猫との引っ越しはストレスに注意!パニックを起こさないための準備などを解説
猫の飼い主さんにとって引っ越しは簡単なことではありません。「犬は人に付き、猫は家に付く」という言葉があるように、猫にとって住み慣れた家は自分のテリトリーとなるとても大事な場所です。そこから出て新幹線、飛行機などを使った長距離の移動は、猫にとって強いストレスになることがあります。今回は、引っ越しの際にできるだけ猫がストレスフリーでいられるための方法を紹介します。
猫にとって引っ越しはストレス
猫にとってごはんを食べたり遊んだりする家の中は、すべてがテリトリーです。
その大事なテリトリーから引っ越しをしなければいけないというのは、猫にとって楽しいイベントとはいえないようです。
テリトリーの外に出るストレス
猫たちは自分のテリトリー外にいると、非常に強いストレスを感じます。いつも大人しい猫が、動物病院へ連れて行くときだけ暴れたり引っ掻いたりするといった飼い主さんの苦労話を耳にすることは少なくありません。
これは動物病院に行くのが嫌だというより、テリトリーの外に出る不安感からくるストレスが一番の原因だといわれています。
それが楽しい家族旅行であったとしても、猫にとっては「移動」そのものがストレスとなってしまうのです。
猫はストレスが原因で死ぬこともある?
「テリトリーの外に出ること」「身の回りの環境が変わってしまうこと」「長時間移動すること」といった猫にとって慣れないことのすべてが一度にやってくるのが「引っ越し」です。大げさな話ではなく、引っ越しのストレスで愛猫が死亡してしまったというケースもあります。
普段から神経質な子や動物病院に行くのも大変な子、病気で弱っている子などは特に注意が必要です。
猫との快適な引っ越しのための3ステップ
たった数分、数時間の動物病院の移動ですら嫌だという猫たちと快適に引っ越しをするには、準備から念入りにする必要があります。
1. 引っ越しの準備
新幹線など電車(鉄道)や飛行機といった公共交通機関で移動する場合はもちろんですが、車で引越しする場合も猫の安全を考えて、クレートに入れて運ぶことがおすすめです。ポイントは、引越し前に猫をクレートに慣れさせることです。
まずはクレートのドアを開けて猫に見える場所に置いておき、興味を持った猫が自主的に入れるようにしておきます。
「クレートの中におやつを置いておく」「クレート内でご飯を食べさせる」など、クレートが嫌な場所ではないということを覚えさせるのも良い方法です。
2. 引っ越し当日
引っ越し当日は業者が頻繁に出入りしたり大きな物音がしたりと、猫にとってはテリトリーを他人に荒らされる嫌な日です。
特に注意しなければいけないのは脱走。普段は外に興味がない猫でも、ドアの隙間から出て行くこともあるかもしれません。
ストレスを軽減させるためにも、浴室などの小さな部屋やケージ内にお水とトイレを設置して、猫が脱走することを防ぎつつ、なるべく快適に過ごしてもらいましょう。
食べないかもしれませんが、ご飯を用意してあげるのも効果的です。
移動中もクレートはなるべく開けないようにしましょう。開ける場合は小さな隙間からおやつやお水をあげる程度にするといいでしょう。
環境の変化がどうしても苦手な子の場合は、落ち着けるようなスプレーや薬を獣医さんに処方してもらうのもいいかもしれません。
3. 引っ越し後
脱走対策を講じる
猫たちは自分のテリトリーではないところへ行くと、その場所から逃げ出そうとすることがあります。引っ越し当日もそうですが、引っ越した後しばらくの間は、隙間などから逃げてしまわないように気をつけましょう。
ゆっくりと静かに過ごさせる
引っ越し後は落ち着かない時間が続きます。今まで暮らしていた場所とは違い、どこにお水やご飯があるか、どこでトイレを済ませたらいいのかわからず、それがストレスの一因となってしまうこともあるでしょう。新しい土地へのお引っ越しが済んだら、まず一つの部屋にトイレと水を置き、愛猫にはそこをテリトリーとして覚えてもらいましょう。
そこで数週間、匂いや音を覚え、飼い主さんと静かに過ごせるようにさせてあげます。
ゆっくり生活圏を広げてあげることで、猫が自然とテリトリーを家全体へと広げることができるようになります。
引っ越し後、起こりうる猫の問題行動
夜鳴き
めったに鳴かない静かな子だったのに、引っ越しをしてから何かを訴えるように鳴くことがあります。特に夜鳴きは引っ越しや新しい環境で疲れている家族にとってストレスになりますし、引っ越してきたばかりで周りの目も気になるでしょう。
猫にとっても、飼い主さんたちを困らせたくて鳴いているわけではありません。もしかしたら引っ越しのストレスで体に異変があり、それが原因で鳴いている可能性もあります。
うるさいからと知らんぷりしたりせず、どうしたら愛猫がリラックスできるかを考えてあげることが大切です。
どうしても夜鳴きが続く場合は、行動診療専門の獣医師に相談するといいでしょう。
トイレをしない・粗相をする
基本的に猫は犬と異なり、トイレの場所を飼い主さんに教わるのではなく、トイレがしやすい場所をトイレと認識します。引っ越しを機に新しいトイレに変えたり、新しい猫砂に変えたりといった猫が望んでいない変化は起こさないようにしてください。
猫によっては、前の家にいたときの匂いが残っているトイレが落ち着く場所になる場合があります。猫砂も全部を捨てて交換せず、前の家で使っていたものを新しい猫砂に混ぜてあげるといいでしょう。
粗相をした場合は怒っても解決しません。その場所に入れないようにしたり、匂いが残らないようにしたりして本来のトイレにうまく誘導してあげることが大切です。
ストレスフリーな引っ越しで愛猫と快適な暮らしを
猫にとって引っ越しは大きなストレスがかかります
引越し前に猫をクレートに慣れさせましょう
引っ越しの際は脱走に注意が必要です
新しい土地で新しい人間関係を築いたり、お気に入りの場所を新たに探したりと、私たちにとっても慣れない場所での暮らしは少なからずストレスが溜まるもの。
飼い主さんの態度や表情の変化は猫たちに大きな影響を与えます。
愛猫はもちろん、家族全員にとってストレスが少ないお引っ越しで新しい生活を快適にスタートさせてくださいね。
参考文献
- 「Moving to a New Home with a Cat」(WebMD)
- 「A cat and its territory: from marking out the area to its space management methods 」(Almo Nature)