犬が見ている世界は何色?犬の視覚が人間に勝ること、劣ること

Share!

「犬の視覚は色が見えない」と聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。においに関しては、犬と人間は異なる知覚世界にいるも同然ですが、視覚体験はそれほど違わないとも言えます。犬から見た人間はどのように見えているのでしょうか?今回は犬の視覚の構造や機能について解説し「犬から見た世界」を紹介します。

犬と人間の視覚体験はほぼ同じ

犬の視覚、視力

犬が見ているものの大半は私たちにも見えているため、においと比べて視覚体験は犬も人間もほぼ同じと言えます。ただし、いくつかは興味深い違いが隠れています。

犬の視覚が人間よりも劣ること

犬の視覚、視力

見ている世界の粒子

網膜から脳に視覚情報を送る視神経の線維の数が、犬は人間よりもはるかに少ないです。そして、人間の視神経が1本1本単一の光受容体に結びついているのに対し、犬の視神経は数個の光受容体に連結しています。その結果、犬の見ている世界は人間に比べて粒子が粗いと言われています。

視力

犬の視力は0.26くらいしかないと言われています。視力1.0の人間が23メートル離れて見えるものも、犬は6メートルまで近づかなければ見えないのです。逆に30センチ程度は距離を置かないと、犬は対象物に焦点を合わせることができません。ある意味で犬は近視なのです。

では逆に人間よりも優れている点はどこにあるのでしょうか?

犬の視覚が人間に勝ること

犬の横顔

暗いところでも見える

夜に狩りをしていた動物の子孫らしく、人間よりもずっと夜目がききます。これは「タペタム(網膜の裏にある鏡のような細胞の層)」の存在のおかげです。

懐中電灯などのライトを向けられた犬の目が不気味に光ったり、カメラのフラッシュで目が光って写ったりするのは、吸収されなかった光をこのタペタムが反射するためです。

タペタムは反射板の役割を持っているため、暗闇でも少ない光を増幅させて見ることができます。これは光を増幅させて見るのが得意ということで、真っ暗闇でも見えるということではありません。

周辺まで見渡せる

人と犬の視野の違い
人と犬の視野の違い

私たち人間は目が顔の前面についているので、横を向いたり振り返らない限り真横や後ろ側を見ることはできません。犬の場合は、犬種にもよりますが、左右の目は離れてついているため、人間よりも広範囲を見ることができます。

人の視野角は両眼視野が約120度、単眼視野が約40度ですが、犬は両眼視野が約30〜60度、単眼視野が約135〜150度とされています。


また、視野は両目で見る「両眼視」と片目だけで見る「単眼視」の二つにわかれます。両眼視は、左右の目を使って立体的にモノを見ることができるため、大きさや距離などを「正確に見る」ことが得意です。獲物の大きさや飛び移ろうとしている枝までの距離を測る際に使われます。単眼視は、モノを正確に見ることが苦手な一方で、広い範囲を見渡すことを得意としています。人間は両眼視100%ですが、犬は両眼視と単眼視を活用しているのです。

犬は人間に比べ、物を立体的に見る視野は狭いですが、物を捉える視野は広いといえます。

動体視力

犬は人間よりもすばやく視覚情報を処理できます。ボールを投げて取ってこさせる遊びでも明らかですが、科学的にも測定されています。

高速で明滅する光を犬に見せ、明滅の速度を徐々に上げていくと、私たち人間にはずっと灯っているようにしか見えないほどの速さをとうに過ぎても、犬はなおも光の瞬きを検知できます。投げたボールで言えば、地面を弾んでいくボールは、私たちが見るよりも約25%遅いスピードで犬の目に映っているのです。

そのため、動体視力という面では人より優れ、動きの速いものや遠くのちょっとした変化に敏感に反応します。犬は人より優れた嗅覚や聴覚も使ってモノを認識しており、視覚情報に重きを置いている人と比べて、複数の感覚器を使ってモノを認識しているわけです。

犬の視覚は地球の磁場で方角を理解できている!?

犬の視覚、視力

犬は紫外線や、特定の波長の青色光に対する磁気の作用さえ見分けることができるかもしれません。つまり、地球の磁場を検知できている可能性があると言うのです。犬はうんちをする時に、南北の軸に体の向きを合わせると言われています。なぜそうするのかは不明ですが、磁場を利用して方角を定めている可能性があるのです。

犬の視覚は犬種で違う

犬の視覚、視力

フレンチブルドッグやパグ、ペキニーズなどの鼻の短い犬種(短頭種)は近くを見るのが得意で、コーギーやシェットランドシープドッグなどの鼻の長い犬種は広く周囲を見渡すことに長けています。

また、グレイハウンドのように頭骨が前後に長い犬種は、視界を横切る視覚線条も祖先から受け継いでいますが、恐らく遠くの獲物を追う時に役立つと言われています。

犬の視覚で見える色とは

私たちが「色」と認識しているものは、正確には光の波長です。人は波長の一部を紫から赤まで7つの色で認識しています。とくに、赤、青、緑の波長に敏感なため、信号はこの色が使われているのです。

目で光の波長を認識するのは「錐状体(すいじょうたい)」と呼ばれる器官です。犬は人に比べて錐状体の数が少なく、昔は白と黒の世界を見ていると考えられていました。

しかし、近年の研究では暖色系を黄色、寒色系を青色として大まかに認識しているのではないかと考えられています。そのため、犬には赤とオレンジと黄色を区別することが難しいのです。

犬の視力はこまめにチェックを

机から顔を出す犬

家具や壁にぶつかったり、トイレの場所を間違えたりする場合は、視力が落ちている可能性があります。加齢に伴い、起こることではありますが、急に起こるようになった場合は目の病気の可能性があります。

ご自宅でも、愛犬の視力に問題がないかを簡単に確認する方法がありますので、気になる飼い主さんは試してみてください。

犬の視力の確認方法

  1. おやつを置く
  2. おやつにたどり着くまでの道に障害物を置く

愛犬は障害物にぶつかることなくおやつにたどり着けるでしょうか?異変は暗いときのほうが症状として現れやすくなりますので、明るい部屋で大丈夫だとしても安心せず、部屋を薄暗くしてもできるかを試してみましょう。

定期的にチェックしてあげることが大切です。

愛犬の視覚を理解してさらに愛情深く

2匹の歩く犬

犬の視野は約135〜150度と広い
視力は0.2〜0.3ほどで、動体視力に優れている
犬は暗闇でも少ない光を増幅させて見ることができる
犬は暖色は黄、寒色は青で大まかに色を認識していると考えられている
急に家具やモノにぶつかるようになったら病気の可能性がある

いかがでしたか?犬の視覚の構造を理解するだけで愛犬とのコミュニケーションが一層深くなるのではないでしょうか?素敵なペットライフをお過ごしください!

参考文献