猫の多発性のう胞腎 | 症状や原因、治療・予防法など【腎・泌尿器科専門獣医が解説】
猫の多発性のう胞腎とは、腎臓に水ぶくれがたくさんできてしまい、腎臓の正常な組織が破壊されてしまう病気です。今回は、猫の多発性のう胞腎について日本獣医生命科学大学臨床獣医学部門 治療学分野I・講師で獣医師の宮川が解説します。
猫の多発性のう胞腎の基礎知識
左右の腎臓にのう胞(水ぶくれ)がたくさんできてしまい、腎臓の正常な組織が破壊され、最終的に腎不全に至ります。ペルシャ猫やペルシャ系の猫(ヒマラヤンなど)では遺伝性の病気(常染色体優性遺伝)であることが知られています。1歳未満から腎臓には小さなのう胞が形成され,だんだんと大きくなり、中年齢(4~5歳)では腎臓の正常な組織の多くが失われ、腎不全に至ることもあります。症状
- お腹が張る
- 食欲低下が認められることがある(大きくなった腎臓が消化管を圧迫する)
- 進行すると腎不全の症状が認められる(食欲の低下、吐いてしまう、元気がない、うずくまっている)
検査・診断
- 腹部超音波検査:のう胞の有無、数、大きさを調べる
- 血液生化学検査:腎機能の状態を調べる
- 遺伝子検査:遺伝子の異常を調べる
治療
- この病気に特化した治療法はない
- 慢性腎臓病の治療に準拠する
- ただし、過剰な輸液療法はのう胞の拡大を悪化させるため注意が必要