犬の血統書の本当の意味とは?血統書の見方や名義変更の必要性などを解説
犬の血統書は「価値の高さを示すもの」と思われがちですが、血統書が持つ本来の意味とは少し異なります。今回は「血統書とは何か」をテーマに、血統書の見方や意味、申請手続きや名義変更などのほか、血統書の登録番号での兄弟・親戚犬の検索方法などを解説します。
犬の血統書とは
血統書というのは「血統証明書」の略で「血統証」と略される場合もあります。
文字通り犬の両親をはじめとした血筋を示したものです。
血統書は純血種を繁殖させるために必要なもので、犬の質や価値を表すものではありません。
どんな人に血統書が必要?
waka._.waka._.wakaさん Thanks!!
1. 特定の犬種と暮らしたい
血統書は、犬の血筋をジャパンケネルクラブ(JKC)や日本社会福祉愛犬協会(KCJ)といった血統書発行団体の審査によって保証したものです。そのため、特定の犬種を迎えたいと思っている方にとっては、別の犬種の血が混じっていないことを知るための資料となります。
2. 競技会に参加したい
ドッグショーや訓練・アジリティー競技会は、犬種ごとに部門が分かれていたり、血統書があることを参加条件にしている場合があります。もちろん血統書を必要とせず、雑種でも参加できる競技会もたくさんありますが、同じ犬種で競いたい方には血統書が必須となります。
3. 特定の犬種を繁殖させたい
ブリーダーの中には雑種(いわゆるミックス犬を含む)専門の方もいますが、多くは特定の犬種にこだわって繁殖を行っています。販売する際には別の犬種の血が混じっていないことを証明しなければいけないため、血統書が必要となります。
犬の血統書の発行団体
血統書は国ごとに複数の団体によって発行されています。日本では、以下の3団体が代表的です。
- 一般社団法人「ジャパンケネルクラブ」
- 公益社団法人「日本警察犬協会」
- NPO法人「日本社会福祉愛犬協会」
そのほか、以下の2団体のように、犬種を限定して発行している団体もあります。
海外の団体との連携により、国際的な血統書として認められる場合もあります。
血統書の発行に必要なもの
犬種には、その犬種の理想の姿を定めた「犬種標準(スタンダード)」があり、犬種標準を満たしていなければ血統書は発行されません。
例えばアメリカの単犬種団体ペンブローク・ウェルシュ・コーギークラブ・オブ・アメリカ(PWCCA)が定めたコーギーの犬種標準は、以下のように詳細に決められています。
- 体高は10〜12インチ(25.4cm~30.48cm)
- 体重はオスが30ポンド(13.5kg)以下、メスは28ポンド(12.6kg)
ちなみにコーギーには尻尾が無いのが一般的ですが、それは生まれたときに断尾をしているためです。もともと牧畜犬だったときに牛に踏まれてケガすることを避けるためといった理由があったのですが、家庭犬となった今では、「犬種標準に断尾と書かれている」というのが唯一の理由です。
犬の血統書の見方
血統書は発行団体によって異なるため、ここでは一般的な記載内容を紹介します。引用:ジャパンケネルクラブ
1. 犬名
こちらは飼い主さんが付ける名前(コールネーム)とは異なり、ブリーダーが付ける名前です。洋犬種の場合はアルファベット、和犬種の場合は日本語で表記され、名前の後ろにはブリーダーの犬舎名が続きます(血統書にコールネームを併記することも可能です)。
ドッグショーで優秀な成績を収めた犬にはチャンピオンという称号が与えられ、血統書に記載されます。祖先犬のチャンピオンタイトルも数世代前まで記載されるのが一般的です。
2. 犬のデータ
「犬種名」「登録番号」「性別」「生年月日」「毛色」「繁殖者」「所有者」のほか「DNA登録番号」や「マイクロチップのID番号」が記載されます。所有者の欄は、飼い主が決まった際に、繁殖者から名義変更をすると新しい所有者と譲渡日が記載されます。
そのほかジャパンケネルクラブでは、犬の代表的な遺伝性疾患である「股関節形成不全症」と「肘関節異形成症」を減少させるため、任意で「股関節評価」「肘関節評価」を血統書に記載しています。
3. 父親の血統図
1番とされている犬が、本犬の実父、3番は父方の祖父、4番は父方の祖母を記載しています。7〜10番はさらにその曽祖父母へと遡って記載しています。4. 母親の血統図
2番とされている犬が、本犬の実母、5番は母方の祖父、6番は母方の祖母を記載しています。11〜14番はさらにその曽祖父母へと遡って記載しています。犬の血統書の発行手続き
団体ごとに手続きも異なるため、ここではジャパンケネルクラブを例にして、発行手続きや名義変更、発行されない場合に考えられる理由について説明します。
血統書はいつ発行される?
血統書は登録(一胎子登録)が生後90日以内かどうかで料金が変わります。90日以内の場合は2200円で、91日以降は5600円です。なお生後2年を超えると登録はできません。
申請から血統書が発送されるまでの期間は15日が目安となっています。
血統書の名義変更
ジャパンケネルクラブの会員になっているブリーダーがブリーディングした犬は最初、所有者が飼い主ではなく繁殖者として登録されています。そのため、同クラブのデータ上で所有者を飼い主にするためには、名義変更を行わなければいけません。変更料は発行日からどれだけの期間が経過したかで異なり、6カ月以内であれば1200円ですが、6カ月以上だと3400円です。
血統書の所有者は所有権を証明するものではありませんので、名義変更をしなくても飼い主の家族であることに変わりはありません。
ただ、血統書を再発行したり繁殖をして生まれた子犬の血統書を作成する際に正しい所有者の確認をしなければいけませんので、同クラブは早めの名義変更を推奨しています。
血統書が発行されないとき
書類に不備があると血統書が発行されません。不備は、単純な記入・捺印漏れや誤記入のほか、父犬のDNA登録が完了していない場合、名義変更が完了していない場合などが挙げられます。
ちなみに、先ほどジャパンケネルクラブでは生後2年を超えると登録ができないと説明しましたが、親子すべてのDNA確認ができる場合は登録が認められます。
血統書で探す兄弟や親戚
血統書の登録番号を使うことで兄弟や親戚を探せるインターネットサービスが提供されています。PEDI
血統書のデーターベースと紐付いたサービスで、情報を手入力する必要はありません。Instagramを載せることができるため、簡単に兄弟・親戚とつながることができます。
まとめ
血統書は純血種を繁殖させるために必要になるものです
血統書は犬の価値を決めるものではありません
血統書の登録番号で兄弟や親戚を探せるサービスもあります
血統書は一緒に暮らす上で必要不可欠なものではありません
血統書は犬の価値を決めるものではないため、犬種標準を重視したドッグショーや競技会への出場を考えていなければ必要のないものです。
血統書があろうとなかろうと、大切な愛犬には変わりはないでしょう。