猫アレルギーでも猫を飼いたい!猫アレルギーの原因と症状を紹介
猫アレルギーとは、猫を愛する気持ちとは関係なく、誰しも発症の可能性があるアレルギー。いざ大好きな猫を前にして、目のかゆみや鼻水が止まらなかったら困ってしまいますよね。発症したからといって、一生猫と暮らせないわけではありません。アレルギーの性質や対処法をしっかりと理解した上で、猫と上手に暮らしている人もたくさんいます。
猫アレルギーとは
アレルギーとは、体内に入ってきた異物に対する過剰な免疫反応のことをいいます。
つまり、猫アレルギーとは猫から分泌されている物質が体内で異物と認識され、身体が異常をきたしている状態のことをいいます。
猫アレルギーの症状
- 目:痒み、充血、腫れなど
- 鼻:くしゃみ、鼻水、鼻づまりなど
- 喉:痛み、せきなど
- 皮膚:痒みや赤み、腫瘍感など、蕁麻疹に似た症状
- その他:息苦しさなど、花粉症に似たような症状
風邪や花粉症に似た症状ではありますが、喉の腫れなどは呼吸障害を起こす場合もあるため「たかが猫アレルギー」と油断してはいけません。
人によって症状の差はありますが、いくつか当てはまる人は猫アレルギーの可能性があります。
猫アレルギーが重度の場合
猫に触れていないにもかかわらず、猫のいる空間で蕁麻疹が出る場合は、重度のアレルギーの可能性があります。むやみに猫に触らず、医療機関で適切な診断・検査を受けることをおすすめします。
猫アレルギーの原因
「アレルゲン」と呼ばれるアレルギーの原因となるタンパク質は、猫アレルギーの場合「Fel d 1」から「Fel d 8」までの8種類であると確認されています。
特に、猫の脂腺から分泌される「Fel d 1」と呼ばれる糖タンパク、および唾液中に含まれる「Fel d 4」が猫アレルギーを引き起こす主犯格といわれています。
「Fel d 1」は猫の皮膚中に存在する「脂腺(しせん)」「肛門腺」「唾液腺」から分泌されるアレルゲンです。一方「Fel d 4」は主として「顎下腺(がくかせん=あごの下にあり、唾液を分泌する組織)」から放出されます。
これらのタンパク質はそれぞれとても小さく、ほこりや花粉の10分の1程度の小ささで、さまざまな場所に飛んで付着しています。そのため、猫と暮らしていない家庭でも猫由来のアレルゲンが発見されることも。
「Fel d」は猫の毛自体にはありませんが、猫の「涙」や「フケ」「汗」「肛門分泌液」に含まれているため、グルーミングにより全身に付着します。
そのため、猫が動くとそのアレルゲンが空気中に舞い、それを吸い込むことで猫アレルギーが発症するようになっています。
猫アレルギーの検査方法
自分は猫アレルギーかどうか。これから猫を迎える、もしくは将来、猫を迎えたいと思っている方にとっては重要な問題です。
猫を迎えた後に自分が猫アレルギーであることに気付き、猫を手放すというケースもあります。
無責任なことをしないためにも、まずは「自分が猫アレルギーなのか」また「猫アレルギーであったとしても、軽度なのか重度なのか」調べてみましょう。
病院で検査する
病院でアレルギーを調べる方法は2種類あります。しかし2つのテストで「猫アレルギーではない」という結果が出ても、絶対に大丈夫というわけではありません。反応には個人差がありますので、あくまで参考と考えてください。
<RASTテスト(血液検査)>
RASTテストとは、血液検査のことです。採血した血液内にアレルゲンに対抗する「IgE抗体」がどれだけ含まれているかを検査します。
血管の細い子どもには適しませんが、具体的な数値を知ることができるため、正確な検査方法です。
<プリックテスト>
プリックテストは針などで少し傷をつけた皮膚に、アレルゲンを垂らして反応を確認する方法です。15〜20分ほど放置し、皮膚が赤くなったり、腫れや痒みがでてきた場合は猫アレルギーの可能性が高いといえます。
血液検査と違って小さな子どもでも受けることができる検査方法です。
猫カフェなどで猫に触れる
最も有効な方法は、実際に猫に触れてみることです。猫カフェなどに行けば気軽に猫と触れ合うことができるため、自分に猫アレルギーの症状は出るのか、どれくらいの反応なのか、確かめてみましょう。
アレルギー反応が重度の場合もあるため無理はせず、特に子どもの場合は十分に注意してください。
猫アレルギーでも猫と過ごすための対策
自分が猫アレルギーだと分かった場合、どのような対策をとれば猫と一緒に暮らすことができるでしょうか。ここでは代表的な方法を紹介していきます。
猫の抜け毛を減らす
アレルゲンの飛散を減らすため、こまめなブラッシングで猫の毛が舞わないようにします。自分の衣服や床についた毛を取り除くことも大切な対処法です。コロコロなどを使って、気付いたときに掃除しましょう。
また、毛が付きやすいカーペットやウールの服を控えることも方法の一つです。
床をフローリングに変えるだけでも取り除ける毛量は変わってきます。ただ、フローリングで猫が足を痛めることがありますので、滑り止めの配慮をしてあげてください。
空気清浄機を使う
前述した通り、猫アレルギーのアレルゲンは花粉の10分の1の大きさです。いくら掃除をこまめにしても、空気中に舞っているアレルゲンを根絶することはできません。そのためにも、空気清浄機を部屋の中に設置しましょう。適度な換気も大切です。
こまめに手を洗う
アレルゲンで一番多い「Fel d 1」は猫の顔周りの毛に多いとされています。顔周りは猫が落ち着くポイント。ついついスキンシップで触る場所です。触った後はこまめに手洗いすることを欠かさないようにしましょう。
猫アレルギーの出にくい猫種がいる?
「ハイポアレルジェニック・キャット」と呼ばれる、アレルゲンの少ない種類の猫もいます。まったくアレルゲンを持っていないわけではなく、人によっては症状が軽くならないという方もいるため、あくまで「選択肢」と考え、自分の体調を見極めて付き合っていくことを意識しましょう。
ハイポアレルジェニック・キャットの種類
ロシアンブルー
グレーの毛並みとエメラルドグリーンの瞳のロシアンブルー。
抜け毛が少ないため、他の猫種と比べてフケ等の拡散が少ないのが特徴です。また、もともとアレルゲンの原因となる糖タンパク質の生産が少ない体質の持ち主でもあります。
ベンガル猫
ワイルドな外見のベンガル猫。他の猫種に比べてグルーミングが少ないため、抜け毛についた唾液やフケの拡散が少ないといわれています。
サイベリアン
ふわふわの毛が可愛いサイベリアン。サイベリアンは他の猫種に比べ、糖タンパク質(Fel d 1)の生産量が少ないといわれています。
デボンレックス
クリクリな巻き毛が特徴的なデボンレックス。
その特徴的な毛質から、抜け毛が少なく、ロシアンブルーと同様にアレルゲンの拡散を防ぐことができます。
オリエンタルショートヘア
小さな顔に付けた大きな耳が特徴的なオリエンタルショートヘア。非常に短毛で抜け毛が少ないためアレルゲンの拡散を防ぎます。
バリニーズ
仕草がとても優雅であることから「ダンサーのような猫」と呼ばれているバリニーズ。
サイベリアン同様、他の品種に比べて糖タンパク質の生産量が少ない猫種です。
シャム猫
気品のある佇まいが魅力的なシャム猫。短い被毛で抜け毛が少ないため、抜け毛によるアレルゲンの拡散を防ぐことができます。
猫アレルギーは治せる?
暮らしていく中でいくら注意してアレルギーの症状を和らげようと思っても、期待する効果が出ないこともあります。その場合は病院へ行き、自分に合った対処法を探してもらいましょう。ただ、アレルギーは完治することが難しいため、あくまでもアレルギー症状を軽減するための治療であることを念頭に置いてください。
対処療法の一つとして、アレルギー反応を低下させることを目的とした「減感作療法」というものもあります。
減感作療法とは、体内に低濃度のアレルゲンを入れ、徐々に高濃度にしていくことでアレルゲンに体を慣らしていく方法です。
この療法によってアレルギー反応が出なくなる人もいれば、まったく効果のない人もおり、効果は人それぞれです。
猫を迎える前に猫アレルギーかチェックしよう
猫アレルギーは意外と多くの人が発症しています。しかし猫アレルギーであっても猫と一緒に暮らしている人が多いのも事実。
紹介した対処法を実践することで、症状を軽くしてストレスなく暮らせることもあります。
猫を迎える前に、自分は猫アレルギーなのか、またアレルギーであっても一緒に暮らすことができるかをしっかり考えてみましょう。