猫の歯茎から出血した場合に考えられる症状や原因、予防法、応急処置などを獣医師が解説

猫の歯茎から出血した場合に考えられる症状や原因、予防法、応急処置などを獣医師が解説

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健康な状態の猫の歯肉はピンク色や淡い赤色をしていて、かたく引き締まっていて、歯にしっかりくっついています。しかし、歯肉から血が出てしまっている状態は、歯周病など大きな病気が潜んでいる可能性もあるので注意が必要です。今回は猫の歯肉から出血した場合に考えられる症状や原因、予防法や応急処置を白金高輪動物病院・中央アニマルクリニック顧問獣医師の佐藤が解説します。

猫の歯茎から血が出る場合に考えられる原因と病気

ねこ

外傷からの出血

猫同士のケンカによって歯茎を傷つけられることもあります。他の部位にも傷が見られるか確認してください。これは病気ではないので、様子を見ましょう。

歯肉炎などの歯周病による出血

歯周病にかかると、食事やおもちゃでの遊びなど少しの刺激でも出血を起こしてしまいます。歯周病の原因としては、猫カリシウイルスや猫エイズ(猫免疫不全ウイルス感染症)などのウイルス疾患、歯石の付着、体質などが考えられます。歯周病が原因で出血がある場合、根尖腫瘍などの、より重度な病気が潜んでいる可能性もあるので、早めに動物病院で診てもらいましょう。お家でも、こまめなデンタルケアが大切です。

デキモノによる出血

口の中にできるデキモノは、悪性の場合が多く、歯茎の出血以外にも口臭が強くなったり顎や顔の形が変わることもあるので注意しましょう。

生理的なもの

乳歯が抜ける時期に生理的ですが出血することがあります。

猫の歯茎から出血しないための予防ケア

こまめな歯石取りが大切です。よく猫の歯石を爪などで取る人がいます。ボロっとキレイに取れたように見えますが、実際は歯茎に隠れた歯の根元の部分(歯周ポケットと呼ばれるところ)に歯石が残ってしまうことが多いため、歯肉炎をはじめとした歯周病の治療や予防にはならないことがほとんどです。また、歯の表面や歯茎を傷つけたり、猫が口を触るのを怖がるようになってしまうなどのデメリットも多いため、やめた方が良いでしょう。

猫の歯茎から出血した場合は冷静な応急処置が大切です

ねこ

猫が健康な状態を維持するためには、獣医師が最善の治療をすることはもちろん、飼い主の皆さんが猫の異変を察知することが必要です。しかし、動物の病気を判断することはとても難しいことです。猫への知識を増やせば、最悪の事態を防ぐ手助けになることは間違いありません。