警戒心の強かった元保護犬「シルバ」 無邪気な姿に思わずほっこり【お結びレポート】
ハーネスの音に怯え、散歩も難しかった保護犬出身のシルバくん。3カ月たった今では、お散歩バッグを見ただけで大はしゃぎ! まだまだ警戒心は残りますが、ご家族の皆さんは「1年後どんな関係になれているか楽しみ」と語ります。保護犬・保護猫とペットを飼いたい人のマッチングサイト「OMUSUBI」を通じて結ばれたご家族を紹介する「お結びレポート」第2回は、2歳のミニチュアシュナウザーを迎えたご家族のお話です。
「少しずつ家族の一員になっています」
今年の7月に「OMUSUBI」を通じて動物保護団体からシルバくんを迎えた松本さんご家族。シルバくんはすぐに人に慣れる性格ではなく、初めて家に連れて来た時は警戒心がとても強かったそうです。緊張から震えたり、散歩をする時のハーネスの金具の音にすら怯え鳴いたりしていました。しかし3カ月たち、いつも散歩やご飯のお世話をしているお母さまは「少しずつ家族の一員になっている」と語りました。-
お母さま:最初の方はあまり抱っこはせず、準備していたケージに入れてあげるようにしました。変に野放しにしていると、かえって緊張してしまうみたいだったので。今では逆にケージに入れると「出してくれー!」とアピールがすごいですけどね(笑)。なのでお留守番と夜寝る時以外は自由に家の中を走り回ってます。お散歩の時なんて大喜びですっ飛んできます。
取材当日、お散歩の様子も撮影させてもらいました。シルバくんはリードを用意した途端に大喜びでお母さまに駆け寄って行きました。その姿からハーネスの金具の音に怯えていた姿は一切想像できません。
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お母さま:やはり……3カ月ですね。3カ月たつと、いろいろなことが変わってきて、「成長したなぁ。家族の一員になったなぁ」と感じますね。1、2カ月の時ってまだお互い遠慮というか、緊張して気を使いあう部分があったと思います。もうそんなの忘れちゃいましたけど!
娘さん:私は普段実家に住んでいないのでまだ会うと警戒されて震えられてしまうんですけど……(笑)。でも3カ月たってだいぶマシにはなってきました。まだ私や父に対しては警戒しますが、少しずつ慣れてきているので、1年後とかはどんな関係になれているのか楽しみです。
シルバが取り戻した家族の笑顔
シルバくんを迎える前に、松本さんご家族は先住犬のジャックくんを亡くされていました。11年もの間ずっと家族として過ごしてきた存在を亡くすことは筆舌に尽くしがたい喪失感だと思います。ペットロス状態になり、本当はすぐに犬を飼うことは考えもしていなかったそうです。しかし娘さんが「OMUSUBI」で目に疾患のあるミニチュアシュナウザーのシルバくんを見つけ、ご両親にお話したところからお見合いにつながりました。トライアル開始当日、初めての集合写真
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娘さん:ジャックを亡くしたことで、幸せに暮らせない犬たち、殺処分の問題とかへの関心が高まりました。ネットでいろいろ調べている時にたまたま「OMUSUBI」を見つけ、募集をされているシルバを見つけました。保護団体に行くまでは引き取り手がいないと殺処分されてしまうと思っていたので、すぐに父と母に連絡をしました。
お母さま:先住犬のジャックを亡くしたことが本当につらくて、次の子なんて本当に考えていなかったんですけど……でも会ったらかわいくて。ジャックと同じ犬種でしたけど、体つきも性格も全然違います。それでも不思議なことに「また会えた」とも感じたんです。引き取ることで保護犬を救うことにもつながるのなら、ぜひ来て欲しいと思いました。
お母さまにべったりのシルバくん
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お母さま:シルバに会う前は先住犬のジャックを失った悲しみの方が大きかったです……。眠れないし、家族の会話も途切れがちで。でもシルバがうちに来て、眠れるようになりました。「縁」って本当にあるんだなと思います。
実際にお見合いをした後、翌週にはトライアルをスタートさせたようです。ご飯や散歩の世話をしているお母さまにはすでに慣れているようですが、お父さまや娘さんにはまだ少し緊張してしまうようです。しかしシルバくんが家に来てからは、家族の間には笑顔や会話が増えました。
周囲からの「保護犬を飼ってくれてありがとう」
いつも散歩をするお母さまがシルバを迎えて驚いたのは、周囲の人たちの保護犬に対する関心の高さでした。すっかりお散歩に慣れたシルバくん
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お母さま:お散歩中に会った人に「保護犬を引き取ったんです」ってお話をすると、びっくりするくらい「シルバよかったねー!」と言って自分のことのように喜んでくれるんです。迎えたばかりの頃、シルバはお散歩に行っても怖がってあまり動かなかったんですけど、先住犬のジャックの頃からのお散歩友達のワンちゃんが一緒に歩いてくれたりしてました。シルバは犬が大好きなので、ワンちゃんがいるととても楽しそうなんです。もう今ではお散歩自体が大好きになりましたけど、時々散歩中にすれ違うと「もうお散歩大丈夫になったのね」と気に掛けてくれます。周りの人の温かさがとても心強いです。
娘さん:動物病院で先生からも「保護犬を引き取ってくれてありがとうね!」って言われたみたいです。思った以上に、周りの人たちって保護犬の問題とか知っているんだなと思いました。
体力や体調面にも良い変化が
シルバくんを引き取ってから、行きつけの獣医師さんに相談をしながら手作りご飯を与えているというお母さま。準備を始めるとシルバくんはお母さまの後ろにピタッ! とくっついていました。「ご飯があることはわかっている……」目ざとく察知するシルバくん
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お母さま:最初は今より脚が細くて、椅子に飛び乗るジャンプ力もなかったんです。シルバの場合、最初はドッグフードをメインとした食事を摂っていました。でも油分が多すぎるのか、口周りや肉球が茶色くなってしまっていたんです。なので動物病院の先生にレシピなどを相談し、体質に合う食事を作るようになりました。手間はかかるけど健康につながっている実感があるし、けっこう楽しいんですよ。
シルバくん専用の手作りご飯
迎えてから感じた「保護犬」のこと
新しい家族を保護犬から迎えた松本さんご家族。迎えてから感じたことや、これから迎えようとしている方へ伝えたいことなどをお聞きしました。-
お母さま:保護犬だから……と特筆するなら、お散歩していて周りがとても温かいことですかね。「ありがとう」って言ってもらえて、気に掛けてもらえて。想像以上に周りが優しくて嬉しいです。でも(先住犬の)ジャックもシルバも変わらないですよ。シルバの目が見えづらいことや、慣れにくいことも、確かにこれが初めて飼う犬だったらどうしていいか分からないかもしれないけど。ジャックの闘病も乗り越えた経験があるので、目の病気も警戒もどーんと構えていられる感じはあります。
娘さん:テレビ番組で保護犬のことをみると、もどかしい思いとかしていました。「こんなに慣れないものなのかな?」と思ったり。でも実際にシルバと会って、慣れるまでの時間の大切さとか、心の開き方を学んでいるような気がします。子犬だったらもっと早くに慣れているだろうから、これは保護犬というか、シルバならではなのかなとは思います。やっぱり、ちゃんと向き合って紡いでいかないとなと感じています。まだ震えられちゃうので、手強い相手ですけど(笑)それはそれで1年後を想像して楽しんでます。「保護犬」という意識は正直全然してないです。
お家の中を自由に歩きまわるようになりました
これから保護犬から引き取ろうとする人へ
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娘さん:私たちが保護犬……というかシルバに対して余裕を持って構えていられるのって、やっぱり先住犬ジャックの存在が大きいと思います。多くの人に保護犬から引き取って欲しいです。でも経済力はもちろんのこと、思い通りにならない命に対しての忍耐力とか必要なことはたくさんあります。それはペットショップの犬猫も同じですけどね。しっかりと家族で話し合って全員で育てていく覚悟を確認してみて欲しいです。
お母さま:保護犬の多くは成犬で、疾患など何らかの問題を抱えているワンちゃんもいますよね。初めて犬を飼う人には大変かもしれないから、犬と関わった経験のある人にこそ保護犬から飼うことを考えて欲しいです。あとはもう、覚悟と愛情があれば! ペットショップから子犬を引き取ったって、病気になる可能性はあるんですから。
元保護犬ではなく「シルバ」として
今回の取材はインタビューからお散歩、ご飯タイムまでご一緒させていただきました。シルバくんは初めての人に懐くタイプではありませんが、お散歩に行けると分かり大喜びをしたり、大好きなお母さんにべったりして眠ったり、ご飯を催促したりする姿は本当に生き生きとしていました。娘さんが仰っていた「1年後の関係が楽しみ」という言葉が、ご家族のシルバくんに対しての愛情を示しているような気がします。「迎えるまでに『保護犬』という経路があったとしても、それは飼い主さんにとっては関係のないこと何だな」と改めて実感しました。取材後、カットして更にかわいくなったシルバくんの画像が届きました♪
ペットショップから子犬を飼っても、飼い主さんが行うしつけ次第で関係性が変わり、ある日突然病気になる可能性はどの犬も等しく可能性として持っています。何をきっかけで家族を迎えるとしても、命を育むにはお金と時間が必要で、予測可能のことなんて一つもないことをご理解いただければと思います。
保護犬猫の募集情報サイト「OMUSUBI」では、新しい家族との出会いを待っている犬や猫の情報が掲載されています。一度覗いていただき、シェアなどにご協力いただけると嬉しいです。