犬の水腎症 | 症状や原因、治療・予防法など【腎・泌尿器科専門獣医が解説】
犬の水腎症とは、尿管または尿道が石やがんなどのでき物、炎症による狭窄によって閉塞し、腎臓から尿を排出できず、腎臓が大きく膨らんでしまった状態のことを指します。今回は犬の水腎症の原因や症状、治療法などについて日本獣医生命科学大学臨床獣医学部門治療学分野I・講師で獣医師の宮川が解説します。
犬の水腎症の基礎知識
尿管または尿道が石やがんなどのでき物、炎症による狭窄によって閉塞し、腎臓から尿を排出できず、腎臓内に貯留してしまい、大きく膨らんでしまった状態のことを指します。尿が腎臓内にたまり、圧力がかかることで、腎臓は機能が停止してしまいます。原因
- 尿石症
- がん
- 尿管炎、尿道炎
- 外傷(交通事故、避妊手術時に誤って尿管を縛ってしまう)
- 生まれつきの尿管の異常(異所性尿管)
症状
- 片側の腎臓だけの場合には、症状がないことが多く、気づかない
- 一部では、腹部圧痛(水腎症になった側のお腹を触ると痛がる、嫌がる、お腹の筋肉を固くする)がある
- 腎不全の症状が認められる(食欲の低下、吐いてしまう、元気がない、うずくまっている)
検査・診断
- 腹部X線検査、腹部超音波検査:水腎症の有無、片側性か両側性かを調べる
- 血液生化学検査:腎機能の状態を調べる
- 尿検査:炎症や細菌の有無を調べるたり、結石の成分を調べる(正確な評価はできない)
治療
- 閉塞している原因の治療を行う
- 尿管の場合には、外科手術になることが多い