犬猫を飛行機に乗せるのにかかる料金、条件は? 海外には機内持ち込みできる航空会社も

今回は愛犬派の立場から、犬猫の飛行機での輸送について考えてみたいと思います。ペットを輸送する際の法的環境、条件、料金など日本の国内線・国際線の事情を整理し、海外の事例も紹介します。

はじめまして。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの渡邉です。普段は開発途上国の経済社会開発について研究調査しており、今も東アフリカのルワンダという小さな国から執筆しております。

どこの国に行っても、「もし自分の犬がここに住むことになったら幸せでいられるか?」という基準で犬猫たちの様子を見たり、「どのようなドッグフードが売られているのか」「どこをどのように散歩できるか」「(犬の)友達はできるか」などなど、いつも自分の犬のことを考えている「Doggyist」です(……というか「Ladyist」(愛犬名レディ)です)。

渡辺さんと愛犬

さて、今回はそんな愛犬派の立場から、犬猫の飛行機での輸送について考えてみたいと思います。もちろん、「犬猫の負担を考えたら飛行機に乗せるなんて考えられない」「反対だ」というご意見もあると思いますが、「ペットと旅行したい」「引っ越しや赴任などで遠隔地に行かなければならない」といった人が少なくないのも事実。犬猫を輸送する際の法的環境、条件、料金など、まずは日本国内の事情を整理したいと思います。そして海外の事例なども紹介します。


犬猫を輸送する際の法律

そもそも犬猫は法律的には「物」扱いなので、輸送する側は貨物運送業の資格が必要です。人も乗せて料金を徴収するのであれば、旅客運送業の資格も必要です。動物を保護する「動物の愛護及び管理に関する法律」(平成24年5月21日改正版)(通称:動物愛護管理法)では、動物取扱業者が動物を輸送するときに遵守すべき事項として、以下の九つを挙げています。

動物取扱業者が遵守すべき動物の管理の方法等の細目 第五条の四

  1. 輸送設備は確実に固定する等衝撃による転倒を防止すること
  2. 輸送中、常時動物の状態を目視により確認できるよう必要な設備を備え、または必要な体制を確保すること(航空輸送中はこの限りではない)
  3. 輸送する動物の種類及び数は輸送設備の構造、規模、輸送に従事する人の数にみあったものとする
  4. 輸送設備は、動物が日常動作(立つ、横たわるなど)を容易に行うための十分な広さを確保する
  5. 輸送設備は定期的な清掃及び消毒の実施により清潔を保つ
  6. 必要に応じ空調設備を備え、動物の生理、生体等に適した温度、明るさ、湿度を確保する
  7. 動物の種類、数、発育状況、健康状態に応じ、餌の種類を選択し、適切な量及び回数により給餌及び給水を行う
  8. 動物の疲労または苦痛を軽減するため輸送時間はできる限り短くする。必要に応じて休息・運動のための時間を確保する
  9. 衛生管理、自己及び逸走の防止および周辺環境の保全に必要な措置を講じる

しかし、これは動物取扱業者を規定するもので、現在の動物愛護管理法では動物を輸送する側に動物輸送に関する配慮を規定する条文はありません。国内の飛行機輸送の場合、実態的に規定のほとんどは遵守されているようですが、動物輸送に関する配慮は輸送業者各社の裁量に委ねられていることになります。

国内線での取り扱い

今年5月にANAが企画した「ワンワンフライト」のようにペットと一緒に搭乗できるチャーター便を利用した画期的な事例は別として、通常は定期便に乗せていきます(盲導犬などの補助犬は無料で機内に連れていけます)。輸送の方法は「手荷物」として預ける場合と(一緒の便で渡航する場合)、「貨物」として輸送する場合があります。
ワンワンフライトを紹介するホームページ

国内の二大航空会社であるJALとANAに問い合わせたところ、残念ながらどちらも「ペットの輸送に関する統計は特にとっていない」ということで明確な数字はわかりませんが、ANAによる貨物の輸送では、伊丹、千歳、福岡など主要都市と羽田を結ぶ便ではほぼ毎日輸送があり、月に1回程度100ケースを預ける動物取扱業者もいるようです。
ケージの中に入った愛犬

「手荷物」として預ける場合、そして「貨物」として輸送する場合をJALとANAで比較してみました(表1)。両社に大きな違いはありませんが、JALは区間によって料金設定が違っています。また短頭種の犬の輸送について、JALはフレンチ・ブルドックとブルドックに限り全期間輸送を禁止にしていますが、ANAは夏季期間に限り短頭種全般について中止しているといった若干の違いがあるようです。

なお、ペットが入る貨物室の温度や気圧は客室内と同じように保たれる仕組みになっていますが、外気にも影響され、夏場は高温になることも予想されるとのことです。照明は飛行中消され、暗室になるようです。

表1:受託手荷物と貨物での輸送(JALとANA)

JAL
ANA
受託手荷物「ペットとおでかけサービス」
貨物
受託手荷物「ペットらくのりサービス」
貨物
「ペット」の定義 犬、猫、小鳥、ウサギ、ハムスター等
犬、猫、小鳥、ウサギ、ハムスター等(カメ、金魚、昆虫等は逃げたり水漏れがしないような容器に入れれば3匹程度機内持ち込み可能)
体重制限 ペットと他の受託手荷物を含め合計100㎏まで。ペットとクレートの合計重量が32kg以上の場合は貨物扱い 制限なし(照会したところ、人が運べる約50kg程度が上限目安) 制限なし ケージは最大で横65x縦95x高70(cm)制限なし
費用 区間により1クレート3000円~6000円(東京-大阪間6000円)。クレート無料貸し出しあり(要事前予約) ・一般貨物の5割増し ・着払いは禁止 ・「実重量」もしくは「容積量」の大きい方を適用 ・クレート貸し出しなし ・1クレート6000円(一部路線は4000円) ・クレート無料貸し出しあり(要事前予約) ・持ち込みの場合は原則IATA(※)規定のもの ・一般貨物の5割増し ・着払いは禁止 ・クレート貸出しなし
禁止動物種 フレンチ・ブルドック、ブルドック ・フレンチ・ブルドック、ブルドック ・実験を目的とした犬・猿の輸送 ・夏季期間中(6月~9月)は犬種を問わず犬の経由便輸送(2区間以上の輸送、他社との乗継輸送も含む)を停止 ・6月〜9月の夏季期間中は短頭犬種を中止 ・航空機の利用に適した健康状態ではない、妊娠している、若齢(生後4ヵ月未満)、心臓疾患・呼吸器疾患がある場合は除外 6月〜9月の夏季期間中は短頭犬種を中止
誓約書等(条件) 同意書:死傷の原因が自然的原因、動物自身もしくは他の動物のウィルス、微生物による感染、梱包の欠損にある場合はJALは責任を負わない 動物申告書:生後8週間未満は禁止 同意書:輸送人の免責事項は、ペット自身の健康状態や体質等、ペット自身の固有の性質にある場合、梱包の不備等にある場合 同意書
※IATA:国際航空運送協会 ※出典:各社ホームページおよび電話での照会

国際線での取り扱い

基本的には国内線に準じていますが、JALは重さ、値段などをホームページ上に明記しておらず、随時問い合わせすることになります。

表2:受託手荷物と貨物での輸送(JALとANA)

JAL
ANA
預かる種類 ・犬、猫、小鳥(種子・果物・昆虫を餌とするもの)、ウサギ、フェレット、ハムスター、モルモット、リス、チンチラ(犬、猫は、生後8週以上のみ) ・犬、猫、小鳥、ウサギ、ハムスター等 ・カメ、トカゲ等爬虫類、魚類は除外
重さ制限 明記なし。コンテナの3辺の和、ペットとコンテナの総重量を連絡の上、乗り入れが可能か決定される ・コンテナ(檻)の3辺の和が292cmまたはペットを入れて45kg以内 ・1機あたり3檻まで ・乗継地点での餌・給水はできない ・コンテナは段ボール製、ソフトタイプ、キャリーバックによる受け付けはしない
禁止種類 フレンチ・ブルドック、ブルドックは禁止 6月~9月の夏季期間中は短頭犬種を中止
費用 ・明記なし ・問い合わせ ・設定した3エリアにより異なる。 ・エリアをまたぐ(日本-アメリカ間)4万円 ・エリア内(日本-タイ間)2万5000円 ・日本国内(国際線経由):5000円
※出典:各社ホームページ参照




海外におけるペットの航空輸送事情

アメリカ系、ヨーロッパ系の航空会社では小型犬、猫、ウサギなどの小動物であれば機内持ち込みができる航空会社が多く、小型のペットであれば気軽に旅行に連れて行ける環境にあるようです。筆者の犬は中型の大クラスなので機内持ち込みは無理でしょうが、日本の国内線でも機内持ち込みができれば喜ぶ人は多いでしょうね。

なお、国際線の場合は渡航先の法令、動物検疫制度により諸条件が異なるので、渡航先の規定を遵守することになります。例えば、英国、豪州、アラブ首長国連邦など、ペットを飛行機で入国させる際は貨物扱いのみ(受託手荷物では輸送できない)としている国もあります。

一例でありますが、アメリカ系、ヨーロッパ系、アジア系の代表的な航空会社の規定を調べてみました。国際線では各国によりルールが異なりますので、利用するときには、渡航先による条件だけではなく、帰国する際の日本の条件も併せて考慮して準備する必要があります。 
航空会社
ペット輸送に関する条件
ユナイテッド航空
  1. 機内持ち込み
    • 小型犬、猫、うさぎ、鳥などの小型動物
    • 前方座席の下に入るペット用トラベルバックまたはケージに入れる
    • ハードケージ:横30x縦44x高19cm以内
    • ソフトケージ:横28x縦46x高28cm以内
    • エコノミークラスのみ
    • 頭数は機体の種類による
    • 8週間以下の若齢は禁止、等
  2. 機内持ち込みができない場合は「貨物」扱い
    • 米国農務省(USDA)及びIATAが定める要件を満たすケージ
    • 往路復路とも獣医がフライトの出発から10日以内に発行した健康証明書
    • 生後8週間を経過した犬猫。体重が450g未満の場合は、生後10週間以上
KLMオランダ航空
  1. 機内持込み
    • 小型犬、猫、うさぎ、鳥などの小型動物
    • 前方座席の下に入るペット用トラベルバックまたはケージ(横28x縦46x高24cm以内)
    • 体重8kg以下
    • 総クレート数の数量制限あり
  2. 手荷物
    • 75㎏以下(IATA規定のケージ含む)
    • 14㎏までの同等サイズ2匹
    • または14kgまでの一緒に生まれた6カ月以内のペット
  3. 諸条件
    • ペキニーズ、ボクサー、ペルシャ猫等の短頭種はサイズにより機内持込みまたは貨物で取扱。ブルドック系、ボストンテリア、パグは貨物でも禁止
タイ航空
  1. 機内持込み
    • 実施していない
  2. 手荷物
    • 生後4カ月以上
    • ケージの大きさ、ケージを含めた重さを事前連絡(ケージはIATA規定のもの)
    • 原則ケージを含め32kg以下
    • ペットの種類は事前に連絡
※出典:各社ホームページ参照

ペットが一緒の飛行機に乗っていても、そばにいなければ飼い主は心配になりますよね。筆者も2年前に初めて愛犬と飛行機で沖縄旅行をしましたが、自宅から羽田空港のカウンターに預けるまでのシミュレーションを行い、実際に空港まで下見に行き航空会社の人の説明を聞いて準備しつつも、フライト中、それはもう気が気でなりませんでした。まして日本からヨーロッパやアメリカ、またはアフリカなどに連れて行くとなると、長距離のフライトは不安で仕方がないと思います。

そんな中、KLMオランダ航空では、貨物での輸送、またはアムステルダムでの乗継が2時間以上の受託手荷物での輸送の場合、動物たちはアムステルダム空港内に設置された「アニマルホテル」で休息ができるようになっています(別途150ユーロ必要)。空港会社が運営するホテルとしては世界唯一のもので、乗継のフライトまでの時間に犬の散歩、輸送してきたクレートの掃除、猫のトイレの取り換えなどしてくれるとのことです。職員は「アニマルスチュワード」と呼ばれ、特別な訓練をユトレヒト大学獣医学部で受講し、毎年新しい知識や技術を得るための再訓練も受けているそうです。アムステルダムは動物輸送のハブ空港になっているという理由からも需要が高いようです。

国内で大分状況は進歩し環境も整備されてきたと思いますが、犬猫と気軽に、そして安全に国内や海外を渡航できるような寛容な社会、環境づくりがもっと進んでいくことを切に願っています。

海辺のワンちゃん