「りんご猫」がいるカフェってどんなところ? ネコリパブリック中野店に行ってみた

「りんご猫」がいるカフェってどんなところ? ネコリパブリック中野店に行ってみた

2022年2月22日までに猫の殺処分をゼロにするという目標を掲げ、保護猫カフェを全国へ展開している「ネコリパブリック」。猫グッズの販売や保護猫カフェの運営によって得られる収益により「自走型保護猫カフェ」になることを目指しています。今回は、今年7月にオープンした「ネコリパブリック 東京中野店」に行き、中野店を開いた経緯や理念を詳しく伺いました。猫に興味はあるけど保護猫にあまり馴染みのない人にこそ読んでほしい、写真たっぷりのリポートをお届けします。


いざ潜入! ネコリパブリック東京中野店!!

ネコリパブリック中野店の外観
JR中野駅から徒歩約6分、周りには飲食店やオフィスビルが立ち並ぶエリアの、とあるビルの3階に「ネコリパブリック 東京中野店」はあります。一見すると普通の雑居ビルですが、入ってみると……。

ネコリパブリック中野店の内観

なんともフォトジェニックな空間が。「保護猫」という少しかわいそうなイメージからはかけ離れたかわいらしい内装に、筆者のテンションも上がります。

ネコリパブリック中野店の徳永有可さんと猫のはちみつ君
今回取材に応じてくださった徳永有可さんと、猫のはちみつ君。

今回の取材に協力してくださったのは、ネコリパブリックの東京店責任者である徳永有可さん。早速、ネコリパブリックの活動や保護猫のことについて聞いていきましょう。

保護猫を知ってもらうツールとしての猫カフェ

ネコリパブリック中野店の白吉くん
人懐っこい白吉君。この空間がお気に入りの様子

ネコリパブリックの本店は岐阜。2014年の2月に完成し、それから2年で大阪、愛知、東京など全国に広まりました。しかしネコリパブリックの本来の目的は「保護猫カフェ」ではないのだそうです。「保護猫カフェをやりたいわけではなく、保護猫や地域猫(外で暮らしている避妊・去勢が済んだ猫)がたくさんいるんだよっていうことを広めていって、保護猫を家族として迎え入れるということを文化として受け入れてもらうための一つのツールなんです」と徳永さん。確かに店舗で実際に猫と触れ合うことができたら、家族として迎え入れる想像もつきやすいですよね。

「自走型保護猫カフェ」になるために

ネコリパブリックは、保護猫カフェの他に「ネコ市ネコ座」というイベントも開催しています。保護猫を知ってもらうためのイベントで、大人気通販ブランド「フェリシモ猫部」ともコラボしています。
ネコリパブリック中野店で販売されているグッズ
お店ではさまざまなグッズを販売しています

徳永さんによると、猫カフェを利用する料金とグッズの売り上げを「保護猫活動費」に充てているそうです。グッズの中にはネコリパブリックのオリジナルグッズも続々と増えています。8月26、27日に行われた「アニマル・ウェルフェア サミット」にて猫カルタを作るワークショップを行いましたが、そこで作られたカルタを商品化する予定もあります。ネコリパブリックがビジネスとして「自走」できるよう、さまざまな取り組みを行っているんですね。

りんご猫への心的ハードルを取り除きたい

中野店は猫エイズウイルスキャリアの猫ばかりを集めており、ネコリパブリックでは「りんご猫」というかわいらしいネーミングをつけています。しかし「りんご猫」というだけで譲渡へのハードルは上がってしまうのでしょうか?
ネコリパブリック中野店の保護猫
白吉君に次いで人慣れしているライ君。ハンサムなお顔が特徴です

徳永さんによると、やはり「エイズ」という言葉を聞いたときに戸惑う方はいるといいます。でも猫エイズは猫同士のケンカによる咬傷(こうしょう)から感染することがほとんどで、家猫では滅多なことで猫にうつることも、ましてや人間や犬にうつることもありません。そのため徳永さんはお客さんに、「人間でいう風邪を引きやすいぐらいに、少し体が弱い子です」と説明しています。なるべくストレスを与えないようにしてあげれば天寿を全うしますと伝えると、多くの人から意外がられるのだそうです。

具体的な譲渡のプロセスは?

ネコリパブリック中野店の保護猫紹介スペース
店内にどんな猫がいるのか分かる、写真付きの紙も

ネコリパブリックの特徴は、気に入った猫がいれば自宅に引き受けることができること。しかしそのためには、ちゃんとした審査が必要なんです。簡単にそのプロセスを説明すると、まずお店のスタッフさんに声をかけて、アンケートを記入します。内容は家族構成はどうか、家は賃貸か購入かなど。その時点で明らかに猫の飼育に向かないと判断された場合はお断りすることもあるそうです。その後に面談があり、「猫を飼うということは終生一緒にいることである」ということをちゃんと考えてもらいます。

例えば結婚後に子供ができて、その子供が猫アレルギーだったらどうしますか? 悲しいことに、そういった場合に猫を捨ててしまうケースもあります。こういったことが起こらないよう、猫を飼育することを一度真剣にシミュレーションしてもらうためのプロセスなのです。その面談を終えた後は2週間のトライアルがあり、正式な譲渡へ進みます。

譲渡をした場合、これまでのワクチンや避妊・去勢手術のための医療費として一律2万円を払う必要があります。そして、ネコリパブリックが用意した「猫助けセット」を1匹につき1万円分〜購入します。「猫助けセット」は任意ですが、初めて猫を飼う人にとっては必要なものばかり。多くの里親さんが購入しているそうです。

むかえる側の心構え

ネコリパブリック中野店の保護猫はちみつくん
どの猫もかわいいのだけど、筆者イチオシがはちみつ君

アンケートの記入や面談は必要なこととはいえ、保護猫を譲り受けることへのハードルの高さについて度々議論になるのだそうです。しかし徳永さんは「ネコリパブリックにいる猫たちは、何かしらトラウマを持っている子が多いんです。こちらとしても、再び不幸なことにはなってほしくないという思いが強いので、どうしても低くないハードルになってしまいます」と言います。

また、「譲渡」という言葉のイメージからか、「お金がかからない」と思っている人もいるのだそうです。しかしワクチンや避妊・去勢手術はどうしても実費としてかかってしまうもの。そのことを考えると、2万円も必要経費だと考えたいですよね。徳永さんは「とにかく『保護猫』という言葉を覚えてもらい、猫も人も幸せでいられる方法を知ってもらうことがまず必要だと思っています」と言っていました。

心がほっこり、譲渡エピソード

そんな中野店では、先日1匹の猫の譲渡が成立したのだそうです。彼の名は鈴之助。山梨の崩壊してしまった多頭飼い現場から来た猫で、3年間別の保護団体さんのところにいましたが、なかなかご縁がありませんでした。鈴之助は犬との生活ができる数少ない猫だったので、ちょうどその頃、犬を飼っていて猫も欲しがっていたご家庭に鈴之助を勧めたのだそうです。このように、ネコリパブリックでは猫がほしいという家庭とのマッチングも行っています。

ネコリパブリック中野店でご飯を食べる保護猫

そして2週間のトライアル期間が開始。すると、そのご家庭から鈴之助が犬と仲良く寝ている写真が送られてきた、という嬉しいエピソードが! トライアル期間も無事終了し、先日正式な譲渡が決まりました。トライアル期間はもちろん、正式に譲渡した後も、1カ月に1回程度は連絡を取り合ったり、1年後の姿を送ってくる里親さんが多いのだそうです。「スタッフ一同『あの子がこうなったのね……』と感慨深く話しています。とても嬉しい瞬間ですね」と徳永さん。

ネコリパブリックへ猫が来る仕組み

ネコリパブリックにやってくる猫は、どのような過程を経るのでしょうか。ネコリパブリック東京店責任者の徳永有可さんによると、猫の保護活動をしている団体や個人から預かり、一般の方からは直接は引き取らないそうです。そして現在は各店常時30匹くらいの猫が店に入るのを待っている状態なのだそうです。お店のキャパシティーを考えると、すでに店にいる猫の譲渡が進まないと受け入れることができないのが現状です。

ネコリパブリック中野店 体重計に乗る猫
健康管理のため、体重測定も欠かせません

一番良いのはネコリパブリックに来る前に前の団体で譲渡が決まることですが、写真だけの紹介ではなかなか里親が見つからないのが現状。保護猫カフェという場所で直接触れ合ってもらうと、写真では分からなかった性格など新たな発見をしてもらえることが多く、譲渡が決まりやすくなるのだそうです。

アニマル・ウェルフェアについて

ネコリパブリック中野店の猫

「猫も人も幸せになる」を謳っているネコリパブリック。保護猫が、譲渡された後も幸せに生きていく方法を考えることは、アニマル・ウェルフェア(動物福祉)とつながる部分もあるのではないでしょうか。徳永さんにとってのアニマル・ウェルフェアは、「マッチングが重要」と言います。「野良猫の状態より暖かい場所でご飯も出てくる環境であれば良いという考え方の方もいらっしゃいますが、やっぱりそれだけではなくて、人は猫に癒やされ、猫は安心してお腹を出して寝ることができたりする関係になってもらいたいなと思います」と語ってくれました。

例えば人が大好きで甘えん坊な性格の猫が1日14時間くらいお留守番になってしまう家庭にいるということも、なかなか考えものです。逆にシャイな猫であれば、適度に距離感のある環境が良いですよね。ライフスタイルまで提案することで、猫1匹1匹と向き合ったマッチングをすることを目標にしているのです。

今後の展望

ネコリパブリック中野店のグッズ

ネコリパブリックは保護猫に限らず、今後も中野店のような病気に特化した保護猫カフェを展開していくのでしょうか。徳永さんは「とても難しいので実現するかは分かりませんが……」と前置きをした上で、別のテーマで集めた猫たちの店舗の構想を教えてくれました。それはズバリ「白血病の猫」のための施設。猫白血病は猫エイズと違ってウイルスの感染力が強く、同じお皿のご飯を食べるだけでも移ってしまい、発症したら3年ほどで亡くなってしまう猫が多く、そういった猫のためのシェルターを作りたいのだそうです。

この中野店も、「エイズ持ちの猫でも元気に過ごせる」という啓発の場所。保護猫の文化の周知と殺処分ゼロが目的であって、保護猫カフェを作ること自体が目的ではありません。白血病の猫に関しても、そのような啓発の場所を作れたら、という願いがあるのですね。

休日が狙い目!? 中野店に急げ!

さて、ネコリパブリック中野店に話を戻しましょう。7月にオープンしたばかりの中野店ですが、お客さんの層はどのようなものなのでしょうか? 徳永さんによると、中野店は純粋に「猫カフェ」として楽しむお客さんが多いそうです。同じ東京の店舗でも、先にオープンしたお茶の水店だと「猫を迎えたい」という方も多いということなので、中野店もこれからそうなるかもしれませんね。

ネコリパブリック中野店の猫

客層について話を聞くと、平日の夜に会社帰りの人が多く訪れるのだそうです。猫に触れて「こんなにいろんな性格がいるとは思わなかった」と驚く人も多く、ネコリパブリックの目的である「保護猫の文化の周知」が確実に広まっていることが伺えます。逆に休日はお客さんが少ないのだそうで、中野店に興味がある人は休日に行くと猫にじっくり触れ合えるかもしれませんよ!

どうやって接すればいいの? 猫カフェ初心者へのアドバイス

どんな人でも利用できる猫カフェとはいえ、最低限のマナーは必要。かくいう筆者も、長年犬を飼っていて猫にあまり触れたことがなく、最初どう接すればいいか分かりませんでした。

ネコリパブリック中野店の猫たち
このように、ソファの下に隠れてしまうちょっとシャイな猫たちも。

徳永さんによると、まず「きゃー!」「かわいい!」など大きい声を出しながら近づく、などの「急な」行為をしないことが大切だと言います。猫に好かれたければ自分から寄らず、猫が多そうな場所でじっとしている方が触れ合うことができます。猫は速い動きや予測できない動きが苦手なので、足や手を出すときはゆっくり出すことが大事です。そして筆者が意外だったのは、猫の多くは抱っこが苦手なこと。無理やり抱っこすると嫌がる猫もいるので気をつけましょう。

徳永さんがネコリパに入ったワケ

ネコリパブリック中野店の徳永さんと保護猫
今回取材に応じてくださった徳永有可さんと、猫のはちみつ君。

徳永さんはなぜネコリパブリックの活動に参加するようになったのでしょうか。もともと実家がお寺で、猫や犬、タヌキにまで囲まれて過ごしていた徳永さん。今も猫と一緒に暮しているほどの猫好きなのだそうです。そしてネコリパブリックが立ち上がったことを知った徳永さんは、その活動に感銘を受け、「東京にネコリパブリックを作りたい」と現在ネコリパブリック首相の河瀬麻花さんに連絡を取りました。そして東京店責任者として、2015年にお茶の水店、2016年に中野店をそれぞれオープンさせました。

徳永さんがネコリパブリックの活動をしたいと思った一番の理由が、ビジネスの考え方に共感したこと。「自走型保護猫カフェ」に魅力を感じたのだそうです。また、楽しそうに活動している姿に、自分も一員として参加したいと思ったのだそうです。「ネコリパブリックって、『かわいそう』なイメージや写真を使ってないんですよ。『楽しい』とか『幸せになる』『オシャレ』だというイメージがすごく大事だと思います。」と語った徳永さんは、とても充実した表情をしていました。

ネコリパブリック中野店の玄関口

+++++++ 「保護猫を譲渡する」という言葉に、「人間が猫を保護してやっている」という少し傲慢な意味合いを感じる人も少なくないのではないでしょうか。猫も人間も同じ命。「一つの命を育てていく」という意識が、保護猫を取り巻く環境に必要なのかもしれません。

猫も人間も幸せに暮らしていける社会を実現するために、ネコリパブリックはさまざまな展開を考えています。保護猫やりんご猫が「かわいそう」なのではなく、「かわいい」から一緒に暮していくという考え方にシフトするためには、私たち一人ひとりの意識改革が必要なのですね。取材のときに迎え入れてくれた猫たちも、ちょっとシャイだけど本当にかわいい子たちでした。保護猫活動について知ることももちろん大切ですが、「猫に会いたい!」という気持ちだけでも十分です。ぜひ一度足を運んでみてくださいね。

【猫カフェ詳細】
  • 名称/ネコリパブリック東京 中野店
  • 住所/〒164-0001 中野区中野5-68-9 AKビル3F
  • 営業時間/
  • 平日: 14:00 – 20:00
  • 土曜日: 11:00 – 20:00
  • 日曜日: 11:00 – 18:00
  • 定休日/水・木(祝日の場合は営業)

その他の画像

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