猫がため息をつくときの気持ちとは?呼吸との違いや病気の可能性を解説
猫もため息をつくことがあることをご存知ですか?猫のため息は小さいのでよく観察していないと気がつかないかもしれません。猫のため息にはどんな意味があるのでしょうか。猫がため息をつくときの気持ちや理由を解説します。
猫のため息ってなに?
人間のため息は「はー」とか「ふー」とか、口から大きく息を吐き出すものですね。人間が大きく息を吐き出す音は結構響きますし、ため息をついたことを分かりやすいです。しかし猫のため息は口から息を吐くのではなく、鼻から息を出すもので、人間に比べると小さなため息です。
猫のため息は鼻から息を出す
猫のため息は鼻から「フー」と息を吐き出したり、「フンッ」と短く息を出したりします。人間のため息とは少し違いますね。人間は口でも呼吸を行いますが、猫は基本的に鼻で呼吸をします。そのため、ため息も口から息を吐くのではなく、鼻から息を出すのです。もし猫が鼻からではなく口から息を出したり、呼吸をしている様子が見られたりしたら、体調が悪い可能性があるので気をつけましょう。
猫がため息をつくのはなぜ?
猫がため息をつくのはなぜなのでしょうか。猫のため息にはどんな気持ちが込められているのか解説します。
ため息はネガティブな意味ではない
人間がため息をつくときは、疲れたりがっかりしたり、飽きたりしているときにつくというイメージがありますね。人間のため息にはネガティブなイメージが大きいですから、目の前でため息をつかれると嫌な気分になるものです。しかし医学的に見るとため息には、大きく息を吐き出し酸素を取り入れるという生理的な行動であるという側面があり、必ずしもネガティブな意思を表すためにため息をついているわけではないのです。ため息には自律神経を整えるなどの効果もあるので、ストレスを感じたときなどに、体が酸素を求めて息を吐かせるという働きもあります。
猫のため息も人間のため息と似ている点があり、ネガティブな気持ちのときだけにため息をするというわけではありません。
リラックスしているときにため息をつく
大切な愛猫にため息をつかれると何か不満があるのかなと心配になってしまうこともありますが、必ずしもそうではないときもあります。息を大きく吐くと、体の力が抜けますね。筆者は夜寝るときにベッドに横になると、自然に「は~」とため息が出て全身の力が抜けます。筆者の横に寝に来た愛猫も、「ふ~」と鼻から息を吐いて寝る態勢になることがあり、「シンクロしているなぁ」と思っておかしくなったりします。
このように、猫もリラックスしているとき、もしくは体の力を抜いてリラックスしようとしているときに「ふ~」と鼻から息を出してため息をつくことがあります。
ストレスや不満があるとき
何か嫌なことを我慢したり、ジャンプを失敗して転んでしまったというようなストレスを感じたりしたときにもため息を漏らすことがあります。「ふ~」と深く息を吐くだけでなく「フンッ」や「フンフン」と連続のときもよく見かけます。猫は何かストレスを感じると代替行為をして、気分を落ち着かせようとします。よく知られているのはグルーミングや爪とぎですね。ジャンプを失敗したり、飼い主さんに叱られたりするときも見られるので「ごかましている」と言われますが、そうではなく自分の動揺した気持ちを落ち着かせとしているのです。ため息をつくのも代替行為の1種です。
緊張状態から解放されたとき
緊張状態にあるときは人間もギュっと身を固くして息をつめますが、猫も同じです。同居猫と何かいざこざがあったときや、虫を発見して狙いを定めてすごく集中しているときなどです。息をするのを忘れるくらい集中した後に、その緊張状態がほぐれたり、はっと我に帰ったりしたときにはため息が出ます。それまで詰めていた息が一気に放出されて体の力が抜けるのですね。猫が同居猫と追いかけっこをしたり、飼い主さんと猫じゃらしで十分に遊んだりしたあとに、ダラーっと横になりながら「ふ~」とため息をつくことがあります。これもある意味、緊張状態から解放されたため息です。十分遊んだあとは、「楽しかった~、ふ~」という感じでしょうか。グルーミングのあとも「ふ~」とため息をつくことがあります。熱心に自分の体や顔をグルーミングした後に思わずため息が漏れてしまうのでしょう。
猫が抱っこされたときのため息
猫が抱っこされたときにため息をつかれると、飼い主さん的には「そんなにイヤなの?」と心配になる方もいるでしょう。抱っこのときに猫がするため息はどんな気持ちなのでしょうか。
抱っこされて満足
これまで解説してきたとおり、猫のため息はネガティブない意味だけがあるわけではありません。抱っこが好きな甘えっこちゃんであれば、抱っこされたときに出るため息はきっとリラックスのため息です。筆者宅にも何匹か抱っこニャンコがいますが、抱っこ抱っことせがんで抱っこしてもらったときは、「フン、フン」と息を鼻から出すときがあります。それはそれは嬉しそうに、しがみついてきながらするので、100%喜びのため息だと思います。
ちょっとイヤ
抱っこしてもらって満足してため息をつくこともありますが、全く反対のときもあります。抱っこがあまり好きではない子を無理矢理抱っこしたときなどにため息をつかれたら、それは多分、嫌だというサインです。嫌なのに抱っこされているので、ストレスを感じて気を落ち着かせようとため息をついているのです。抱っこが苦手な猫ちゃんは実は少なくありません。抱っこはそもそも猫にとっては不自然で、安定感がなく拘束される体制なので嫌いな子も多いのです。ため息をつかれて、身をよじられたら無理に引き留めない方がいいですね。
猫のため息が多いのは病気のせい?
猫が時々ではなくしょっちゅうため息をついているような様子が見られる時は病気の可能性もあります。
鼻の異物を取るため
病気ではないですが鼻に何かほこりなどの異物が入ったときに、穴から大きく息を出し異物を取り除こうとするときがあります。そのときはゆっくり「ふー」と吐くのではなく「フン、フン」と勢いよく出すのが特徴です。何回か繰り返した後に収まれば異物が取れてスッキリしたということでしょうし、あまり心配はいらないでしょう。猫風邪
通称「猫風邪」と呼ばれるウィルスなどによる感染症は、猫の目や鼻などに炎症を起こさせることが多くあります。鼻が詰まったり、鼻水が出たりするという症状を発症することも多く、そうなると詰まっている鼻の通りを良くしようと、勢い良く鼻から息を出すという様子が見られます。また猫は基本的には鼻呼吸ですが、あまりにも鼻が詰まって苦しいと口を開けてハアハアするような様子が見られます。ウィルス感染症は放置するとほとんどの場合、悪化して炎症が慢性化することもありますので早期に獣医を受診することをおすすめします。早期発見・早期治療をすることで経済的な負担も軽くなります。
慢性的に鼻が詰まっている
猫風邪の鼻づまりの症状が慢性化してしまい、腹鼻腔炎を発症してしまう場合があります。猫風邪をひいていなくても常に鼻が詰まっている状態になり、頻繁に鼻から息を勢いよく出す行動が見られます。腹鼻腔炎になってしまうと根治は難しいのですが、サプリメントなどで症状を和らげることができる場合もあるので獣医に相談してみましょう。猫のため息は人間と似ている
人間のため息は口でしますが、猫のため息は鼻でするという違いがあります。しかし猫がため息をしたくなるときや、ため息をする理由は人間と似ていることが多くありますね。ただ、人間のため息の場合はマイナスなイメージの方が大きいですが猫のため息は必ずしもそういうわけではありません。
人間にこれ見よがしにため息などをつかれると嫌な気分になったりしますが、猫ちゃんには全くそういう意図はありませんので、たまにため息をつかれても気にしない方がいいでしょう。
ストレスなどでため息をするときは、他にもしっぽを苛立たしそうに揺らしたり、イカ耳になったりなどの不満のシグナルを伴っていることがありますので、その様子を観察するとどんな気持ちでため息をしているのか、より分かるのではないでしょうか。