ペットロスを乗り越えて迎えた保護犬 小学生2人と3人目の兄妹に【お結びレポート】

Share!

保護犬・保護猫とペットを飼いたい人を結ぶ場「OMUSUBI」を通じて結ばれたご家族を紹介する「お結びレポート」第10回は、保護犬「しずくちゃん」を迎えた山本さん一家のお話です。ペットロスで「まだ次の子は……」と思っていたお父さんと小学生の兄弟たち。どのようにしずくちゃんを迎えたのでしょうか? 保護犬を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。週末はいろいろな場所で譲渡会が開催されていますよ♪

しずくちゃんは2017年10月5日生まれ。両親はシーズーとプードルで、保護されたときに妊娠していたお母さん犬から産まれた子でした。どのような経緯で迎えることになったのか。山本さん夫妻に聞いてみましょう。


初めての看取りで「正直ショックだった」

先代のマーブルちゃん
先代のマーブルちゃん

編集部(以下、編):もともとミニチュアダックスフンドと暮らしていたそうですね。

奥様(以下、奥):そうです。2017年の8月に15歳で亡くなって。私は動物看護師として命に関わる仕事をしていて、今も介護福祉士の仕事をしているので死と向き合う機会は何度も経験してきました。

ただ、主人や子どもたちはそうではなかったので、ペットロスがすごかったですね。家に帰っても「そこにいない」ということが大きいんですよね。子どもたちはそのとき小学2年生と1年生だったんですが、特に上の子と、主人ですね。

旦那様(以下、旦):昔、猫と暮らしていたことはあるんですけど犬は初めてで、最期を看取るのも初めてだったので正直ショックはありましたね。

奥:前の子がダックスにしては大人しくて良い子で、主人のことが大好きだったんです。ソファーに座っている主人にピタッとくっついて甘える感じだったので、ペットロスは息子よりも主人のほうが強かったんじゃないかと思います。

旦:あまりにも存在が大きくて、「次の子は……うーん……」と思ったりしてました。


子どもたちも勉強して、保護犬を迎えることに

編:新しく迎えようと思ったのは奥様ですか?

奥:そうですね。半年くらいたっても主人たちのペットロスがひどいので、迎えたほうがいいのかなと悩んでいて凄くわかるし、主人も亡くして寂しい思いがあったと思うんですね。でも、そこで「新しい子」って言ったら、「1年もたってないのに代わりじゃない」って思うだろうなと。なかなか言い出せない葛藤がありました。

編:より深刻になってしまう可能性も考えると、簡単には言えないですよね。奥様は迎えるなら保護犬というのは決めていたんですか?

奥:いえ、初めはペットショップから迎えることも考えたんです。ただ私も働いている状況で、子犬を飼ったらどうなるかってのがわかりますので、それはできないなと。

あと私はペットショップもブリーダーも働いた経験があって、昔は特に「どんな子でも売らなきゃいけない」という時代だったので、ペットショップはどうかなと。ブリーダーさんも最近はいろいろな方がいるので、うーんと思って。それだったら保護された子を迎えるほうがいいと思ったんです。

編:子どもたちは保護犬を迎えるということを理解してくれましたか?

奥:子犬を飼いたいという気持ちはよくわかるので、まず子犬を育てるのは大変なんだよということを伝えて、妹か弟になるのでしつけもちゃんとやらなきゃいけないということを勉強させました。

保護犬については『ある一匹の犬のおはなし』という本があって、それを読ませたかったんです。夜に読んであげて、保護犬のこと、保健所のこと、処分されてしまう命もあるんだよということ、教えて心の準備をさせました。それが2018年3月のことでした。

ある一匹の犬のおはなし

初めてのシェルターに親子で「圧倒された」

シェルターにいた頃のしずくちゃん
シェルターにいた頃のしずくちゃん

編:旦那さんは奥様からお話を聞いていかがでしたか?

旦:やっぱり初めは抵抗がありましたね。前の子のことを考えると今すぐには……という葛藤が正直ありました。

奥:そこは子供のほうがすんなり、保護犬のこともテレビで保護犬の特集をやってたりするので、受け入れるのは早かったですね。主人はまだ葛藤していましたが、ちょうどそのタイミングでしずくの募集が出たんです。それで、この子を考えているというのを伝えて、何度も何度も家族会議をしました。

編:OMUSUBIのことは以前からご存じだったんですか?

奥:しずくを保護していた団体の方が専門学校で講師をされたことがあったんですが、その話を偶然、知り合いから聞いたんです。「OMUSUBIというサイトがあって、そこで新しい家族を探す活動をしてるんだって」と。試しに見てみたらしずくが掲載されていて、偶然にもその保護団体の募集だったんです。それで応募をして、お見合いで実際に会いに行くことになりました。それが4月の終わりくらいですね。

OMUSUBIに掲載されていた募集ページ
OMUSUBIに掲載されていた募集ページ

編:保護犬を迎えることにしてからは、話が早く進んだんですね。

奥:そうですね。それなのに主人はまだ葛藤してました(笑)。初めは子どもたちと3人だけで行くつもりだったんですけど、行く数日前くらいに自分も行くって。

旦:会ったら迎えたくなるだろうとは思っていたので、前の子のことを考えながら……でも一緒に行くことにしました。

編:実際に行ってみて、シェルターの印象とかしずくちゃんの様子はいかがでしたか?

奥:しずくは今も静かですけど、緊張してもっと静かでした。子どもたちは「かわいい!」って言ってましたね。私はブリーダーで働いていたこともあるのでシェルターみたいな環境は普通でしたけど、主人や子どもたちは圧倒されたと思います。

旦:保護された犬がたくさんいて圧倒されましたね。団体の方は妻が動物看護師なので大丈夫だろうということで、結局その日にトライアルで一緒に帰ることになりました。

しずくちゃんと兄弟
兄弟としずくちゃんの初対面


「保護犬から迎えたい」と相談されることも

編:募集していたときは名前が「姫」だったと思いますが、「しずく」になったのはどういう経緯だったんですか?

旦:会ってから名前を考えようということで、候補はいろいろあったんですが、最終的に目がしずくっぽいということで、お兄ちゃんが決めました。

家に来てから初めは全然鳴きもせず、固まってご飯を食べない、トイレしないで、1週間くらいそんな感じが続いて。

奥:子どもたちが寝た後に大丈夫だよって抱っこして。そしたらだんだん落ち着いてきてトイレもできるようになって、尻尾も上がるようになりました。でもご飯は今まで食べてたのと同じのをもらってきたのに食べなくて、お兄ちゃんの友達のお父さんがドッグフード屋さんをやっていて、そのフードをあげたら初めて食べてくれました。

散歩も初めは動かなかったんですけど、他の子を見たら散歩に行きたいってなってくれて最近は玄関で待ってますね。ただ朝が早くて。今はやっと落ち着きましたけど、午前4時半くらいから起きてキャンキャン、外に出るまで鳴くんです。

たぶんシェルターだと1匹起きるとみんな起きちゃうじゃないですか。それで早起きになったのかもしれないですね。一番早いときは4時とか。主人は仕事があるし子どもたちも学校があるしで、私が4時半に散歩に行って戻ってくるというのを2カ月くらい。それはけっこうしんどかったですね(笑)。今はだいぶ遅くなりました。

迎えたばかりの頃のしずくちゃん
迎えたばかりの頃のしずくちゃん

編:旦那さんは迎えてみていかがでしたか?

旦:やっぱり来るとかわいいですよね。家族になってよかったなって。前の子と同じようにかわいがってあげようと思います。

編:子どもたちとしずくちゃんの仲はどうですか?

奥:見ていると面白いですね。下の子がかわいいからベタベタ触って、しずくはされるがままにはしてるんですけど、嫌なときは私か主人の顔を見て助けてって顔してます(笑)。だから下の子が帰ってくるとサササっ寝たふりをしたり、主人のところに行って隠れたり。お兄ちゃんはしつこくしないので、ゲームしててもピタってくっついてますね。

あとLEGOを運んでくるんです。お兄ちゃんたちが遊んでるのを見て、一緒に遊びたいんでしょうね。LEGOを一つずつ持ってきて、廊下にLEGOが並んでるんですよ。お兄ちゃんたちが遊んでるものは私のものって思ってるのかもしれないですね。

今は、お兄ちゃんたちのキックボクシングの練習を見に行くと一生懸命にみては、応援してるつもりです。勉強のときもお兄ちゃんの側を離れません。たまに、プリントの上に乗って邪魔することも(笑)。そして、主人にしずくも甘えるので、主人もしずくには甘いです(笑)。

勉強をするお兄ちゃんの側にいるしずくちゃん
キックボクシングの様子を眺めるしずくちゃん

編:その光景、想像するだけでかわいいですね。周りの方とか子どもたちのお友達とか、しずくちゃんのこと聞かれたりはしますか?

奥:顔に特徴があるので、まず散歩中に「何犬ですか?」から始まりますね。実は保護犬で迎えたんですって言うと、どうやって迎えたのかすごく興味を持たれたりとか。「団体さんのこと教えて」とか。「2匹目は保護犬から考えてるんだけどどう?」って相談されることもあります。「保護犬を飼うのはいろいろな条件はあるし、迎えるのは確かにペットショップより大変かもしれません。でも、迎えたいと思う気持ちがあれば、条件に合った子が必ずいると思います」と、お話しています。

編:みんなに良い影響を与えてて、すごく良い話ですね。

旦:そうですね。一緒の家族として暮らしていけるっていうのが良い機会で、子どもに命の大切さを伝えることができますし、人生の勉強にもなってると思います。きっと犬にとっても良い刺激になってると思います。私たちも、一緒に暮らしていく中で「良い経験をさせてもらってる」って思います。学ぶことがすごく多いです。

編:素敵なお話、ありがとうございました。

しずくちゃんを迎えた山本さんたち