サイレントニャーは愛情表現? 声には出さない猫の気持ちを解説

サイレントニャーは愛情表現? 声には出さない猫の気持ちを解説

猫を飼っている人であれば、鳴くような仕草で静かに口を開けている様子を見たことがあるかもしれません。声を出さないで鳴いているような様子を猫好きの間では「サイレントニャー」といいます。サイレントニャーをするときの猫の気持ちや、なぜ声が出ないかなどについて紹介します。

猫のサイレントニャーとは

猫 鳴く

猫好きの間で呼ばれている猫の鳴き方の一種、「サイレントニャー」。口を開けて鳴いているように見えますが、声は聞こえません。猫がサイレントニャーをするときはどんな状態なのでしょうか。

猫は鳴き方を使い分けている

一般的に猫は「ニャー」と鳴くと思われていますが、実はそれだけではなくさまざまな声を出します。猫はちゃんと状況や気持ちによって鳴き方を使い分けていて、そこには猫の気持ちが込められているのです。高い声を出して鳴くときは機嫌がいいときや甘えているときの声、低い声を出すときは機嫌が悪いときや威嚇の声であることが多いです。


サイレントニャーは声を出さずに鳴くこと

サイレントニャーとは猫がパカッと口を開けて鳴くような仕草をしているのに、鳴き声が聞こえない状態のことをいいます。声を出さないで鳴いているので飼い主さんに向かってサイレントニャーをする以外はあまり見かけないかもしれませんが、飼い主さん以外にも同居猫などに向かってサイレントニャーをすることもあります。


本当は声を出している

猫がサイレントニャーをしても飼い主さんには聞こえませんが、実はサイレントニャーのときも猫は声を出しているといわれています。猫がサイレントニャーで鳴いているときは、人間が聞こえない音域の声を出しているのです。

人間が聞こえる音の範囲は18~20万ヘルツくらいであるのに対して、猫は30~80万ヘルツの音域の音を聞くことができるとされています。つまり、猫は人間が聞こえない範囲の音を聞くことができるため、その範囲の声も出すことができると考えられているのです。人間には音が聞こえなくてもその声を発した猫自身にも、また他の猫にもちゃんと聞こえる音であるのです。

サイレントニャーで鳴いているときは高い音域の声であることから、猫の気持ちとしてはうれしい気持ちや愛情表現であることが多いでしょう。

※参照:松田宏三『面白くてよくわかる 決定版 ネコの気持ち』(日本文芸社)、「犬猫の聴覚について」(神戸フランダース犬猫皮膚科動物病院)


サイレントニャーはどんな猫がする?

子猫 サイレントニャーは声を出さない特別な鳴き方というわけではなく、猫にとってはちゃんと声を出している鳴き方なのでどんな猫でもすることができます。子猫、成猫、老猫など、どんな年代の子もしますし、性別にも関わりなくサイレントニャーをします。

ただ、筆者が観察したところではサイレントニャーをすることが多い年代はあるようで、子猫から2歳くらいまでの間は頻繁にするようです。筆者は保護活動をしており、さまざまな年代の猫を保護した経験がありますが、子猫たちからは頻繁にサイレントニャーをされます。猫は2歳程度になると精神的にも成熟するのですが、それまではとても子供っぽいところがあり、その間もサイレントニャーがよく見られます。またサイレントニャーはどの年代の猫でもするのですが、サイレントニャーをよくする子と、ほとんどしない子はいるようです。

サイレントニャーは声を出さないで鳴いている状態なので、飼い主さんが見ているときは気がつきますが、そのほかの状態では気がつきにくいので、飼い主さんが気がついていないだけということも考えられますね。


サイレントニャーの意味

猫

猫がサイレントニャーをするときは、どんな気持ちなのでしょうか。

愛情表現

飼い主さんが、猫がサイレントニャーをしていると気がつくときは飼い主さんが猫の方を見ているときだけになりますね。しかしサイレントニャーは飼い主さんだけではなく、猫が愛情を持っている対象に向かってされることが多いです。

筆者は妊娠している母猫を保護し、自宅で産ませたことが何度かあり、母猫がどんな風に子育てをするか、子猫たちが母猫に向かってどのような仕草をするのかを見てきました。子猫たちは母猫に向かって頻繁にサイレントニャーをします。そうすると母猫は子猫を優しくなめてあげたりおっぱいをあげたりするのです。子猫たちのサイレントニャーは母猫に向かっての要求と愛情表現なのですね。

筆者は毎年たくさんの子猫を保護するので、子猫たちからたくさんサイレントニャーをされます。残念ながら筆者には声が聞こえないのですが、これは子猫たちからの「大好き」という気持ちの表現だと思っています。何か要求があるときだけでなく、筆者が話しかけたときもじっと顔を見ながらパカッと口を開けてニャーと聞こえない声でお返事してくれます。サイレントニャーでのお返事は猫の愛情表現であるといえますね。


こっちを見て

猫が高い声を出すときは、甘えているときやかまってほしいときです。飼い主さんに向かってサイレントニャーをするときは、「こっちを見てほしい」という要求のときがあります。猫は一人で過ごすのも好きですが、飼い主さんに注目され、かまってほしいという欲求の強い動物でもあります。残念ながら飼い主さんには聞こえないのですが、猫ちゃんはサイレントニャーをして飼い主さんにかまってほしいと訴えているのでしょう。

何か要求があるとき

何か要求があるときもサイレントニャーをします。多くは飼い主さんに甘えたいときです。猫に頻繁にサイレントニャーをされても意味が分からなかった飼い主さんが、猫の様子からかまってほしいのかもと気がつき、なでなでしてあげたらとっても気持ちよさそうにしてくれたという話を聞いたことがあります。サイレントニャーをするときは、気持ち的には落ち着いているときが多いようで、要求内容は「遊んで」というよりも「なでて」や「抱っこして」ということが多いようです。

不安な気持ちのとき

サイレントニャーをするときの気持ちの多くは甘えたり愛情表現だったりすることが多いですが、不安な気持ちのときもすることがあります。いつもと違って何か不安に感じることがあったり、不調があって心が落ち着かなかったりするときなどにするようです。不安なので飼い主さんに助けを求めているのかもしれません。

不安な気持ちのときのサイレントニャーは、甘えているときとは表情が違う・目の瞳孔が開いている・そわそわしているなどの落ち着かない様子が見られます。そのようなときのサイレントニャーは原因が何かを探ってあげるといいですね。また一緒にいて優しく話しかけるなど、猫ちゃんの不安な気持ちをやわらげるようにしてあげるといいでしょう。

サイレントニャー動画

実際にサイレントニャーをしている様子の動画を紹介します。



声が出ないのは病気の可能性も

猫

サイレントニャーではなくて、本当に声が出ていない場合もあります。そのときは病気の可能性があるので注意しましょう。

声が出なくなる可能性がある病気

サイレントニャーは人間に聞こえないだけで実際は猫は声を出しています。しかし何らかの原因により本当に声を出せなくなっていることもあります。猫が声を出せなくなっているときの原因として多く考えられるのが猫風邪です。通称、猫風邪と呼ばれていますがさまざまなウイルスに感染する事により目やにや鼻水などといった症状が出ます。寒い季節は猫は猫風邪にかかりやすく、また重症化する傾向があります。鼻が詰まるとご飯が食べられなくなり、また声も出しにくくなります。

サイレントニャーと違うのは必ずしも無音ではなく、かすれたような声を出すことが多いようです。何らかの体調不良で声が出せなくなっているときは、目やにや鼻水や食欲の減退といった他の症状も出ていることが多いので注意して見てあげてください。病気が原因で声が出ていないと思われるときは、早急に病院に連れていきましょう。

また鳴きすぎで声が出なくなるときもあります。捨てられたり親からはぐれたりするなどして、大声で泣き続けた結果、声がかすれて出なくなってしまうことがあります。この場合もサイレントニャーのように完全に無音ではなく、かすれるような声が聞こえることが多いです。声が枯れてしまっただけのときには、数日すると元に戻ることが多いようです。それ以外の症状があったり、心配なときは獣医に相談してみてください。

サイレントニャーは愛情表現

サイレントニャーにもいろいろな意味があることを紹介しました。猫がサイレントニャーをする場合は、ほとんどが愛情表現です。不安があってサイレントニャーをしていても、それは飼い主さんに助けを求めているからであり、信頼と愛情があるからこその鳴き方といえるでしょう。

猫がサイレントニャーをしてきたら猫への褒め言葉をかけてあげたり、なでなでしてあげたりするなど、飼い主さん側も猫への愛情表現をしてあげるとより絆が深くなると思います。一方で、病気が原因で声が出ない可能性もありますので、いつもと様子が違う際はすぐに獣医師へ相談してください。

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