猫もストレスを感じている? ストレスサインや解消法など獣医師が解説

猫もストレスを感じている? ストレスサインや解消法など獣医師が解説

「ストレス」という言葉はとてもよく使われています。でも、実際に「ストレスとは?」と聞かれると、正確に答えるのは難しいかもしれません。ストレスとは、本来「動物が危険に直面した時、危険と戦うための体の反応」です。自然界では役立つこの状態も、長引くと心と体に色々な問題を引き起こします。飼い猫の場合、危険に直面することは少ないかもしれませんが、「何かにプレッシャーを感じること、変化に対応すること」など、飼い猫ならではの原因で、ストレスがかかることがあります。今回は猫のストレスについて、なないろ動物病院院長の土居がお伝えさせていただきます。

ストレスを抱えているときの反応

猫

私たち人間を含め、動物はストレスを抱えているときに体は以下のような反応を起こします。

  • 心臓がドキドキする
  • 呼吸が早くなる
  • 胃腸の動きが低下する
  • ホルモンが作られる
  • 神経が活発になる
  • 眼が開く

心臓がドキドキする

全身に血液と酸素を送るためにドキドキして、血圧が上がります。

呼吸が早くなる

酸素を脳と体に沢山届けることで考える力、活動する力を高めるためです。

胃腸の動きが低下する

大量の血液が筋肉に送られて、すぐに戦ったり逃げる準備をします。その分、胃腸に運ばれる血液が少なくなるためです。

ホルモンが作られる

ノルアドレナリンというホルモンが作られます。このホルモンで、活発に活動できるようになります。

神経が活発になる

交感神経という神経が活発になります。これも活発に活動するための神経です。

眼が開く

正確には目の瞳孔が開きます。目の前の状況がよく見えるようにするためです。

猫のストレスサインとは

猫の横顔

ストレスが大きいとき、長引いたときには、いつもと様子が変わったり、体調が悪くなったりすることがあります。具体的には以下などの症状がみられます。

  • 下痢
  • 食欲低下
  • 嘔吐
  • 隠れる
  • 粗相をしてしまう
  • 怒る
  • 落ち着きがない
  • 過剰なグルーミング
  • 脱毛
  • 皮膚の舐め壊し
  • 頻尿、血尿

上記の症状はあくまで一例であり、他にもさまざまな症状が見られます。ただし、病気によるものかどうかを見分ける事は難しいため、「ストレス」が原因と決めてしまわず、動物病院に相談しましょう。

猫がストレスを感じる原因

猫

猫がストレスを感じる原因の例としては以下などが挙げられます。

  • 病気・投薬
  • 動物病院への通院や引っ越し
  • 爪切り
  • 同居動物との不仲
  • トイレが汚い
  • 狭い空間(ケージの中、狭い部屋など)
  • 長時間のお留守番
  • 騒音
  • 来客
  • しつこく触られる(子供など)
  • 芳香剤・柔軟剤などのきつい臭い

猫は習性上、「安全に身を隠せる場所」と、「周囲を監視でき、邪魔されない場所」の2つの要素が必要です。また、重要なもの(フード・水、トイレ、遊び場、休息場など)を場所を離して設置することが、快適な環境といわれています。

そのため、健康的で快適な環境とは「安全で安心できる場所」です。動物病院への通院や引っ越しなどをしなければならないときには、日頃から移動に使うキャリーバッグに入る習慣をつけたり、匂いのついたものを取っておいたり、移動の際は猫を洗濯ネットに入れて、スムーズに扱えるようにするなど、ストレスをできるだけ少なくする工夫が必要です。

また、家に人を招く場合は、いつもの安全で安心な環境が猫にとってまったく違う環境になってしまいます。神経質な猫と暮らしている場合はできるだけ家に人を呼ぶのを控えるか、短時間に抑えるようにしましょう。気を許していない相手にしつこく触られることを好む猫は少ないでしょう。

猫の性格や体調、飼い主との関係、同居動物がいるかなどによって、ストレスの度合いや反応はさまざまです。

最近では人にとって良い香りのルームフレグランスや柔軟剤が販売されておりますが、猫は人より嗅覚が優れており、これらの香りが猫には負担になってしまうかもしれません。

また肉食動物である猫は、アロマなど植物の成分を分解する力が人よりも弱いため、中毒になる可能性もあります。

香りのきついルームフレグランスや柔軟剤などが原因で、ストレスや中毒、肝臓の負担になってしまう可能性がありますので猫の飼い主さんは控えたほうがよいでしょう。

猫のストレス解消法

猫の横顔

前項の猫がストレスを感じる原因に多く心当たりがあったり、「愛猫がストレスを感じているのでは」と心配な方は以下を試してみてください。

  • 落ち着く・清潔な環境を用意する
  • エネルギーを発散できるグッズを用意する
  • 香料の使用を避ける
  • 飼い主さん自身・猫にストレスのない生活を心がける

落ち着く・清潔な環境を用意する

安心して居られる場所(きれいな場所)を用意してあげてください。例えば、「食器を毎日洗う」「水は毎日交換する」「ドライフードも1日経ったものは交換する」など基本的なことから、トイレの数やトイレの場所の工夫も必要です。

猫は、トイレの場所を変えるとストレスがかかります。今のトイレの場所が、「遠い」「落ち着かない所にある」「嫌な場所を通らないと行くことができない」など、条件があまり良くない場合は、適切な場所にもう1つ増やし、トイレの数は、最低でも猫の数と同じだけ用意しましょう。

エネルギーを発散できるグッズ

キャットタワー、上下移動できる高さのある空間、爪とぎなどを部屋に設置してあげましょう。
※おもちゃは、かじって飲み込んでしまう事故が多いので、あまりおすすめできません。

香料の使用を避ける

香りつきの柔軟剤、洗剤、猫砂、ペットシートなど、アロマオイルも猫には中毒を起こす可能性があります。

飼い主さん自身や猫にストレスのない生活を心がける

飼い主さんの心の状態を、猫は敏感に感じ取ります。飼い主さん自身がストレスフルな生活を続けていると猫にもストレスが伝染する可能性があります。

また、猫が甘えたい気分か、ひとりになりたいのかなどをよく観察し、ほど良い距離感を心がけましょう。

日頃からストレス管理を

猫

動物もストレスを抱えていると、心と体の健康に影響してきます。また、同じ状況でもそれぞれの性格によって、受け止め方や反応が違うこともあります。

まずは、ストレスの心当たりがあるかどうか、ぜひチェックしてみてください。

参考文献

  • 辻本元,小山秀一,大草潔,兼島孝 編「犬と猫の治療ガイド2015」インターズー,2015/9/1
  • 島悟・佐藤恵美「ストレスマネジメント入門」P12,日本経済新聞出版社,2007/4/1
  • 中野敬子「ストレスマネジメント入門(第2版)」P15-17,28-32,35-38,金剛出版,2016/3/16
  • 有田秀穂「脳からストレスを消す技術」P1-3,14-37,サンマーク出版,2008/12/16

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