犬の鼻炎 | 症状・原因・治療・予防法など循環器認定医獣医師が解説
犬の鼻炎は、ほとんどが細菌が原因による細菌性鼻炎ですが、細菌が増殖する理由は他にもあります。今回は、犬の鼻炎の症状や原因などについて白金高輪動物病院・中央アニマルクリニック顧問獣医師で獣医循環器認定医の佐藤が解説します。
犬の鼻炎にかかりやすい犬種(好発犬種)
- 細菌性鼻炎:全ての犬種
- アレルギー性鼻炎:アレルギー体質の犬種
- リンパ球形質細胞性鼻炎:ミニチュアダックスフンド、ウィペット
- 歯周病による二次的な鼻炎:全ての犬種
- 異物性鼻炎:全ての犬種
- 真菌性鼻炎:鼻が長い犬種に多い
- 腫瘍性:全ての犬種
犬の鼻炎にかかりやすい年代
- 細菌性鼻炎:成年期、シニア期
- アレルギー性鼻炎:成年期
- リンパ球形質細胞性鼻炎:成年期
- 歯周病による二次的な鼻炎:成年期〜シニア期
- 異物性鼻炎:全て
- 真菌性鼻炎:幼年期〜成年期
- 腫瘍性:高齢期
犬の鼻炎の症状
- 鼻づまり
- 鼻がヒューヒューと音を立てる
- 鼻血
- 鼻水
- くしゃみ
- 涙流症
初期の鼻汁(鼻水)は水のようにサラサラしていますが、慢性化して日和見感染(ひよりみかんせん:免疫力が低下した際に、健康体であれば害のないような弱い細菌やウイルスなどに感染し、発症してしまうこと)が起こると、黄色や緑色のドロリとした膿のような鼻汁がみられるようになります。
鼻涙管に炎症や感染が波及すると、鼻涙管がつまって涙流症(涙やけ)を起こしたり、粘膜の腫れと鼻汁によって鼻がつまり、口を開けたまま呼吸をしたりすることがあります。慢性化すると副鼻腔炎を引き起こすこともあります。
犬の鼻炎の原因
ほとんどが細菌が原因による細菌性鼻炎ですが、細菌が増殖する理由は他にあり、いわゆる二次生鼻炎がほとんどです。- 鼻腔に細菌感染
- 口蓋裂、歯周病などの口腔内疾患
- 花粉やハウスダストなどが原因のアレルギー性鼻炎
- アレルゲンが原因のリンパ球形質細胞性鼻炎
- 鼻腔内に食べ物などが入る異物性鼻炎
- アスペルギルスなどの真菌性鼻炎
- 鼻腔内にできものができる腫瘍性鼻炎
犬の鼻炎の検査・診断
鼻水の塗抹検査を顕微鏡で実施します。その他に- レントゲン検査
- 内視鏡による鼻腔内検査
- MRI
- CT検査
犬の鼻炎の治療
原因により治療が異なります。細菌性鼻炎
- 抗生物質や消炎剤の投与
- アレルギー性鼻炎
- ステロイドなどのアレルギー治療
リンパ球形質細胞性鼻炎
- ステロイドなどのアレルギー治療
- 歯周病による二次的な鼻炎
- 抗生剤もしくは、原因となる歯の抜歯、洗浄を行う
異物性鼻炎
- 異物を取り除く
- 真菌性鼻炎
- 抗真菌剤による治療
腫瘍性
- 抗がん治療もしくは外科的切除
犬の鼻炎の予後
原因により異なります。細菌性鼻炎
- ほぼ良好
アレルギー性鼻炎
- アレルギーの緩和による
リンパ球形質細胞性鼻炎
- 完治は難しい
歯周病による二次的な鼻炎
- 原因の除去により完治
異物性鼻炎
- 原因の除去により完治
真菌性鼻炎
- ほぼ良好
腫瘍性
- 外科的に切除し良好な場合と、予後不良
犬の鼻炎の予防
- ワクチン接種
- 免疫力を高める
- 適切な飼育・管理環境を作るとともに芳香剤など鼻の粘膜を刺激するような物質に接触させない
- 歯周病予防
- アレルゲンとなるものは避ける
犬の鼻炎の対処法・応急処置
- 鼻血が出た場合は上を向かず、鼻を押さえる
- 空気清浄機などを使用し、部屋を綺麗にする
- 鼻水により鼻の周囲が皮膚炎になることもあるため、綺麗にする