犬の糸球体疾患 | 症状や原因、治療・予防法など【腎・泌尿器科専門獣医が解説】

犬の糸球体疾患 | 症状や原因、治療・予防法など【腎・泌尿器科専門獣医が解説】

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犬の糸球体疾患とは、腎臓で血液をろ過し、老廃物を排泄している糸球体が炎症を起こし、ろ過されるはずのないタンパクが尿に排泄される病気です。今回は犬の糸球体疾患(しきゅうたいしっかん)について日本獣医生命科学大学 臨床獣医学部門 治療学分野I・講師で獣医師の宮川が解説します。

犬の糸球体疾患の基礎知識

腎臓で血液をろ過し、老廃物を排泄している血管の塊である糸球体が炎症を起こし、濾過されるはずのないタンパクが尿に排泄される病気のことを指します。慢性腎臓病の原因の1つでさまざまな原因によって糸球体が炎症を起こしてしまいます。

原因

  • 感染症:フィラリア症
  • 局所的な免疫が関連
  • 全身的な自己免疫性疾患(エリテマトーデス)
  • 原因不明のことも多い
  • アミロイドーシス

症状

  • 大量のたんぱく尿
  • お腹が張っている(腹水貯留)
  • むくみ
  • 高血圧

検査・診断

  • 血液検査、生化学検査:腎機能の状態を調べる
  • 尿検査:蛋白尿の有無を調べる
  • 腹部X線検査、腹部超音波検査:腎臓の構造や大きさを調べる
  • 腎生検:腎臓の組織の一部を採取し、顕微鏡で調べる。原因はこの検査で判明する場合もある

治療

  • 蛋白尿を減らすことを目的とする
  • 大量のたんぱく質が尿から漏れることによって、むくみやお腹が張っている(腹水貯留)状態が生じることをネフローゼ症候群といい、この状態では病気の進行が早く、寿命が短くなることが知られている。
  • 食事療法(低蛋白食)
  • 高血圧を合併することが多いため,血圧を下げる薬剤(アンジオテンシン変換酵素阻害薬,カルシウムチャネル拮抗薬など)
  • 免疫が関係している場合には免疫抑制剤を使用することがある

治療で使用する療法食、薬剤

  • 腎臓病用療法食:たんぱくを制限することが重要
  • アンジオテンシン変換酵素阻害薬、アンジオテンシン受容体拮抗薬:血圧を下げる作用を持ち、蛋白尿を減らす効果がある
  • カルシウムチャネル拮抗薬:強力な血圧降下剤、上記の薬剤で血圧が下がらない場合に使用される