犬の口内炎の原因や症状、治療法などを歯科担当獣医師が解説

犬の口内炎の原因や症状、治療法などを歯科担当獣医師が解説

犬にも口内炎があることはご存じですか? 犬の口内炎は自然治癒が困難のため、投薬や外科手術などの治療が必要になります。愛犬が口の周辺を痛がっていたり、食事の度に奇声をあげたりするようであれば口内炎を疑ってもいいかもしれません。今回は犬の口内炎ついて、原因や症状、治療法などをフジタ動物病院院長の藤田が解説します。

病名 口内炎
症状 口腔粘膜の2カ所以上の部位に炎症が起きている状態
原因 感染症、外傷、全身性疾患、特発性障害、免疫介在性障害、腫瘍性障害など
危険度 中。すぐに生命を脅かす危険性はないものの、犬の生活の質の低下、ストレスを与える可能性が高い

犬の口内炎とは

犬の口内炎症例画像

自らを咬むことによって引き起こされる肉芽腫(ミニチュアダックスフント、13歳齢、メス)


口内炎の定義は、歯科医学大辞典によると「口腔粘膜の2カ所以上の部位に炎症がみられた場合」をいいます。口唇や舌粘膜に単独に炎症がある場合は「口唇炎」や「舌炎」と呼び、口内炎とはいいません。

例えば、歯肉と舌、頬粘膜と口蓋粘膜などに生じた炎症性病変を口内炎といいます。

軽度の場合は、口腔粘膜が赤く見える程度ですが、進行すると肉芽腫のようになったり、腐ってきたりすることもあります。

犬の口内炎の原因

首をかしげるパグ

感染症

犬の口内炎では、多くの微生物(細菌、ウイルス、真菌など)により引き起こされることがあります。

感染症の場合、口腔粘膜に「炎症」「びらん」「潰瘍」などが見られることが多く、肉芽形成(粘膜が腫瘤状になる)を認めることもあります。

外傷

飼い主さんの意識次第で、予防できるものもありますので、特に気をつけましょう。

<化学物質>

「パイン油」「石油」「漂白剤」に触れることによって粘膜が炎症します。

<熱傷>

電気コードを噛んだり、熱湯を口に含んだりすることによって、熱傷を口腔内に負い、患部が炎症を引き起こします。

<ガムチュア病変>

自ら何度も舌や頬を噛むことによって粘膜が腫れ、肉芽腫ができることを「ガムチュア病変」といいます。

<その他の異物>

「針」「魚の骨」「プラスチックのおもちゃ」などの異物による損傷は少なくありません。

全身性疾患

「腎不全」や「糖尿病」が口腔内を刺激し、炎症を引き起こすきっかけになります。

そのため、腎不全や糖尿病を患っている場合は口腔内を定期的にチェックすることが望ましいです。

免疫介在性障害

免疫介在性障害は何かしらのきっかけによって、犬の免疫機能に異常が起こり、自分の組織を攻撃することによる障害のことを指します。

腫瘍性障害

口腔内に腫瘍ができると、その表面の粘膜は炎症を引き起こします。

犬の口内炎の症状

犬の横顔

犬の口内炎では、口腔内の粘膜の赤みや出血、腫れなどのほか、下記の症状などを示すことが多いです。

  • 口腔から出血や流涎(りゅうぜん:よだれを垂らすこと)
  • 口臭
  • 口を床や地面に擦り付ける
  • 食事中に奇声をあげる
  • 前肢に血液や唾液の痕がある
  • 口を開くことをしない
  • 硬いものを食べなくなり、軟らかいもののみ食べる
  • 食べたものをこぼすようになった
  • 片側の歯だけで物を咬んでいる
  • 口をくちゃくちゃする
  • 食後に食物を吐出す(嘔吐ではない)
  • 口の周りの被毛が濡れている
  • 前肢で口の周囲を気にする
  • 食欲が低下してきている
  • 体重減少

犬の口内炎の治療

草むらで舌を出す犬

口腔にみられる病変は多岐にわたるために、まず診断して、その原因に対する治療を行うことが必要です。

原因 原因の詳細 治療法
感染症 ウイルス パピローマウイルスの治療は通常は1~5カ月で自然退縮するが、6カ月以上病変が認められた場合は、外科切除(レーザーが有効)を行う。
真菌 カンジダ症の治療は、抗真菌剤イトラコナゾールやケトコナゾールを投与する。
外傷 中毒 外傷に対する治療で中毒の疑いがあれば、それぞれの中毒物質に対する治療を行う。炎症に対しては抗生物質、疼痛緩和剤を投与する。亀裂がある場合は、外科的に縫合が必要となる。
熱傷 熱傷に対する治療では、熱傷の治療(抗炎症剤や冷却など)と肺水腫を併発した場合は肺水腫の治療を行う。
ガムチュア病変 咬むことによって引き起こされる肉芽腫には咬合に支障をきたす場合は過剰な粘膜部位を切除する。状態により粘膜に直接外傷を与えている歯を抜歯する。
全身性疾患 腎不全や糖尿病 糖尿病や腎不全に起因した場合は糖尿病や腎不全の治療を行う。
免疫介在性障害 尋常性天疱瘡、水泡性天疱瘡、全身性エリテマトーデス ステロイド、免疫抑制剤などを投与する。
腫瘍性障害 悪性メラノーマ、扁平上皮癌、肥満細胞腫、線維肉腫など 基本的に外科手術が適応できる部位であれば外科的切除を行う。

まとめ

見上げる二匹の犬

口腔粘膜の2カ所以上の部位に炎症がみられた場合を口内炎といいます
口内炎の原因はさまざま考えられます
口内炎は口腔内の粘膜の赤みや出血、腫れなどを引き起こします
口内炎は自然治癒が困難です

口腔内はわざわざ見ないと変化が分からないので、定期的に口腔内チェックをし、早めに気づけると良いでしょう。

口内をしきりに気にするようであれば様子を見ることなく早めに動物病院へ連れて行ってあげてください。早期発見・早期治療が愛犬のためになります。


参考文献




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