白背景と小物を生かして愛猫をかわいく♪ 人気インスタグラマーさんに聞く【猫の写真の撮り方】
猫の魅力を最大限に引き出すカメラマンたちにその技を披露していただく連載「猫の写真の撮り方」の第3回は、「白背景と小物を生かした写真」がテーマです。外に出る機会が多い犬と違って、猫はほとんどが室内飼い。どうしても単調な構図になりがちです。そこで今回は、愛猫まろくんの写真で人気のインスタグラマー昭江さん(@akiaki_e)に、白背景と小物を生かした写真の撮り方をお聞きします。
撮影:@akiaki_eさん
猫のドアップ写真から構図を意識した写真へ
昭江さんは都内で旦那さまと猫ちゃんの2人と1匹暮らしをされています。素人とは思えない写真の数々に撮影関係のお仕事をされているのかと思ったのですが、普段はIT系企業で営業事務の仕事をされているそうです。
撮影技術は前職の上司から教わり、旦那さまもカメラが好きという環境もあって習得していったとのこと。
昭江さんの愛猫まろくんは、2017年5月生まれの元野良猫。昭江さんの同僚が保護し、実家で保護猫を飼っていた経験がある昭江さんに相談があって1歳半の頃に迎えられました。マシュマロみたいにホワホワしていたので「まろ」と名付けられたそうです。
迎えたばかりのまろくん(撮影:@akiaki_eさん)
昭恵さんがInstagramに投稿する写真の特徴は「白で統一されている」ということ。
緑の植物やワインボトルなどアクセントに使われる小物はさまざまですが、どれも白壁の背景、白のソファー、白の机など、白がベースとなる画作りが目を引きます。
ただ、昭江さんの投稿をさかのぼっていくと、まろくんを迎えてからの写真と最近の写真では少し撮り方が異なることに気付きます。
2017年9月撮影(撮影:@akiaki_eさん)
2018年8月撮影(撮影:@akiaki_eさん)
どちらも「キャットタワーにまろくんがいる写真」ですが、2017年は「ペットのかわいい写真」で、まろくんが世界の中心という印象。2018年は「白を意識しつつ作品性の高い写真」で、白の世界観の中にまろくんがいるという印象を受けないでしょうか?
昭江さん:初めは猫のアップしか写してなかったんです。それがだんだん構図を気にするようになったというか。猫ちゃんのドアップもかわいいんですけど、ドアップだけ毎回写してると……猫ってそんなに変化がないので、毎回同じ写真になってしまって。かわいくていいんですけど、つまんないなと思って、猫ちゃんだけをバーンと撮るのはやめるようになりましたね。
2017年頃撮影
2018年頃撮影
複数の写真を並べてみると一目瞭然。1年で同じ場所で撮影された写真とは思えないほどの変化を感じます。どうやって今の撮影スタイルに変わっていったのでしょうか。
スマホカメラから一眼カメラへ
まず最初に、まろくんを迎えた頃からの変化として、撮影機材があります。スマートフォンのカメラから、一眼レフのカメラへと変化していったそうです。昭江さん:最初の頃はスマホも使ってたんですよ。でも、途中から全部一眼レフになって、スマホでは撮らなくなっちゃいました。皆さんに「写真が綺麗!」って言われるようになって、スマホで撮りづらくなっちゃいました(笑)。
昭江さんが使っているカメラはキャノンの「EOS 5D MarkⅢ」と「EOS 80D」の2種類です。
5Dに24-70mmのズームレンズ、80Dに30mmの単焦点レンズ(※1)と状況に合わせて使い分けているそうです。もともと5Dが旦那さまのカメラだったそうですが、最近は昭江さんも5Dを使うことが多いそうです。やはり、「フルサイズ(※2)を使っちゃうと全然違う」とのこと。
※1:単焦点レンズはズームレンズのようにレンズを回して被写体に近付いたり引いたりすることができません。その代わり、ズームレンズより「明るく」「ボケやすく」「綺麗に」撮れるという特徴があります。
※2:レンズから入ってきた光をデジタル信号に変換するセンサーを「イメージセンサー」といいます。一般的に最も大きなサイズを「フルサイズ」と呼び(フルサイズより大きいセンサーもあります)、入門機から中級機ではフルサイズの半分ほどの「APS-Cサイズ」が使われます。
センサーサイズが大きいほど記録できる情報が多くなり綺麗に撮れますが、その分カメラの本体サイズ・重さ・撮影したデータサイズが大きくなり、本体価格も高くなります。
センサーサイズが大きいほど記録できる情報が多くなり綺麗に撮れますが、その分カメラの本体サイズ・重さ・撮影したデータサイズが大きくなり、本体価格も高くなります。
単焦点レンズのほうがボケ具合も良く綺麗に撮れそうですが、昭江さんは単焦点レンズで撮影する際に気を付けていることがあるそうです。
昭江さん:単焦点レンズを使う時はF値(※3)が小さすぎるとボケボケになっちゃうので、あんまりボカしすぎないんですよ。だからF値は3.2とか4.0くらいです。インテリアと一緒に写したいので。
※3:F値は「絞り値」とも呼び、レンズを通る光の量を表します。F値が小さくなるほど光の量は多くなって明るく写すことができます。同時に、ピントが合う範囲が狭くなるため、F値が小さくなるほどボケやすくなります。
撮影:@akiaki_eさん
昭江さん:あと明るめに撮りたいので、ISOは500くらいに固定してます。モードはマニュアルで、シャッタスピードとかも自分で設定しています。そのほうが楽しいんですよね。ただ、まろちゃんが動いちゃったときは「あ……!」って(笑)。
まるでスタジオのようなお部屋
昭江さんの写真で特に気になるのは、やはり「どうやって白がベースとなる画作りをしているのか」という点です。撮影場所としてよく登場するのは主に「ガラステーブルの上」「瓶が並んだ机の上」「ソファーの上」の3つ。今回は実際にお宅を見せていただき、写真に写っていないお部屋の様子も見せていただきました。撮影:@akiaki_eさん
こちらの写真がどのような部屋で撮影されているのかというと……。
撮影:@akiaki_eさん
昭江さんはいつもソファーに座って、ガラステーブルの上に乗ったまろくんを撮影していたんですね! この場所で撮影するときは、まろくんが自ら乗って、「かわいい!」と思った瞬間にカメラを出して撮影しているそうです。
撮影:@akiaki_eさん
撮りたいと思ったときにすぐカメラを取り出せるように、カメラはテーブルの下に収納されていました。
そして、瓶が並んだ机の上は……。
実は2箇所ありました。Instagramの投稿からは「作り込まれたスタジオ」のような印象を受けますが、引いてみると、どちらも「綺麗に飾られた机」が撮影スペースとして活用されていたことがわかります。そして一番の特徴は、やはり「白」の統一感。白以外の色はワンポイントとして白を邪魔しないように配置されています。
白で統一するのは昭江さんのもともとの趣味で、賃貸なのでできることは限られていますが、もともと真っ赤だった棚の扉に白のシートを貼るといった工夫をして現在の統一感を実現したそうです。
撮影:@akiaki_eさん
ちなみに、9月に引っ越し予定の昭江さん。新しい部屋作りを考えている真っ最中とのことでした。
昭江さん:次のお部屋は、まろくんがたくさん日光浴ができるくらいに陽当たりもいいので、きっと気に入ってくれると思います! インテリアはシンプルに白をベースをすることは変わらないのですが、「可愛い」よりも「かっこいい」イメージにできたらいいなあと思っています。そして、自分もお部屋と一緒に「かっこよく」なれるように努力したいです(笑)。
昭江さんとまろくん
愛猫をどう撮るかではなく、どういう空間にいてほしいか
愛猫を撮ろうとするとどうしても猫を中心に「どういう角度・構図・背景・タイミングで撮るか」と考えてしまいがちですが、昭江さんの撮影スタイルは、まず「お部屋の世界観」があり、「撮影できる場所」があり、そして、「そこにいるまろくんを撮る」というものでした。「うちの子こんなにかわいいのに、写真がうまくないから余計なものまで写っちゃうのよね……」とお悩みの方は、「どんな空間にいてほしいか」から考えてみると理想に近付けるかもしれませんよ。
新しいお部屋でまろくんがどんな表情を見せてくれるのか。今から楽しみですね♪
昭江さん、ありがとうございました!