【トレーナー解説】犬も嫉妬でヤキモチを焼く?犬が嫉妬したときの行動やその対処法を解説
人間同様、犬も嫉妬することがあります。嫉妬する犬の場合、飼い主さんが向ける愛情の先のモノ全般に嫉妬し、他の犬だけでなく、赤ちゃんやぬいぐるみ、飼い主さんの恋人(夫婦)にも嫉妬したりヤキモチを焼いたりします。場合によっては、吠えたり噛んだりすることも。今回は、嫉妬したときの犬の行動や、その対処法について、ドッグトレーナーの西岡が紹介します。
犬は嫉妬する?
犬の嫉妬について、科学的に研究が行われ「犬も嫉妬することがある」と分かっています。
犬の嫉妬では、大好きな飼い主さんが「誰かに取られてしまう」という不安や「私も褒めて!」といった、向けられる愛情の先に対して嫉妬したり、ヤキモチを焼いたりします。
犬の嫉妬の研究を紹介
オーストラリアの研究チーム
オーストラリアの研究チームが2008年に「犬は不平等な扱いに反応するか」「するとしたらどんな反応をするか」という研究結果を「NATIONAL GOGRAPHIC」に掲載しました。実験ではまず、ある犬が芸をして、褒美を受け取るところを別の犬に見せました。その後、見ていた方の犬に同じ芸をさせ褒美を与えないでいると、その犬は芸をすることを拒否するようになったそうです。
この実験は、以前から知っている犬とペアで行われました。犬にそれぞれお手の指示を出し芸をさせます。実験ではお手ができても「ペアの両方が褒美をもらえない」場合があり、その場合、犬は程度の差こそあれ芸をし続けました。
しかしお手ができても「ペアの片方だけが褒美をもらえない」場合、褒美をもらえなかった犬は芸をすることを拒否し、芸をしても褒美がもらえないことに、犬は爪で地面を引っ掻いたり、あくびをしたり、パートナー犬や実験者から目を逸らすといったカーミングシグナルが見られたそうです。
この実験で面白いのは「褒美の量や種類」「芸のクオリティー」による差に対して、犬は「嫉妬」を示さなかったということです。
Christine R. Harrisらが調査した研究
カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究グループ(Christine R. Harrisら)が調査した研究結果が、2014年にアメリカのオンライン科学誌「Plos One」に掲載されました。それによると、飼い主が他の犬や人間の赤ちゃんを構っていると、犬はその対象に嫉妬し「咬む」や「吠える」といった攻撃的な行動をとったそうです。
犬の嫉妬行動
犬の嫉妬行動は、飼い主さんの注目を得ようとする「甘え行動」と、飼い主さんが強く注目するもの(ライバル)を排除しようとする「攻撃行動」の大きく2つに分けることができます。
甘え行動
どうしたら大好きな飼い主さんに構ってもらえるか、あの手この手でアピールする甘え行動として、以下のような例が挙げられます。- 見つめる
- 体を擦り寄せてくる
- 飼い主さんが構っているモノの間に割って入る
- 舐めてくる
- 鼻鳴き
- おもちゃを持ってくる
- 飼い主さんを遊びに誘う(プレイバウの姿勢を取る)
攻撃行動
嫉妬からくる攻撃行動として、以下の行動が挙げられます。- 吠える
- 唸る
- 噛み付く
- 破壊する(おもちゃなど)
- 追う(追い払う)
嫉妬している様子があれば、愛犬としっかり向き合い、たくさんの愛情を伝えてあげましょう。
犬の嫉妬によるトラブルを防ぐために
嫉妬する状況をつくらない
基本的には「嫉妬させるような場面を見せない」「嫉妬させるような状況を作らない」ということが大切です。そういった状況になった場合には、対象犬(物)には近付けないようにしましょう。これは、愛犬が危害を加えることを未然に防ぐことと、愛犬が他の犬から危害を加えられないためです。
飼い主さんが愛犬の性格を理解し、距離感などを確認することでトラブルを防ぐことができます。
わざと嫉妬させない
愛犬が嫉妬するかわいい姿を見てみたい気持ちもあるかもしれませんが、思わぬトラブルにつながることがあります。わざと嫉妬させるようなことをするのはやめましょう。環境の変化時は要注意
特に注意して欲しいのは、意図して嫉妬する状況を作らなくても、急に子どもが産まれたり、新しい犬や猫が家に来たりすれば、嫉妬する可能性があるということです。環境の変化や成長に伴う心の変化によって、思ってもいない行動に出ることもあります。赤ちゃんや小さな子どもがいる場合には、決して子どもから目を離してはいけません。
新しい犬や猫を迎える場合は、迎える前に「相性はどうか」と注意深く観察しましょう。
犬も嫉妬することを理解しましょう
犬も嫉妬することが海外の研究結果からわかっている
犬は嫉妬した場合「甘え行動」や「攻撃行動」をとる
嫉妬する状況をつくらないことが大切
毎日を一緒に過ごす飼い主さんは、犬にとって大切で大好きな存在です。
嫉妬させないように、たくさん話しかけたり触れ合ったりして、コミュニケーションを取るようにしましょう。
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