東大の研究に猫好きから多額寄付。ネコ腎臓病の治療法を開発する東大宮崎徹教授の挑戦

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「1日でも、1秒でも長く健康で生きてほしい」。飼い主であれば誰しもが願うところではないでしょうか?猫の場合、高齢になると腎臓病を発症する傾向にあることがわかっています。しかし、気づいたころには腎臓の機能がほぼ失われていることから、その原因解明が課題となってきました。猫を腎臓病から救うため、治療薬研究に奔走する東京大学大学院 宮崎教授に、異例とされるほど多数の支援が寄せられています。

寄付が殺到する前代未聞の事態に

飼い主を見る猫

通常、東大への寄付は年間1万件程度にもかかわらず、とある東京大学の研究チームに寄付が殺到しています。

そのチームが研究しているのは「猫の腎臓病の治療法」。

「腎臓病で苦しむ猫を減らしたい」。そんな想いを持つ愛猫家たちによって2日余りで約2900件、約3千万円の寄付が集まり、今もなお申し込みが殺到しています。

猫の寿命を30年にするAIM創薬プロジェクト

ハンモックから顔を出す猫

東京大学大学院医学系研究科疾患生命工学センターの宮崎徹教授(59)が着眼したのは「AIM」というタンパク質

猫はAIMを持っているものの、他の動物のように機能していないことに気づき、きちんと機能するAIMを注入することで、腎臓病の進行を止められることを発見しました。

さらに、機能するAIMを若い時期から投与すれば、腎臓病にはならず、最長で30歳まで生きるようになると考えられています。

猫の腎臓病はかかりやすくて、治しにくい

寝転がる猫

かかりやすさ

猫の慢性腎臓病は、世界各国で猫の死因の上位3位には必ず入るほど、多く診断されます。

特定の猫種でよく見られるということはありませんが、高齢の猫(10歳以上で15%以上、15歳以上では80%が慢性腎臓病という報告があります)で見られる傾向にあるようです。

治療方法

すでに腎臓病を患った猫に対して、基本的に治療方法は「病気の進行を遅らせる」「症状を緩和する」ことです。腎臓の機能を再生する治療法はありません。

腎不全に至る前に、より早期の段階で見つけ、進行を遅らせることが治療の上で最重要になります。

早期発見・早期治療を行うことで、腎臓病を患っていても健康の猫と変わりない生活を送ることができる猫もいます。

予防方法

腎臓は「沈黙の臓器」といわれるほど、ある程度病気が進行しないと、目立つ症状が出ません。つまり、症状が出る頃には、ほぼ機能が失われている状態です。

腎臓病の予防や早期発見には「日常的な水分摂取」と「定期的(半年~1年に1回)な健康診断」が重要です。今後AIMが注入できるようになると「AIM投薬」も1つの予防方法として確立するかもしれません。


コロナ禍でストップしたAIM創薬プロジェクト

猫を抱く女性

新型コロナウイルスにより、社会全体が経済的な打撃を受けたことでプロジェクトは一時中断しています。

プロジェクトを再開のため、現在支援を募っています。

宮崎教授コメント

「ひとつの薬、特にタンパク質製剤の開発にはとてつもない時間と労力、コストを必要とします。

これまでの動物薬は、すでに人間用の薬として使われているものを動物用に転用するケースがほとんどで、時間を大幅に短縮できましたが、AIM製剤の場合は、動物薬を先行し、ネコの腎不全のためにゼロから開発を行っています。

たくさんの獣医の先生方を含む、色々な方面の方々の暖かいご支援とご協力のもと、昨年の春先の段階で、治験薬製造のための開発をほぼ終了するところまで来ておりました。これからいよいよ次のステップにというところで、思いもよらないコロナの影響により、治験薬の製造の前で中断を余儀なくされているのが現状です。

皆様のご厚意を無駄にすることがないよう、一日も早くAIM創薬を完成させ、皆様のお役にたつことができますよう、研究室一同、今まで以上に研究に尽力することをお約束いたします。」(一部抜粋)


猫の腎臓病研究に支援しよう!

新型コロナウイルスの打撃を受けつつも、ひたむきに猫のため、愛猫家たちのためにAIM創薬を完成させるために尽力している宮崎教授。

愛猫のためにはもちろん、他の猫・愛猫家のために、今まさに腎臓病と戦っている猫のために、支援してみてはいかがでしょうか?

支援する

※支援に関するお問い合わせは東京大学基金問い合わせよりお願いいたします。


引用文献