可愛いだけじゃない!猫のウィスカーパッド(ひげ袋)が膨らむ理由と役割を解説
猫の口元にあるウィスカーパッド・通称ひげ袋。一部では「ふぐふぐ」とも呼ばれている猫のトレードマーク的な部位ですが、実はさまざまな働きや役割があります。今回は、そんなウィスカーパッドも含めて、場所によって名称が異なるひげなど猫の口元にあるそれぞれの部位について解説します。
猫のウィスカーパッドとは
ウィスカーパッドは英語で「whisker pad」と表記され、日本語に直訳すると「ひげの枕」といった意味になります。日本では「ひげ袋」という名前でも広く知られており、イラストなどでもよく描かれることから、猫を象徴する部位の一つといえます。
そんなウィスカーパッドは、思わず触りたくなってしまうような柔らかさも魅力の一つですが、とても重要な役割を担っている部位でもあります。
猫のウィスカーパッドの役割
猫のウィスカーパッドには、ひげ一本一本をしっかりと支え、感覚を検知する役割があります。猫のひげはほかの体毛よりも太く、体内の深い場所に毛根が埋め込まれているため、支える部分には厚みが必要です。
この奥深くにあるひげの根元の周りには、たくさんの神経と血液が詰まった袋があります。これにより、ひげから受け取ったささいな振動も知覚神経に伝達されます。
このように、ひげは感覚を検知する場所として、猫にとってとても重要な部位です。ひげとウィスカーパッド全体で、バランス感覚や隙間の幅以外にも、湿気などさまざまなことを感じているといわれています。
自然に抜けるひげはもちろん心配ありませんが、ひげが切れてしまうと正常に行動できなくなってしまうため、あまり触りすぎないようにしましょう。
猫のウィスカーパッドとマズルとの違い
猫のマズルというと、一般的には鼻と口の全体を指していることが多いです。猫の横顔を見たときに、突出している部分です。一方でウィスカーパッドは、ひげが生えている部分のみを指すので、より限定的な部分になります。猫のウィスカーパッドが膨らむ理由
ひげがピンと伸びるのと同時にウィスカーパッドが膨らむことがありますが、この状態のとき、猫は興奮しています。緊張からくる興奮や、遊んでいるときに楽しさからくる興奮など、興奮にもいくつかのタイプがあるので、1日に数回ウィスカーパッドを膨らませる猫もいます。
腫れている可能性も
単純に膨らませているだけではない場合は、腫れている可能性も疑いましょう。食べにくそうにしていたり、行動は落ち着いているのに長時間膨らんだままに見えたりなど、毎日一緒に過ごしている飼い主さんならすぐに見分けがつくことが多いです。腫れている原因には、いくつかの原因が考えられます。口内炎や口内にある傷が細菌感染している可能性のほか、アレルギーやメラノーマなどの腫瘍は、口の周りで発症しやすい症状としてあげられます。獣医さんの指示を仰いでください。
猫のウィスカーパッドに生えるひげの名称
ウィスカーパッドに生えるひげは、口の上にあることから「上唇毛」と呼ばれています。唇の上にあるひげという意味を表す「上唇毛」があるからには、唇の下にある「下唇毛」もあるのですが、あまり猫を近くで見たことがない人にとっては馴染みのないひげかもしれません。
猫のひげの種類
一口に「ひげ」と言っても、猫の顔には5カ所の部分からひげが生えているので、それぞれ名称も異なります。5種類すべてのひげの正式な呼び方をご紹介します。眉上毛
「びじょうもう」と読みます。目の上に生えている毛で、ひげと呼ぶには違和感がある場所ですが、ほかの毛よりも長くて太い毛です。「上毛(じょうもう)」とも呼ばれ、顔の近くに何かがあるのを感じたときに、素早くまぶたを閉じるために機能しています。また、直接的に目を保護する役割もあります。頬骨毛
「きょうこつもう」と読みます。頬骨の上、目の外側より少し下に1〜2本生えています。この毛を持たない猫もいます。上唇毛
「じょうしんもう」と読みます。ウィスカーパッドから生えるひげのことです。下唇毛
「かしんもう」と読みます。「頭下毛(とうかもう)」や「顎下毛(がっかもう)」と呼ばれることもあります。ほかのひげよりも短いですが、視界に入りにくい顎の下にあるものなどの情報を感じ取ります。口角毛
「こうかくもう」と読みます。頬骨毛と同様にこのひげを持たない猫もいますが、そもそも上唇毛の後ろにあるため見つけにくいひげでもあります。いろいろな可愛い猫のウィスカーパッド
いくつかのタイプごとに、思わず触りたくなるほど可愛いウィスカーパッドをご紹介します。白い猫のウィスカーパッド
血管の色も見えそうな可憐さがある、白い毛に覆われたウィスカーパッド。膨らんだとき、ほかの色のウィスカーパッドよりも少し赤くなる様子が確認できることがあります。
猫の黒い毛穴のウィスカーパッド
毛穴の一つ一つが黒くマークされていて、ひげがきれいに整列している様子もよくわかるウィスカーパッドです。どことなく、野生らしさも感じられます。
短頭種の猫のウィスカーパッド
鼻が低いタイプの猫のウィスカーパッドです。口の横にモッチャリと出ている感じが、たまりません。
下から見た猫のウィスカーパッド
ウィスカーパッドも下から見ると、上唇であることがよりわかりやすくなります。
繊細で重要な猫のウィスカーパッドを理解しよう!
ご飯を食べたあと念入りにひげをお掃除をする猫がいるように、猫にとっても理想の状態があるので、あまり外部から執拗な刺激を与えるのは控えたほうがよさそうです。猫にとって迷惑・ストレスになるだけでなく、平衡感覚などに支障を来すことがあります。繊細で、正常な生活を送るのに大切な部位であることを覚えておきましょう。