
犬が飼い主を突然噛むようになった! 原因や対処法を獣医師が解説
犬が噛むことにはさまざまな原因があります。しつけだけでなく、病気を患っている可能性があるので、放っておかず、異常がないか確認することが大切です。今回は、目黒アニマルメディカルセンター/MAMeCの顧問獣医師の佐藤が、犬が突然噛むようになった場合に考えられる原因や対処法について説明します。
犬が噛む理由(病気ではない場合)

- 相手を攻撃・威嚇している
- 縄張りを守るため
- 恐怖を感じて自分の身を守るため
- 本能的な衝動(狩り)
- ストレスの解消
- 遊びの延長
- 歯の生え替わり時にむずがゆさを感じている
病気ではない場合は、しつけで改善が見込まれる可能性があります。自分一人で抱え込まず、ときにはドッグトレーナーといった専門家の力を借りましょう。
犬が噛む理由(問題がある場合)

痛みがある
痛みのある部位に触れられないようにするために噛みつくことがあります。例えば、関節炎で足腰が痛い場合は、噛むことで触られるのを阻止しようとします。どの部位を触られると噛むのかを確認し、悪化するようであれば動物病院で診てもらいましょう。
視覚・聴覚の衰え
老化による変化や病気により、視覚や聴覚が衰えているあるいは失われている場合、触れられることに敏感になっています。唐突に触られたり、抱きあげられたりすると驚いて噛みつくことがあります。老犬の場合は触り方を気をつけてあげてください。
認知症
認知症による性格の変化や、飼い主を認識できなくなることなどで噛みつく場合があります。問題行動
人と生活していく中で、犬が「自分の思い通りにならないときに噛みつけば、要求が受け入れられる」と学習している場合や「人間よりも自分の方が順位が上だ」と思っている場合など、犬と飼い主の間に間違った関係性ができているときに噛みつく行動が見られる場合があります。脳疾患
脳の疾病により性格が変化し、無意識のうちに噛みつくことがあります。なかなか判断しづらいと思いますが、治らないようであれば、重症化する前に、早めに動物病院へ連れて行きましょう。対処法・応急処置

どの部位を触ると痛がるのかを観察
痛みが明らかな場合、その原因を取り除く必要がありますが、無理に触ろうとせず、元気や食欲があるのであれば安静にして様子を見ましょう。痛みの程度によっては動物病院での治療が必要となりますので、どの部位を触ると噛みつこうとするのかを観察し獣医師に伝えるようにしましょう。
また、動物病院に連れて行く際には痛みのある部位を触らないようにしたり、タオルにくるんで抱きかかえるなどして噛まれないように気を付けましょう。
声をかけてから犬の体に触れる
視覚や聴覚が衰えてくると他の感覚(触覚、嗅覚、味覚など)でそれを補おうとするため、過敏になっていることがあります。まずは声をかけてから犬の体にそっとやさしく触れるようにして、驚かせないようにしましょう。