愛犬とのしつけは楽しく! 始める時期や方法について解説

「犬のしつけ」と聞くと、どんなことをイメージされますか? 「飼い主のいうことを聞かせる」「犬を良い子にする」ということを思い浮かべる方もいらっしゃると思いますが、犬のしつけをおこなう上で大切なのは、まず「信頼関係」です。今回は、犬のしつけはいつから始めるべきかや、おすわり、待て、トイレの教え方など、しつけにまつわることを解説していきます。

犬のしつけとは

子犬がものをかじっている

しつけとは、「愛犬と飼い主さんが気持ちよく過ごすためのルール決め」です。無理矢理言うことを聞かせたり、犬をコントロールしたりすることではありません。

一昔前はしつけにおいて、「犬のリーダーになる」という上下関係が大切だといわれてきました。それは、犬がオオカミと近縁であることから推測されたことでしたが、長年の研究で「犬はオオカミのような順位付けはしない」とされ、最近では犬のリーダーになるという考え方はされなくなりました。

信頼関係を築く

犬と人の関係作りで大切なのは、上下関係ではなく信頼関係です。よく「犬と一緒に寝るのはよくない」といわれますが、一緒に寝ることが問題なのではなく、犬が1匹では寝られなくなることが問題なのです。たまには1匹で寝かせることも必要です。

また、ベッドに限らずソファなども、飼い主さんが「下りて」や「どいて」と言えばどいてくれる関係作りをしていきましょう。

犬に聞く

応用編ではありますが、ある程度信頼関係が築けて、お互いの意思が理解できる場合、「犬に選択させる」ということもできます。

散歩を嫌がる子であれば、「散歩する?」と声をかけリードを見せます。散歩に行きたくないなら逃げるでしょうし、行きたいなら逃げないで近付いてくるでしょう。散歩の時間だからと無理に散歩させるのではなく、犬の気持ちを聞いて尊重してあげることも大切です。

犬の気持ちを尊重するということは、心と時間に余裕がないとできないことです。「これができないといけない」という考えではなく、「できたらすごいね」「お互い楽だね」という気持ちでいましょう。

犬の学習について

子犬のトレーニング

犬は行動の前後に起こったことを関連付けて学習します。

例1:オペラント条件付け

  • 「オスワリ」とコマンドを出す→犬が座る→おやつをあげる
これはごく一般的なしつけ方ですよね。これは、犬が「オスワリ」という音(声)を聞いて、「自分が座るとおやつがもらえる」ということを知っているからできる行動です。この学習を「オペラント条件付け」といいます。

例2:レスポンデント条件付け(古典的条件付け)

  • ベルが鳴る→ごはんが出てくる
  • ベルが鳴る→よだれが出る
最初はベルの音には何の意味もありませんでしたが、音が鳴った後にごはんが出てくることを学習すると、ベルの音だけでよだれが出てしまうという条件反射です。これを「レスポンデント条件付け(古典的条件付け)」といいます。

犬はこうした二つの学習の仕方をしています。

犬の行動には意味があります。行動の意味を考えながら愛犬を観察することで、現在困っている犬の問題行動があっても、なぜそういう行動をするのかが理解できると思います。


褒めて伸ばす

おやつをもらうゴールデンレトリーバー

最近は日本でも、犬のしつけについての関心が高くなっています。そして、叱ることよりも褒めることのほうが簡単ということから「褒めるしつけ」がメジャーになってきました。褒める中でも一番簡単なのが、おやつを使うことです。しかし、犬にとってのご褒美はおやつだけではありません。

愛犬の好きなものを知る

犬のしつけに使うことの多いご褒美。愛犬の好きなものを知ることで、トレーニングの幅が広がります。

  • おやつ
  • おもちゃ
  • 好きな行動
  • 好きな人
  • なでられる
  • 名前を呼ばれる
  • 目が合う

犬によっては、おやつよりもボールが好きな子もいますし、飼い主さんと目が合うだけで嬉しい子もいます。逆に、体を撫でられるのが好きではない子を「いい子だね~」と撫でてもご褒美にはなりません。その子の嗜好性を理解して、それをご褒美としてあげることが大切です。

やってはいけないしつけ方

「叱る」というのは、タイミングや方法などがとても難しいです。小型犬中型犬にやってしまいがちなのが、力でコントロールすること。マズルを抑えたり、仰向けにしてお腹を出させたりすること、叩く蹴るなどで教えられることはありません。

叱った瞬間は指示に従ったとしても、信頼関係は生まれません。恐怖心を与えることは、防衛本能としての攻撃性を引き出してしまうことにもつながります。


しつけを始める時期

犬の赤ちゃん

基本的にしつけは何歳からでもできます。ただし、「トイレは今まで外だったけど、今日から家の中でしなさい」といった覚え直しは、初めて覚えさせるよりも難しく時間が掛かります。


子犬の時期が大切な理由

一般的に生後3〜12週齢くらいまでが社会化期だと考えられ、犬にとって最も大切な時期だといわれています。社会化期と呼ばれる時期にどんな経験をするかが、犬の性格や成長に大きく影響するからです。

12週齢を過ぎると、恐怖心が芽生えてくるといわれています。今までは初めて見るもの聞くものに興味津々でしたが、恐怖心が芽生えてくると好奇心よりも恐怖心が強くなります。子犬の頃はしつけよりも、「いろいろな刺激にふれさせる」ことが大切です。


必要なしつけ

リーダーウォークする犬

どこを触られても嫌がらないようにする

耳・鼻先(マズル)・足先・尻尾など、犬にも触られたくない部分はあります。しかし散歩から帰って足を拭くときや、耳の手入れをするとき、歯磨きをするときなど、日常生活で触れなければいけないときがあるはずです。

触れることで病気の早期発見につながることもあるので、全身どこを触っても「嫌がらない」「ストレスがかからない」ようにすることが大切です。刺激に慣れさせることが大切なので、子犬の頃から始めるといいでしょう。

トイレトレーニング

トイレのしつけは悩む飼い主さんが多いものだと思います。子犬の頃から失敗させない、成功体験をさせてあげることが、トイレトレーニング成功の近道です。

トイレにコマンドを付けることも有効的です。普段から、排せつをしている時に決めた言葉(ワンツーワンツーなど)を言うことで、その音を聞くだけで排せつしたくなります。これはレスポンデント条件付けにあてはまります。詳しいトイレのしつけ方は関連記事をご覧ください。


クレートトレーニング

クレートトレーニングは、サークル(ケージ)でも応用できます。クレートはケージやサークルよりも狭く暗い環境ですので、より大変ではありますが、災害時など「もしも」の時のことを考え今からトレーニングをしておくことが大切です。

初めは扉は付けないこと。もしくは、勝手に閉まらないように紐で結んだり固定しておくことからスタートです。犬が見ていない時に、おやつを入れておきましょう。できれば音が鳴らないような、柔らかいものがいいです。犬が自分でクレートの中のおやつに気が付くまでそっとしておきます。クレートの中のおやつを見つけて食べたら、また犬が見ていないうちにおやつを入れておきます。特別褒める必要はありません。この手順を繰り返します。

慣れて来たら、クレートの中に毛布などを入れ、簡単に見つけられるおやつと、毛布に隠した少し見つけにくいおやつを準備します。この時も犬に見られないようにすること。少しずつクレートの中にいる時間が増え、クレートはおやつが出てくる不思議な場所と覚えさせましょう。

慣れて来たら扉を付け、犬が外にいる状態で開けたり閉めたりして見せます。恐がるようでしたらおやつをあげながらおこないましょう。その後、クレートに犬が入った状態でおやつをあげながら、ゆっくり少しだけ閉めすぐに開けてあげます。徐々に、閉める割合や時間を延ばしていきましょう。コマンドは焦らなくて大丈夫です。自然と入るようになってから「ハウス」などのコマンドを入れていきましょう。

大切なのは、扉が急にしまったり音が鳴ったりして怖がらせないこと。クレートからおやつが湧いて出てくるように思わせることです。飼い主さんがおやつを入れているのが分かると、飼い主さんがいないとクレートでのお留守番できなくなる可能性があります。「飼い主さん=おやつ」ではなく「クレート=いいことがある」という学習にして、犬にとってクレートは「楽しい場所」になるようにしてあげましょう。


散歩

散歩する秋田犬

毎日必要な散歩。飼い主さんもワンちゃんもストレスなく、散歩を楽しみたいですね。散歩中の引っ張りやマーキング、拾い食いなどさせないために上手な散歩を教えてあげましょう。

リーダーウォークといわれる散歩の仕方があります。リードはたるんだ状態で、犬が飼い主さんの横について歩く方法です。初めはおやつを使って誘導させてあげるといいでしょう。詳しい教え方は 関連記事の記事をご覧ください。


オイデ

呼び戻し」ともいわれるオイデ。「家ではできるけど外だとできない」という飼い主さんも多いと思います。しかし、オイデが必要な場面は、屋外が多いんですよね。ドッグランの帰りや、うっかりリードを落としてしまった時など、オイデができると便利です。オイデは、子犬の頃から教えてあげるといいでしょう。

子犬の頃はおやつよりも、楽しいことや嬉しいことのほうが好きです。誰かにリードを持ってもらい、離れた場所から名前を呼び、犬が「行きたい!」と思っているタイミングで「オイデ」と声をかけ、リードを離してもらいます。足元まできたら大げさなくらいたくさん褒めてあげましょう。

この時大切なのは、「飼い主さんのところに行きたいのに行けない」状況を作ること。マテができる子であれば、マテをさせてもいいです。行きたいのに行けない状況から、「オイデ」言葉の後には「飼い主さんのところに行くこと」ができるので、飼い主さんのところに行けたこと自体がご褒美になります。


アイコンタクト

犬が飼い主さんの目を見ること。アイコンタクトができるとコミュニケーションがとりやすくなり、しつけもしやすくなります。

はじめは、飼い主さんがおやつを自分の目線まであげ、犬が見たらおやつをあげます。だんだんとおやつの持つ手の位置を左右にずらしていきましょう。できなかったらまた、目線の位置に戻して少しずつずらしてあげましょう。


マテ

お出かけした時や、うっかりリードを落としてしまった時などにも利用できますので、覚えさせておくといいでしょう。詳しい教え方は、関連記事をご覧ください。


フセ

フセをするトイプードル

ドッグカフェなどで利用できます。また、飛びつきがちな子の対応としてもおすすめです。詳しい教え方は、関連記事をご覧ください。


指示の後は必ず「開放」の合図

たとえば、ごはんを前に犬にオスワリをさせて待たせ、「よし!」といってごはんを食べさせますよね? 「よし!」というのは「もうごはんを食べていいよ」の合図です。これを開放といいます。

「開放」は終わりを意味し、もう自由にしていいよという意味です。私たちはごはんの前に待たせてから「よし」といって解放させますが、普段はどうでしょうか。オスワリといっておやつをあげておしまいになっていませんか? 普段から「指示された行動には終わりがある」ということを教えることで、マテが当たり前になっていきます。

開放が使われるのは行動の終わりだけではありません。トレーニングに力を入れている家庭であれば、トレーニングの終わりにも開放は使うことができます。飼い主さんの指示に集中している状態から解放してあげることで、犬はリフレッシュできます。少し自由にさせたり、遊んであげたりしてからトレーニングをすることで、集中力が変わります。

ただし、犬の集中力は15分程度といわれています。一度に長い時間トレーニングするのではなく、時間を決めて楽しく教えてあげましょう。

開放のコマンド

   開放のコマンド(指示語)を決めましょう。一般的に使われているのは「よし」や「OK」です。その他にも、「おしまい」や「おわり」でも、飼い主さんが分かりやすいものでかまいません。

一つ注意したいのは、他に似た言葉を使っていないかということです。たとえば、よくできた時に「よしよし」と褒めることがあるのであれば開放のコマンドは「よし」とは似ていない言葉のほうがいいでしょう。犬にとって紛らわしい言葉がある場合は違うコマンドにしましょう。

しつけが上手くいかない時

ボールを持ってくる犬

犬も動物です。何でも人の思い通りにはなりません。できないことは焦らずに、「どうしてできないのか」ということを考えましょう。アプローチの方法を変えてみることも新しい発見につながります。

しつけは急いでやるものではありません。長い時間をかけてできるようになっていくものです。上手くいかない時は、本を読んだりドッグトレーナーに相談したりすることも大切です。

役立つグッズ

グッズを使うことでトレーニングがしやすくなるものもあります。必要なトレーニングによって使うグッズも工夫するといいでしょう。

首輪とリード

トレーニングでは普通の首輪とリードが必要です。ハーネスはトレーニング向きではありません。リードも汚れることが前提です。装飾がなく軽いものを選びましょう。

普通の首輪の他にハーフチョークやフルチョークというものがありますが、使い方を誤ると犬の首に負担がかかり呼吸器の病気になってしまうこともあります。トレーナーさんに相談してから使用するようにしましょう。

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ロングリード

収縮リードではないタイプのリードです。広い公園などでの「持ってこい」や「オイデ」の練習に便利です。リードの幅や長さにも種類がありますので、犬の体重や利用目的などで選びましょう。

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ショートリード

大型犬の散歩トレーニングに最適です。普通のリードでは引っ張られてしまい、上手くコントロールやしつけができない人は試してみるといいかもしれません。犬の体重にあったもので、飼い主さんの手から犬が立った時の首までのを事前に測っておくことをオススメします。

ピンと張った状態ではなく少したるむくらいの余裕がある方が犬も飼い主さんも歩きやすいと思います。とても短いので、突然走り出してしまう恐れのある子には、ショートリードと普通のリード二つ付けておくと安心です。

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コング

お留守番や足元でおとなしくしていて欲しい時の練習に使うことができます。コングの大きさや硬さに種類がありますのでお好みで選びましょう。

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フードポーチ

おやつを使ったトレーニングにとっても便利です。毎日の散歩の時にもフードやおやつを入れて持ち歩くことで、いつでもトレーニングができます。

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クリッカー

クリッカー犬に「正解」を伝えやすい道具です。形状や音の大きさなど種類がありますので、お気に入りのクリッカーをみつけるのもいいですね。しかし、クリッカーを使ったトレーニングは使い方は簡単ですが、タイミングがとっても難しいものです。事前に勉強したり、トレーナーさんに教わるほうがいいでしょう。

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まとめ

遊んでもらう犬たち

しつけとは、愛犬と飼い主さんが気持ちよく過ごすためのルールを決めること
上下関係ではなく、信頼関係を築くことが大切
「叱る」より「褒める」しつけを
焦らずゆっくり時間をかけて、犬も人間も楽しみながらおこなう

しつけをおこなう際は、まずは愛犬のことを理解する必要があります。遊びを通して新しいことを少しずつ教えていくこと、覚えていくことは喜びであり楽しみになります。

「できないからダメ」「教えても覚えないから頭が悪い」ではなく、「できたら楽しいね♪」「このやり方ならどう?」といった気持ちで取り組みましょう。できなくてもいいものなら、無理に教える必要はありませんし、必要なしつけならアプローチを工夫したりトレーナーさんに相談したり方法はあります。犬も人も楽しく取り組むことが1番です!

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