犬の呼吸が速い・息が荒い場合に考えられる原因と応急処置を循環器認定医獣医師が解説
それぞれ個体差はありますが、犬は1分間に安静時に平均で18~25回程度の呼吸をします。もちろん興奮や運動後には呼吸数が増加します。普段よりも「呼吸が早い」「回数が多い」場合は、何か潜んでいる可能性が考えられます。今回は目黒アニマルメディカルセンター/MAMeCの顧問獣医師の佐藤が犬の呼吸が速い・息が荒い場合に考えられる原因や症状、応急処置などを解説します。
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犬の呼吸が速いかどうか正常な呼吸数を知る

呼吸の変化に気付くためには、健康な状態の愛犬の呼吸状態・呼吸数を知っておく必要があります。
正常な回数が分からなければ、異常かどうかも判断できないためです。まずは愛犬の呼吸数を調べてみましょう。
呼吸数計測のタイミング
安静時もしくは睡眠時の呼吸を計測しましょう。呼吸数計測方法
- 15秒あたりの呼吸数を数える(胸の動きを見てカウント)
- 15秒あたりの呼吸数を4倍することで、1分間当たりの呼吸数を計算する
愛犬の正常時の呼吸数がわかったら、どこかに控えておきましょう。
実際に「呼吸が早い」と思ったときの目安になります。正常時の呼吸数よりも呼吸数が多かった場合は、異常な数値ということになりますので、早め病院へ行きましょう。
犬の呼吸が速い場合に考えられる原因
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犬種の特性
パグやフレンチブルドッグなどの短頭種、中~大型犬は興奮しやすいため、すぐに呼吸数が増加したり、開口呼吸をしたりする傾向があるので、異常ではないケースがあります。遊ばせた後などの場合は、一旦様子を見て、長期的に呼吸が早い状態が続くのであれば、動物病院に連れて行きましょう。
呼吸器の異常
呼吸器に異常がある場合に呼吸が早くなることがあります。原因としては「ウイルス」「細菌」「真菌」「寄生虫などの感染症」「アレルギー」「異物」「腫瘍」などが考えられます。
熱中症
初期症状として、呼吸が早くなり、よだれを流します。その後、ぐったりと横たわり動けなくなったり、嘔吐などの消化器症状を引き起こしたりし、最悪の場合、命を落とします。散歩の時間帯や、部屋の温度・湿度に注意すれば防げる病気です。
傷みがある
ケガや外傷による痛み、膵炎や下痢などによる腹部の痛み、脊椎や関節の痛みなど、どこかに痛みがある場合に呼吸が早くなることがあります。血液など体液の異常
酸素は血液により運ばれます。その血液が少なくなる貧血や脱水を引き起こすことで、呼吸が速くなることがあります。異物誤飲
異物を誤飲し、喉や呼吸器が圧迫されて呼吸が早くなっている可能性があります。さっきまで遊んでいたおもちゃがなくなっていないか、置いてあったものがなくなっていないかなど、身の回りのものを確認しましょう。
犬の呼吸が早い場合の応急処置
舌の色を見る
舌の色が変わってないか注意して見るようにしてください。普段はピンク色をしているはずが、呼吸困難になると紫色になることがあります。また、貧血を起こしていると舌や粘膜の色が白くなります。いずれの場合でも、舌の色が変わることは重症ですので、すぐに動物病院へ連れて行きましょう。
口の中を確認
口を開けて、詰まっているものがあれば取り除きましょう。目に見える所に異常がなければ水分を摂らせてみましょう。異物などであれば改善する場合もあります。熱中症の場合は水分を摂らせる
呼吸が速いのほかに、愛犬の体が熱い場合は熱中症の可能性があります。その場合は水分をしっかり摂らせ、通気性のいい涼しい場所に移しましょう。そして、なるべく体を冷やすことが必要です。
痛みの場合はすぐ病院へ
どの部位が痛いのか触ってわかる場合とわからない場合がありますが、愛犬の体を触ってみて、触られることを嫌がる部位はないか確認しましょう。痛みに関しては重篤なことが多いため、早急に受診することをおすすめします。
犬の呼吸が速いかどうか正しいチェックが大切!

愛犬の正常時の呼吸数を知っておきましょう
呼吸が早くなりやすい犬種がある
愛犬の呼吸が異常に感じたら病院へ
運動後でもないときに愛犬の呼吸が早くなり、苦しそうに見えたらまず病気を疑いましょう。早期発見・早期治療が、早期回復につながる可能性が高まります。
呼吸以外でも愛犬の「正常な状態」を知っておくことは重要です。普段から愛犬の小さな変化に気づけるようスキンシップをとりましょう。

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