんですが、ダイジンは猫を超えた存在なので、心配してくださった方には「大丈夫ですよ」と伝えたいですね。
──ダイジンという名前は、作中では街でダイジンを見た人たちが「大臣みたい」とSNSに投稿して広まっていきましたが、正直なところ「言うほど大臣に見えるかな?」と思いました。
一応、昔の政治家みたいにヒゲが上にカーブしているところを大臣っぽさのあるデザインにしています。ただ、「ダイジン」という名前が広まったのは、ダイジンが意図的にコントロールして呼ばせたんだと思います。
「ダイジン」の漢字は政治家の「大臣」であるとともに、大きな神と書いて「大神」でもあるし、放蕩の限りを尽くすという意味の「大尽」でもある。いろいろな捉え方ができる存在だと思っています。
「ずっと、黒猫『ジジ』にならないよう意識していた」
──ダイジンの動きを見てすごく「猫らしい」というか、「猫をわかっている人が描いた動きだ」と思いました。純粋に「猫がかわいい」と思って描いたのは確かです。例えば、スナックのシーンではダイジンが人間に見えているお姉さんが「渋くて素敵」と言う一方で、猫の姿のダイジンは体をペロペロ舐めて毛づくろいをしている。
緊迫した空気のシーンでは地面にごろんと伸びてお腹を上に見せていたりする。そういう自由な立ちふるまいとか、ぶるぶると体を震わせる仕草、歩き方とか、「猫らしさ」みたいなものを描いて、猫好きの人に「猫ってそうだよね」と感じてもらえたらいいなと思っていました。
──そういった描写はすずめちゃんやつばめちゃんの動きを参考にされたのでしょうか?
そうですね。モデルになってもらいました。例えば、鈴芽がダイジンを両手でつかんで持ち上げるシーンがありますが、あのシーンは(猫のほうの)すずめに協力してもらって、実際に持ち上げたときの反応や動きをビデオで撮影しました。
実際に細かな動きを描いてくれるのはアニメーターたちなので、体つきや動き、仕草などアニメーターの参考になるようにすずめとつばめの動画を見てもらいました。スタッフの中にも猫好きがいますが、みんな愛情を持って描いてくれたと思います。
──過去のインタビューで宮崎駿監督の影響を受けていると話されていましたが、猫が出てくるロードムービーというと『魔女の宅急便』を思い出してしまいます。作品をつくる上で黒猫「ジジ」のことは意識していましたか?
それはすごく意識していました。ジジのデザインって洗練されていて本当に優れていると思うんですが、パートナーとして横にいる猫を描こうとすると、どうしてもジジになってしまうんです。だから、せめてもの抵抗ではないですけど、白い毛並みで上向きのヒゲを付けて、目もすごく大きくして、と、ジジにならないよう意識して描いていました。
──これまでの作品でもよく猫が出てくる印象ですが、やはり意図的に登場させているのでしょうか?
そうですね。『天気の子』でも「アメ」という名前の猫が出てきますが……、単純に動物の中で猫が好きというだけで、それ以上の深い意味は無いです(笑)。未知のキャラクターより猫のほうが愛情や理解を持って描きやすいというのはあると思います。
──猫を主役にした作品も見てみたいです。
作れたら良いですね。昔、NHKの企画で『猫の集会』というショートアニメを作ったことがありました。猫が夜な夜な人間への復讐計画を練る集会をするというこじんまりとした話だったんですが、そういう猫を主役にした子ども向け絵本のようなアニメーションを作ることができたら楽しいだろうなとは思います。
あと、僕の原点と言える作品に『彼女と彼女の猫』という5分くらいのショートムービーがあるんですが、そういった作品のディテールを高めたようなものをアニメーションで描いてみたいという気持ちも持っています。今の規模の大きい制作体制ではなかなか難しいんですが、いつか「猫との小さな関係性」のようなものを描けたらいいなと思っています。
「ダイジンは作り終わった今でも未知の存在」
──少し作品の中身に関わる部分についてもお聞きしたいです。鈴芽の叔母の環(たまき)さんが、本音をぶつけてしまう印象的なシーンがありました。個人的には、あれはサダイジン(ダイジンの対になるようなキャラクター)の影響によるもので、ダイジンを邪険に扱った鈴芽に仕返しをしたのかなと思ったのですが。そこはどう捉えてもらってもいいかなと思っています。僕が言うことが答えではないと思い、わざと行間を空けているところでもあります。ただ、前提としてサダイジンは強い目的意識を持っています。
ダイジンのほうが子どもっぽくて自分の感情を優先しがちなのですが、サダイジンはもう少し合理的に目的を達成しようとしていると捉えてもらえるといいのかなと思います。
──確かにサダイジンはあまり自分の感情を出すような印象は無かったので、目的意識の違いを考えると見え方が変わってきますね。ただ、「猫ちゃんかわいそう」ではないのですが、鈴芽がダイジンに言った「うちの子になる?」は猫の保護活動者目線として反応してしまう軽い言葉に聞こえました。
そこは僕としても意識していました。鈴芽が軽い気持ちで言ってしまったあのセリフはちょっと残酷な言葉でもあったと思います。でも僕は、そのことによって鈴芽が責められるのもかわいそうな気がしています。鈴芽は嘘を言ったのではなくて、「本当にうちの子になってくれてもいいよ」というつもりで言ったと思うんです。
そしてその言葉はもともと環(たまき)にもらったものだと思うんです。かつて、鈴芽も抱きしめてもらいながら同じ言葉を言われたことがあった。だからこそ、地震の直後にボロボロの猫が目の前に現れたとき、鈴芽は「お腹空いてるんじゃない? 怖かったでしょ? うちの子になる?」と思って、環にもらった言葉が自然に出た。ダイジンが普通の猫だったら、鈴芽は本当に自分の子にしていたと思います。
でも実際は、ダイジンは役目を背負った「猫ではない存在」だったので、鈴芽の子にはなれなかった。それでもダイジンは夢を見て、鈴芽の子になるような泡沫(うたかた)の望みみたいなものを抱いた。それはきっとダイジンにとっても本心だったんじゃないかと思います。
──新海監督はすすめとつばめに「うちの子になる?」と言いましたか?
それを言うタイミングはなかったような気がしますけど(笑)、うちの子だと思ってますよ。動物病院に連れて行くとフルネームで呼ばれるんですが、嬉しいですね。家でもフルネームで呼んでみることがあります。家族だなと思います。
──新海監督にとって「ダイジン」はどんな存在なのでしょうか?
僕にとってはどこまでも未知の、神秘的な存在という感じがあります。鈴芽や草太は作り手として僕が親という感覚があって、「鈴芽はこういう気持ちなのかな」とか、「草太はこういう動機でこういう言葉を喋ったのかな」とか、自分の中である程度の答えがあります。
一方でダイジンに関しては、「このときダイジンがどういう気持ちだったのか」というのは自分の中に完全な道筋があるわけではないんです。でもそれは無いほうがふさわしいような気がしています。
猫も、動物全般も、人間が完全に言葉で説明できる心の解を持っているわけじゃないと思うんです。喜びとか苦しみとか共有するものはあるんでしょうけど、完全な互換性があるわけじゃなくて、どうしても異質な部分というのがあるはずです。
だからダイジンの行動原理や思っていること、感情を自分が完全に説明できてしまったら良くないと思うんです。映画の幅や厚みみたいなものを減じてしまうと思うので、作り終わった今でもダイジンは未知で、「本当は何を考えていたんだろう」と推し量るしかないような存在です。そういう存在が映画の中には必要なんじゃないかなと思います。
「ミータはお姉さんのような存在。大事なことは猫から教わった」
──新海監督と猫の歴史をお聞きしたいです。
僕は長野県の佐久地方にある小海町という小さな町で生まれ育ちました。八ヶ岳の麓にある標高1000mくらいの高原の街なんですけど、当時は野良猫がすごくたくさんいて、野良犬もまだいる頃でした。
ですから生まれた時から猫に囲まれてはいたんですけど、飼い始めたのは小学校の時でした。特別に懐いてくれた野良の三毛猫がいて、ごはんをあげているうちに家にも出入りするようになって、それが自分の猫を飼ったと思った最初の記憶ですね。
とても賢い猫でいつも小学校から帰る途中に迎えに来てくれて、そこからは家まで一緒に帰りました。女の子なのになぜか「ミータ」という名前を付けて、ミータが産んだ子たちも代々飼っていたので僕が高校を卒業するまで3〜4代くらいの猫と一緒に過ごしました。
猫って窓の外をじっと眺めていることが多いじゃないですか。獲物がいないかと思って見ているのかもしれませんが、黙って遠くの景色を見ているあの姿が子どもながらに不思議で、僕も外の景色をじっと眺めて、「こことは違う場所に憧れているのかな」とか、勝手に自分の気持ちを猫に重ねて考えていました。
中学や高校で人間関係に悩みがある時も、いつも落ち着いている猫を見ながら「そんなに気にしなくていいのかな」と考えたり。ミータは「自分の子」というより「お姉さん」のような感覚で、ミータのほうが自分の知らない大事なことを知っているような気がしていました。本当に大事なことは猫から教わったと思います。
大学進学のために東京に出てきてからは猫と暮らしたいなと思いながらもしばらくペットを飼えない期間が続きました。そして2004年くらいに西新宿で見つけた子猫がサユリです。母親がいなくて、生後2カ月くらいで痩せていて、目が目やにで開かないような状態の子でした。
サユリという名前は当時作っていた『雲のむこう、約束の場所』という映画のヒロインの名前から付けました。僕は何となく作っているものと生活が切り離せなくて、映画を作ることも仕事というより、ちょっとカッコ良く言ってしまうと「生きることそのもの」という感覚があります。
なので、作って終わりではなくて、この映画が自分の一生の何かになってほしいという気持ちがある。映画は公開が終わってしまうと、もしかしたら観てくれた方の気持ちからはだんだんフェードアウトしてしまうかもしれない。でも、猫はずっととどまり続けてくれますから、自分の一生の存在になってほしいと思って、映画の登場人物の名前を付けます。
サユリは長生きしてくれて、2020年の秋に亡くなりました。それから1年くらいたって、やっぱり猫と暮らしたいと思った時に出会ったのがすずめとつばめです。すずめたちには随分と助けてもらって、映画を完成させるための大きな力になりました。本当にすずめとつばめに出会わせてくれてありがとうございました。
──うちで預かった子たちは1匹1匹に想い入れがあって、新しい家族のもとで幸せに暮らしてくれるといいなと思って送り出しています。今日は心から猫のことを愛している新海監督のもとで幸せに暮らしていることを知れて嬉しかったです。これからもすずめとつばめのこと、よろしくお願いします。
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