猫の脱毛チェックポイント5つ!原因や考えられる病気を皮膚科担当獣医師が解説

愛猫とのリラックスタイム……ソファに座ってテレビを見ながら愛猫を撫でたりブラッシングしたり。そんな至福の一時。ふと、「あれ? この子こんなに毛が薄かったかしら? もしかしてハゲてる?」と、愛猫にハゲを見つけてしまったら、「病院にすぐ連れて行った方がいい?」「どうしたらいいの?」「家で何かできることはある?」「放置しても大丈夫?」と不安になってしまうと思います。まずは慌てないで愛猫の様子、ハゲ(脱毛)の様子をチェックしてみましょう。今回は猫の脱毛について、シリウス犬猫病院院長の石村が原因と考えられる病気、応急処置などを解説します。

猫の脱毛の原因と考えられる病気

猫

猫の毛が抜ける原因は、換毛期(※)や日々の生え替わり、アレルギーや寄生虫感染などによる皮膚病やホルモン異常、ストレスなどの抜け毛など、いろいろなことが原因として考えられます。基本的に猫は年中毛が抜ける動物なので、まんべんなく抜けていて地肌が見えないくらいの脱毛であれば異常ではないと思われます。

しかし一部分がごっそりハゲていたり、赤みやブツブツ、フケがたくさん出たり、痒みがあったりするなどの症状を伴う場合は、ただの抜け毛ではなく何らかの病気が疑われます。
※換毛期:猫には1年の中でも特に抜け毛が多い「換毛期」という時期があり、春過ぎに「夏に備えて」と、秋過ぎに「冬に備えて」の2回あります。人間でいう衣替えみたいなものですね。

皮膚・被毛のトラブル?5つのチェックポイント

猫の皮膚や毛に異常を感じたら、まずは慌てないで猫の様子を注意深くチェックしてみましょう。
  1. どこの毛が抜けているのか(耳、顔、頭、背中、お尻など)
  2. どんな風に抜けているのか(一部分だけか、左右対称なハゲなのかなど)
  3. 痒がっていないか(引っ掻き傷などはないか)
  4. しきりに舐めていないか
  5. 皮膚以外に異常はないか

どこの毛が抜けているか

猫の脱毛の原因によっては、症状が出やすい部位が存在します。ぜひチェックしてみましょう。

耳や頭部・顔面の脱毛は、アレルギー(食物アレルギー蚊の刺咬性過敏症)や疥癬(カイセン)・ミミダニなどの寄生虫によるもので多く見られます。食物アレルギーでは目や口の周りに症状が出ることが多いです。また、お外に行く猫ちゃんで、夏場に耳や鼻などにブツブツができていたら、蚊に刺されることによるアレルギー反応などが疑われます。

背中〜腰あたりの脱毛はノミアレルギー性皮膚炎でみられることが多いです。ノミ1匹を探すのは難しい場合が多いので、ノミアレルギー性皮膚炎を疑ったらノミの糞がないか探してみましょう。黒いゴマ粒のようなものが確認されたら、ノミの糞かもしれません。ティッシュの上に置いて水を垂らしてみましょう。もしノミの糞なら赤く滲んでくるはずです。

まれに体質的にお薬が合わず、ノミ駆除剤の滴下や注射でハゲてしまうこともあります。最近ノミ駆除剤を滴下したり、動物病院で注射を受けたりしていないか思い出してみましょう。

どんな風に抜けているか

左右対称性の脱毛はホルモン異常によるものなどが考えられます。副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)や性ホルモンなどのホルモンバランスの乱れにより、左右対称に脱毛が起こることがあります。また、円形の脱毛などはカビ(皮膚糸状菌症)などの感染で見られることがあります。

副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)

副腎皮質ホルモンが過剰に分泌されることにより、いろいろな症状が出る病気です。「水をたくさん飲む」「おしっこの量が増える」「異常に食欲が増加する」「お腹がふくれる」「毛が左右対称性に抜ける」などの症状が現れます。副腎皮質ホルモン製剤(ステロイド剤)を長期にわたり飲むことによって同様の症状が出ることもあります。

痒がっていないか

アレルギーや外部寄生虫(ノミやカイセンなど)の感染は、ほとんどの場合、痒みを伴います。特にカイセンやミミダニはものすごい痒みを伴うので、頭部や耳あたりをしょっちゅう掻いている姿が見られるかもしれません。一方、ホルモン異常やカビ(真菌)の感染の場合は痒みを伴わないことが多いです。

舐めていないか

猫の舌はザラザラしているので、舐めた部分がつるっぱげになることがあります。ずっと同じ部分を舐め続けている場合には、その部位になんらかの異常がある可能性があります。例えば、おしっこのトラブルなどで陰部に違和感を感じ、しきりに下腹部あたりを舐めることもあります。

また猫の脱毛の多くは病的なものが原因として多いですが、ストレスが原因となる場合もあります。例えば住環境の変化や家族構成の変化など、「変わったことがなかったか」「猫ちゃんがストレスを受けるようなことをしていないか」など、じっくり考えてみましょう。なお、舐めることによる脱毛は猫が舐められる部位に限定されます。頭や肩あたりは舐めれないのでハゲになることはありません。

猫の脱毛

皮膚以外に異常がないか

内臓系の病気が原因で皮膚の異常が起こることもあります。皮膚以外に異常がないかチェックしてみましょう。元気・食欲、体重の変動、多飲多尿の有無などが注意ポイントです。

猫の脱毛時に飼い主さんができる応急処置

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猫の脱毛にはさまざまな原因が考えられます。ストレス性の脱毛が疑われる場合は、日常生活において猫ちゃんがリラックスできる環境をつくってあげましょう。そしてできるだけストレスの原因となるものを取り除けるといいですね。ただ、飼い主さんだけで原因を判断することは困難な場合が多いです。ハゲ部分がどんどん広がってきたり、痒みを伴う場合や皮膚以外にも異常がある場合は、早めに病院を受診されることをオススメします。

猫の脱毛はちょっとした変化に気付くことが大切

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愛猫が健康な状態を維持するためには、何か異常があった時に獣医師が最善の治療をすることはもちろんですが、まずは飼い主さんが猫ちゃんのちょっとした異変をいち早く察知することが大切です。一番猫ちゃんのことをわかっているのは、毎日一緒に暮らしている飼い主さんです。日々の暮らしの中で、ちょっとした変化がわかるよう猫ちゃんとのコミュニケーションを大事にできたらいいですね。

参考文献