犬の心タンポナーデ | 症状や原因、治療・予防法など認定医が解説
公開日: 2017.01.01
更新日: 2020.12.16

犬の心タンポナーデとは、心臓と膜の間の心膜腔に液体が貯留し、心膜腔の圧が上昇し、心臓への負担がかかることを言います。今回は犬の心タンポナーデの原因や症状、検査・診断や治療法などについて、白金高輪動物病院・中央アニマルクリニック顧問獣医師で獣医循環器認定医の佐藤が解説します。
心臓の周りは心膜という膜があり、心臓が動いたりしないように守られています。その心臓と膜の間の心膜腔に液体が貯留し、心膜腔の圧が上昇し、右心系の圧を超えた場合、すなわち心臓への負担がかかった場合を心タンポナーデといいます。
かかりやすい犬種
全ての犬種
かかりやすい年代
成年期からシニア期
症状
失神
虚脱
呼吸困難
肝臓腫大
腹水
胸水
頸静脈の怒張
突然死
原因
原因不明
心房破裂
腫瘍からの出血
外傷性冠血管裂傷
検査・診断
レントゲン検査による心拡大
心臓超音波検査による確定診断
治療
心膜穿刺術により液体を抜く
しかし、心房破裂の場合は心臓疾患治療
腫瘍の場合は抗がん剤
など
予後
原因により様々
原因不明の場合は比較的良い。しかし再発を繰り返す場合は外科手術
心房破裂は心臓疾患の治療によるが基本的には悪い
心臓腫瘍は悪い
冠血管も悪い
予防
早期発見により心タンポナーデにならないようにする必要がある
この記事を書いた人
株式会社PETOKOTO取締役獣医師。東京都獣医師会理事。獣医循環器学会認定医。VETICAL動物病院 / オンライン診療、タイバンコクにあるSOMA VET Clinicにおいて循環器疾患の監修。「一生のかかりつけの医師」を推奨するとともに、専門分野治療、予防医療に力をいれている。