ペットフレンドリーな会社は離職率が低い!? 人事担当者が無視できない調査結果

オフィスに犬や猫がいたら、もっと楽しく働けるだろうなあ――そんな夢を見ている皆さんに朗報です。世界最大の動物病院チェーン「バンフィールドペット病院」が、犬や猫がいるペットフレンドリーなオフィスでは従業員の「モチベーション向上」「ストレス軽減」「離職率低下」という良いことだらけの効果があるという調査結果を発表しました。今回はその調査結果の内容と、「我が社も今すぐ導入しなければ!」と考えている方向けに、ペットフレンドリーな会社になるためのヒントを紹介します。

今回の調査はバンフィールド社が2016年から行っているペットフレンドリーな職場についての調査「PAWrometer」(※)の第2回で、アメリカで働く1000人の従業員と200人の人事担当者が対象になりました。なお、同社オフィスには20年以上前から犬がおり、職場にペットがいることの良い影響を自ら知っていたことが調査を始めるきっかけになったそうです。

※「PAW」はPets at Workの略ですが、犬や猫など「動物の足」という意味もあります。


そして今回の調査で明らかになったことは大きく4つあります。

  1. 従業員は「ペットを連れていける職場」よりも、「ペットがいる従業員向け制度」を求めている
  2. ペットフレンドリーな会社では従業員のモチベーション向上や離職率の低下などが見られ、人事担当者はペット関連の制度の重要性に気付いている
  3. 世代別では「ミレニアル世代」(※)が最もペットフレンドリーな会社で働くことを望んでいる
  4. 回答者の多くがペットフレンドリーな会社が増えると保護された犬猫を迎える人も増えると考えている

※ミレニアル世代:1980年代から2000年代初頭に生まれた10代や20代の若者の総称。今回の調査では18〜35歳が対象。

従業員が求めているのはペットフレンドリーな制度

従業員への調査結果によると、ペットフレンドリーな職場を望む声が39%だったのに対して、ペットフレンドリーな制度を望む声は51%に上りました。

ペットフレンドリーな制度とは、ペットの具合が悪くなったときに動物病院に連れて行くための有給休暇がとれる「ペット休暇」や、死別した際の「ペットロス休暇」、新しく迎えたペットの面倒を見るための休暇などを指しています。

ペットフレンドリーな制度に対するアンケート結果表

ペットフレンドリーな制度の中では「ペット休暇」が従業員の47%、人事担当者の54%に支持され、最も多い結果となり、従業員の73%はただ職場にペットを連れて行ける会社より、ペット関連の制度が整った会社で働きたいと考えていることもわかりました。

人事担当者が無視できない効果

飼い主を見上げる犬

ペットフレンドリーな会社になることは、人事担当者にとっても重要な意味を持つことが調査によってわかりました。人事担当者の3分の2以上が、ペットフレンドリーな会社になることで従業員のやる気が上がり、生産性に良い影響を与えるだろうと考えています。

実際にペットフレンドリーな制度を導入した会社の人事担当者は、以下のような良い影響があったと回答しています。

  1. 従業員のやる気が上がった(93%)
  2. 従業員のストレス軽減につながった(93%)
  3. ワークライフバランスが改善された(91%)
  4. 愛社精神が強くなった(91%)
  5. ペットを自宅で留守番させることへの罪悪感が軽減された(91%)

また人事担当者の61%が、「採用面接で(事前にペット関連の話をしているかどうかに関わらず)ペット関連の制度について質問する人がいる」と回答しています。さらに、離職率の改善や採用活動にも良い影響を与えることが分かりました。

従業員の半数は、「今の会社がペットフレンドリーになるなら転職せず働き続けたい」と回答し、35%は新しい職場を探す際にペットフレンドリーな会社かどうかが選択の重要な要素であると回答しているのです。

若い世代ほどペットフレンドリーな会社かを重要視

アメリカでミレニアル世代と呼ばれる18〜35歳の若い世代は、特にペットフレンドリーな会社で働くことを望んでいます。ミレニアル世代の回答者のうち73%がペットフレンドリーな職場が従業員に良い影響を与えると考え、70%が職場全体にも良い影響を与えると考えています。

これがミレニアル世代より上の世代になると、従業員に良い影響があると考えるのは61%、職場全体になると56%に減少するのです。

また、「現在の職場がペットフレンドリーになるべきだ」と回答した割合もミレニアル世代が43%だったの対して、それ以上の世代では24%。「ペットフレンドリーな制度は重要だ」と回答したのもミレニアル世代が42%、それ以上が23%となりました。

「ペットフレンドリーな会社で働き続けたい」という回答はミレニアル世代が60%、それ以上が39%となり、ミレニアル世代の方が職場環境がペットフレンドリーであることに重きを置いていることが分かります。

ペットフレンドリーな会社が犬猫の命を救う

ペットフレンドリーな職場や制度が従業員のやる気や生産性、どの会社で長く働くかに良い影響を与えることが分かりましたが、調査を行ったバンフィールド社は、さらに良い影響を見つけることができたと報告しています。それは保護犬・保護猫を家族に迎える人が増えるかもしれないということです。

ペットフレンドリーではない会社で働いている従業員の3分の1と人事担当者の半数は、会社がペットフレンドリーになればペットを新たに迎えるだろうと回答し、そのうちの半数以上が、「それは保護犬・保護猫が新しい家族を見つけることにつながるだろう」と回答しました。

日本でも年間約8万匹以上の犬猫が殺処分されています。企業はペットフレンドリーな会社になることで、保護犬・保護猫の譲渡率向上にもつながったら素敵ですね!


どうすればペットフレンドリーな会社になれる?

飼い主と犬のハイタッチ

ペットフレンドリーな会社が素晴らしいことは知っていただけたと思いますが、「でも現実的に導入するのは難しいよ」と思う方も少なくないはずです。確かに、いきなり「ペットを職場に連れてきてもいいよ」となっても、従業員も、連れて行かれるペットも困ってしまいます。

そこで、アメリカの大手ペット保険代理店「ペットベスト」(Pets Best Insurance Services, LLC,)が薦める「ペットフレンドリーな職場になるための六つのヒント」を紹介します。

  1. 時間をかけてゆっくり導入すること
  2. 全ての従業員がペットフレンドリーな職場を歓迎しているわけではありません。時間をかけてゆっくり導入することで、「ペットがいる職場」に慣れてもらえます。

  3. ペットにとって安全な職場であること
  4. ペットフレンドリーな職場はペットにとって安全な環境でなければいけません。電気コードやゴミ箱を適切な場所に配置するなど、ペットの目線で環境に配慮し、予防策をとっておくことが大切です。

  5. ルールを決めること
  6. しっかりルールを決めることで、働く人たちはペットフレンドリーな職場でどんなことが起こる可能性があって、起きた場合にどうすればいいかを理解することができます。ペットが吠えたり散らかしたりしないように、飼い主だけでなく全ての人が責任を持つことが大切です。

  7. ペットも面接を受ける
  8. 従業員がペットを職場に連れてくる前に、ペットの面接を行いましょう。慣れない環境で多くの知らない人に囲まれると混乱し、いつもの行動ができないペットがいるかもしれません。ペットの面接は試運転のような役割を果たし、ペットと従業員の良好な関係を保つことをサポートしてくれます。

  9. ペットの必需品をそろえる
  10. 汚れを拭くクリーニング用品やゴミ袋、ペットのお手入れ用品などをあらかじめ用意しておくことで、必要になったとき適切な対処をすることができます。前もって準備しておくことで、他の従業員に迷惑をかけることも少なくなります。

  11. ペット保険の提供
  12. 福利厚生の一環として会社がペット保険を提供することで、従業員とその家族に安心感を与えることができます。

日本にもペットフレンドリーな企業があります

ペットの家族化が進み、会社が従業員のペットのことを考える必要性も高まっています。日本でもまだ少ないですがペットフレンドリーな会社があり、ペットフードの「カルカン」やお菓子の「M&M’S」で知られるマースジャパンリミテッドでは、なんとオフィスに2匹の保護猫が住んでいます(オフィスは品川の高層ビルに入っています)。

もちろん従業員がペットを連れてくることもでき、ペットの出勤日は事前予約制とするなど、ペットフレンドリーな職場であるための工夫がされています。

それから、ペトことを運営するシロップもペットフレンドリーな会社です。社員向けの福利厚生施策として、動物病院やペットサロンにかかった費用が安くなる制度を設けているそうです。日本でも、これからペットフレンドリーな会社が増えていってほしいと思います!

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