【獣医師執筆】猫に牛乳を与えるのはNG!理由や飲んだ場合の対処法を解説

【獣医師執筆】猫に牛乳を与えるのはNG!理由や飲んだ場合の対処法を解説

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ミルクは子猫にとって大切な栄養源ですが、同じミルクでも牛乳と猫の母乳の成分は異なります。猫の母乳の代わりに牛乳を猫に飲まるとお腹を壊したり、栄養バランスが良くなかったりする可能性があります。今回は牛乳の成分や猫にあげることの問題点について解説します。

猫が牛乳を飲むことはNG

牛乳

猫に牛乳を飲ませてはいけません。主な理由として以下の3つが挙げられます。

  1. 乳糖を分解するのが苦手
  2. 十分な栄養を摂れない
  3. 乳製品アレルギー

1. 猫は乳糖を分解するのが苦手

猫の母乳と牛の母乳は同じミルクでも成分が異なります。人間でも牛乳などの乳製品を摂るとお腹の調子が悪くなる人がいますが、猫も同様です。猫は乳糖不耐症といって乳糖を分解するラクターゼという消化酵素を十分に持っていません。胃腸の不調を引き起こしやすく、下痢や嘔吐などの症状が見られる場合があります。

2. 猫は牛乳で十分な栄養を摂れない

猫に牛乳を与えてお腹を壊さなかったとしても、必要な栄養が足りなくなる場合があります。牛乳はカルシウムやビタミン、タンパク質など含まれており栄養価の高い飲み物ですが、猫の母乳と比べるとタンパク質や脂肪の量が少なく、カロリーが高い特徴があります。

乳組成
   ネコ乳 イヌ乳 牛乳
乾物(%) 21.0 22.7 12.3
粗タンパク質(%) 7.5 7.5 3.3
粗脂肪(%) 9.5 8.5 3.6
乳糖(%) 3.3 4.0 4.7
総エネルギー(kcal/100g) 14.5 19.0 38.2
乾物中乳糖(%) 14.5 19.0 38.2

猫にとって牛乳は栄養バランスの良い飲み物とは言えません。特に成長期で栄養を必要とする子猫にとっては、お腹が膨れても栄養不足になってしまうリスクがあります。

参照:日本ペット栄養学会(2014)『ペット栄養管理学テキストブック』

3. 乳製品アレルギー

猫によっては食物アレルギーで乳製品に反応してしまう子がいます。よく見られる症状は皮膚の痒みや赤みです。いつもと違う様子が見られる場合は動物病院に相談しましょう。

猫が牛乳以外で飲んで大丈夫な飲み物

牛乳(ミルク)

牛乳と同じ乳製品でもヨーグルト、ヤギミルク、チーズなど猫が食べたり飲んだりしても大丈夫(お腹を壊しにくい)ものもあります。ただし猫はそれらで十分な栄養を摂ることはできませんので、与えるとしてもおやつ代わりにしましょう。与えていい量は1日の最適カロリー量の10%以内が目安です。

おやつとして与える場合は、1日の最適カロリー量の10%以内にしてください。毎日の最適カロリー量はペトコトフーズの「カロリー計算」(無料)で簡単に計算することができます。

愛猫のカロリー計算をする

ヨーグルト

ヨーグルトは乳糖不耐症の原因となる乳糖がすでに分解されています。無糖やカロリーオフのものであれば与えても大丈夫です。ヨーグルトをなめることで乳酸菌が口内にとどまると、細菌の増殖も抑えられて口内トラブルの抑制にもつながります。また、腸内環境を整える働きもあります。

猫用のミルク

アレルギーがない限りは猫用に作られたミルクを与えるのが安心です。水分補給をして欲しいときや、食欲がなくてご飯を食べてくれない時などに猫用のミルクを足してあげると喜んで食べてくれるでしょう。飲ませ方としては、冷蔵庫で冷えたものよりも少し温めたものや常温のミルクを与えると良いでしょう。



楽天市場で見る

チーズ

与える際にはチーズの選別などの注意が必要ですが、猫は発酵食品が大好きです。塩分やカロリーに気を付けて与えるようにしましょう。猫用のチーズも発売されているので、アレルギーなどが大丈夫であればおやつに試してみてもいいかもしれません。

牛乳ではなく猫用のミルクを

牛乳

猫に与えるのは牛乳ではなく、猫用のミルクなどの方が適していることをご理解いただけたでしょうか? 食欲がない猫や水分補給をして欲しい猫のために、普段のご飯に猫用のミルクを足してあげると猫にとっても嬉しい働きをしてくれます。乳製品アレルギーには注意をして、愛猫に適したものを与えてあげてください。

参考文献


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