今回の『FUN LETTER(ファンレター)』は、ペット保険のアニコム損保さんと一緒に、愛犬・愛猫の「これからの健康管理」をテーマにした内容を前後編でお届けします。
前編では、獣医さんに「先生自身の愛犬の健康管理」についてお聞きし、体を見て、触ってあげるだけではなく、お腹の中にも目を向けることが病気の予防・早期発見に大切だと教えていただきました。
でも、お腹の中のことは外からではわかりませんよね。そこでアニコムグループでは、最新の腸内細菌研究をもとにした「腸内フローラ測定」を提供しています。
後編では、アニコム先進医療研究所の研究主任であり獣医師の島 綾香先生に、腸内細菌研究の最前線についてお聞きします。聞き手は、JVCC動物病院グループ・二次動物医療センター目黒病院センター長獣医師で予防医療にも力を入れている佐藤貴紀先生です。
島 綾香先生(写真左):アニコム先進医療研究所 研究開発部 主任。大阪府立大学獣医学類卒業。獣医師・博士(獣医学)。フランス国立保健医学研究所、国立感染症研究所を経て現職。
佐藤 貴紀先生(写真右):JVCC動物病院グループ株式会社代表。JVCC二次動物医療センター目黒病院(JAM)センター長。麻布大学獣医学部卒業。獣医循環器学会認定医。予防医療にも力を入れている。株式会社PETOKOTO取締役。
コルク(写真中央):株式会社PETOKOTOの社員犬。元保護犬のウェルシュ・コーギー・ペンブローク。現在はPETOKOTO代表の大久保と一緒に暮らしている。
佐藤:今日は腸内細菌の最新研究を教えていただけるということで、とても興味深いと思って楽しみにしていました。自分は獣医になって20年近く病院で診察をしています。その中で例えば「乳酸菌が犬や猫のお腹に良い」というのは知っていても、どういうメカニズムで良いのかは意外とわかっていませんでした。その辺が明らかになっていくのはいいですね。
島:人間の医療では、「こういう患者さんにこういう菌が多い」という病気ごとの特徴がわかってきています。病気の人は健康な人より菌の多様性が少なくて、それを改善して多様性を増やすことで病気が発症しにくくなるといった研究も進んでいます。それは獣医療の分野でも同様です。もっと研究が進めば、特定の細菌をターゲットにした薬が出てくるかもしれません。
佐藤:一昔前、動物病院は「病気になってから行くところ」でした。でも最近は、「病気にならないために行くところ」という予防医療の観点も浸透してきました。ワクチンやノミ・ダニはもちろん、フィラリア対策も注目されています。
あと健康診断ですね。人間ドックのように「ドッグドック」や「キャットドック」とも言われることもあります。健康診断も予防医療の一つとして大事なことです。ただ、そこで糞便検査もするのですが、顕微鏡でわかることって限られています。寄生虫の有無とか、「こんな菌がいた」というのはわかっても、それが良い菌なのか悪い菌なのかまだまだわからない部分が多い。だからこそ、腸内フローラ測定のように飼い主さんが簡単に調べられて、その結果を簡単に知ることができる仕組みができたのは画期的だなと思います。
佐藤:僕は心臓病を専門にしているので手術補助をすることもありますが、手術が心臓病治療のスタンダードだとは思っていません。治るとは言わないまでも、「こういう腸内細菌がいることで進行を遅らせることができる」となれば最高ですね。むしろ、心臓病になりにくい菌がいてくれたらなおさらいいですね。まだ研究の段階だとは思うんですが、これまでにどんなことがわかってきていますか?
島:そうですね。腸内細菌が心臓病に関係しているというのを意外に思う方はまだまだ多いと思います。実は腸内細菌の毒素が血流に乗って体内に流れることで、心臓病や猫に多い腎不全に影響を及ぼしていることがわかってきています。
そういった毒素、細菌を抑えることで進行を遅らせたり、発症する前から「この子はこの病気の原因になる細菌が多いから気をつけておきましょう」ということができたらいいなと考えています。
島:すべての病気が腸内細菌の影響を受けているわけではないのですが、私たちの研究所では7〜8個くらいの病気が腸内細菌と関係しているというのがわかってきています。その中に心臓弁膜症(※)もあります。
佐藤:やっぱり心臓病も腸内細菌と関係していたんですね。
島:細菌が実際どのような影響を及ぼすのか。そのメカニズムを明らかにしていく作業を続けています。
前編では、獣医さんに「先生自身の愛犬の健康管理」についてお聞きし、体を見て、触ってあげるだけではなく、お腹の中にも目を向けることが病気の予防・早期発見に大切だと教えていただきました。
でも、お腹の中のことは外からではわかりませんよね。そこでアニコムグループでは、最新の腸内細菌研究をもとにした「腸内フローラ測定」を提供しています。
後編では、アニコム先進医療研究所の研究主任であり獣医師の島 綾香先生に、腸内細菌研究の最前線についてお聞きします。聞き手は、JVCC動物病院グループ・二次動物医療センター目黒病院センター長獣医師で予防医療にも力を入れている佐藤貴紀先生です。
島 綾香先生(写真左):アニコム先進医療研究所 研究開発部 主任。大阪府立大学獣医学類卒業。獣医師・博士(獣医学)。フランス国立保健医学研究所、国立感染症研究所を経て現職。
佐藤 貴紀先生(写真右):JVCC動物病院グループ株式会社代表。JVCC二次動物医療センター目黒病院(JAM)センター長。麻布大学獣医学部卒業。獣医循環器学会認定医。予防医療にも力を入れている。株式会社PETOKOTO取締役。
コルク(写真中央):株式会社PETOKOTOの社員犬。元保護犬のウェルシュ・コーギー・ペンブローク。現在はPETOKOTO代表の大久保と一緒に暮らしている。
(『FUN LETEER』はクライアント企業さまのご依頼で制作する記事広告コンテンツです)
健康診断も予防医療の一つ
佐藤:今日は腸内細菌の最新研究を教えていただけるということで、とても興味深いと思って楽しみにしていました。自分は獣医になって20年近く病院で診察をしています。その中で例えば「乳酸菌が犬や猫のお腹に良い」というのは知っていても、どういうメカニズムで良いのかは意外とわかっていませんでした。その辺が明らかになっていくのはいいですね。
島:人間の医療では、「こういう患者さんにこういう菌が多い」という病気ごとの特徴がわかってきています。病気の人は健康な人より菌の多様性が少なくて、それを改善して多様性を増やすことで病気が発症しにくくなるといった研究も進んでいます。それは獣医療の分野でも同様です。もっと研究が進めば、特定の細菌をターゲットにした薬が出てくるかもしれません。
佐藤:一昔前、動物病院は「病気になってから行くところ」でした。でも最近は、「病気にならないために行くところ」という予防医療の観点も浸透してきました。ワクチンやノミ・ダニはもちろん、フィラリア対策も注目されています。
あと健康診断ですね。人間ドックのように「ドッグドック」や「キャットドック」とも言われることもあります。健康診断も予防医療の一つとして大事なことです。ただ、そこで糞便検査もするのですが、顕微鏡でわかることって限られています。寄生虫の有無とか、「こんな菌がいた」というのはわかっても、それが良い菌なのか悪い菌なのかまだまだわからない部分が多い。だからこそ、腸内フローラ測定のように飼い主さんが簡単に調べられて、その結果を簡単に知ることができる仕組みができたのは画期的だなと思います。
佐藤:僕は心臓病を専門にしているので手術補助をすることもありますが、手術が心臓病治療のスタンダードだとは思っていません。治るとは言わないまでも、「こういう腸内細菌がいることで進行を遅らせることができる」となれば最高ですね。むしろ、心臓病になりにくい菌がいてくれたらなおさらいいですね。まだ研究の段階だとは思うんですが、これまでにどんなことがわかってきていますか?
島:そうですね。腸内細菌が心臓病に関係しているというのを意外に思う方はまだまだ多いと思います。実は腸内細菌の毒素が血流に乗って体内に流れることで、心臓病や猫に多い腎不全に影響を及ぼしていることがわかってきています。
そういった毒素、細菌を抑えることで進行を遅らせたり、発症する前から「この子はこの病気の原因になる細菌が多いから気をつけておきましょう」ということができたらいいなと考えています。
島:すべての病気が腸内細菌の影響を受けているわけではないのですが、私たちの研究所では7〜8個くらいの病気が腸内細菌と関係しているというのがわかってきています。その中に心臓弁膜症(※)もあります。
※心臓にある4つの弁(三尖弁、肺動脈弁、僧帽弁、大動脈弁)に障害が起き、心臓が正常に機能しなくなること。
佐藤:やっぱり心臓病も腸内細菌と関係していたんですね。
島:細菌が実際どのような影響を及ぼすのか。そのメカニズムを明らかにしていく作業を続けています。
社員犬コルクの腸内細菌を調べてみました
佐藤:これが腸内フローラ測定のためのキットですね。飼い主さんはこれを使って何をすればいいのでしょうか?
島:採取キットを開けていただくとブラシみたいなものが先についています。ワンちゃんネコちゃんがウンチをしたときに米粒くらいの量を取り、それをケースに戻すだけでおしまいです。あとは返信用の封筒に入れてポストに投函していただくだけです。
佐藤:簡単ですね。室温で保管しても大丈夫なんですか?
島:重要なのは細菌のDNAです。キットの中には細菌を死滅させる薬剤が入っていまして、室温でも数日は安定的にDNAがとれるようになっています。
佐藤:なるほど。今回、PETOKOTOの社員犬コルクも試したそうですが、この結果はどのように見ればいいのでしょう?
島:解説させていただきますね。フローラタイプが「10」と出ていますが、タイプは良い悪いの結果を表すものではありません。コルクちゃんの結果は平均的ですので、今の状態を維持できるように、ご飯・運動・睡眠を適切に管理してあげることで、健康的な生活が送れると思います。
佐藤:コルクは「異常に増えるとよくない可能性がある菌」の割合が多いですが、これは問題ありませんか?
島:「プロテオバクテリア」ですね。ワンちゃんの中にはもともと多い子もいますので、多いからといってすぐ心配する必要はありません。
心配なのは、普段いない細菌が急増するケースです。これまで「プロテオバクテリア」がほとんどいなかったのに急増した場合などは、下痢をしていないか等の変化に気をつけ、心配な場合は動物病院の受診をお勧めします。
佐藤:平均より「やせ菌」が少ないのは大丈夫ですか?
島:やせ菌が少なくても、今の体重や体形が標準であれば問題ありません。人と同じで、過度なダイエットや食事制限は健康に悪影響を与えますので、適量を食べさせてあげれば大丈夫です。ただし、やせ菌が少ないと体質的に太りやすい可能性がありますので、おやつの与えすぎには注意してください。
それ以外では、お腹を整える細菌として「ラクトバチルス」や「ビフィドバクテリア」があるのですが、コルクちゃんの場合は少なめです。それらは栄養の吸収をスムーズにするための環境をつくったり、老化やがんを防ぐ働きがあるとされています。乳酸菌やビフィズス菌のサプリメントを与えて補ってあげるのもいいですね。
定期的な測定が異変に気づくきっかけに
佐藤:こんなに聞いたこともない菌がいっぱいあるんですね。腸内にあるとちょっと嬉しい細菌たち……。「ブレヴィウス菌」とかいたほうがいいんですね。
島:その菌がいる子は全体の10%ほどで、なかったから悪いという話ではないです。いれば嬉しいというレベルですね。
佐藤:飼い主さんは実際この腸内フローラ測定をどのように活用すればいいんですか?
島:アニコム損保では腸内フローラ測定を保険に付帯したサービスとして、1年に1回無料で提供しています。測定したから病気がわかるというより、1年目、2年目、3年目は安定していたのに、4年目で急に悪くなったらそれは病気と関連しているんじゃないかと気をつけるといった使い方を想定しています。
例えば、腎不全になると安定していた腸内細菌のバランスが崩れることがあります。ネコちゃんで問題になりやすい病気ですので、ネコちゃんの検査結果では腎臓病の項目をワンちゃんより詳しくしています。
佐藤:病気の早期発見につながるという意味でいいですね。
島:もちろん、異常値というか、あまりにも調子が悪そうな結果が出る場合もあります。その際は、結果と一緒に健康診断を無料で受けられるサービスも行っています。
保険の利用状況を見ても飼い主さんが病院に連れて行った履歴はないけど、「どう見てもおかしい……」みたいな子がときどきいるんです。ワンちゃんやネコちゃんは人と違って調子が悪いことを言えませんし、敏感に気づく飼い主さんもいれば気づかない方もいます。そこで腸内細菌の測定結果が気づくきっかけになればと思います。
佐藤:いままさに研究が進んでいるという点でも、興味深い分野ですね。島先生はなぜ細菌の研究をしようと思ったんですか?
島:動物の病原細菌は人にも感染しますし、その逆も同様です。動物の健康を維持することで人の健康にも貢献できたらいいなと思ったことがきっかけですね。
アニコムではさまざまな細菌と病気の関連について研究を進めています。今後は、「腸内細菌がこのタイプのワンちゃんネコちゃんには、こういったフードがお勧めです」といった細かいアドバイスもしていきたいと考えています。
佐藤:楽しみにしています。