【獣医師執筆】猫はサンマ(さんま・秋刀魚)を食べても大丈夫!栄養成分や与える際の注意点を解説

【獣医師執筆】猫はサンマ(さんま・秋刀魚)を食べても大丈夫!栄養成分や与える際の注意点を解説

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猫はサンマを食べても大丈夫ですが、注意点を守って適切に与えることが大前提です。「猫といえば魚」という印象が強いのは実は日本だけです。実際に食べても大丈夫かどうか、成分や注意点も確認してみましょう。アニサキス寄生虫やヒスタミン食中毒についても解説します。

猫はサンマを食べても大丈夫

サンマ

サンマは猫にとっても栄養豊富な食べ物です。食べさせ方は少し注意すべきところがありますが、基本的に与えても大丈夫です。サンマにはDHAやEPAなど抗酸化作用のある不飽和脂肪酸が含まれていたり、猫が必要とするタウリンも豊富に含まれています。サンマの具体的な成分や効果、適した与え方などを確認してみましょう。

サンマの成分

サンマは栄養価の高い魚です。サンマを選ぶ時は背中が青黒く光り、全体の身が締まってハリのあるものを選ぶとよいそうです。しかし脂肪分も多いので日常的に猫に与えてしまうと肥満の原因になってしまうかもしれません。

  • DHA

  • オメガ3の不飽和脂肪酸の一つで、皮膚粘膜の健康を保ち脳の働きを活発にしてくれる役割があります。認知症予防にもなるので、積極的に取り入れたい栄養素の一つです。

  • EPA
  • 魚に多く含まれている不飽和脂肪酸です。EPAが血中に血栓ができるのを防ぐことで、血栓の詰まりが原因となりやすい心筋梗塞や脳梗塞になる確率を下げてくれます

  • ビタミンA
  • 「目のビタミン」とも言われ、白内障の予防や角膜の健康維持に重要です。また、皮膚や被毛の健康状態を保つ効果もあります。

  • ビタミンD
  • カルシウムの吸収を助ける重要なビタミンです。猫にとってカルシウムを効率よく吸収することは骨粗しょう症や骨折予防につながります。

  • ビタミンE
  • 抗酸化作用があります。過剰な活性酵素を除去することで老化や免疫力の低下を防ぐ働きがあります。

  • タウリン
  • 猫の体は犬とは異なり体内で必要量を作ることができません。そのためフードやサプリによって摂取させることが一般的です。動脈硬化や貧血、視力の低下などを予防する効果が期待されます。

猫にサンマを与える際の注意点

お皿に乗った焼きさんま

猫はサンマを食べても大丈夫なのですが、注意点はしっかりと認識しておかなければいけません。サンマに限らずさまざまな魚、イカ、タコ、貝類にも共通するものもあるので、この機会に確認し、「健康のためにあげたら逆効果になってしまった」ということがないようにしていきましょう。

サンマの小骨

サンマには細かい骨がたくさんあります。人間であれば骨があることを意識して噛む回数を増やすことができますが、猫はそんなこと考えません。「小骨に気をつけてね」と言っても分からないので、事前になるべく目立つものは取り除いてあげるようにしましょう。

また食べさせる前によく焼くか煮るかして、サンマの身をほぐしてからあげるようにするとよいでしょう。骨が残っていると食べている時に口内を傷つけてしまったり、胃腸に負担をかけてしまったりする可能性があります。

サンマのアレルギー

猫によっては青魚にアレルギー反応を示すことがあります。食物アレルギーは原因となる食物を取り除くことで発症を防ぐことができます。初めてサンマを食べさせる時は少量にし、以下の症状がでないか注意してあげましょう。

  • 下痢や軟便
  • 嘔吐
  • 発熱
  • 元気がない
  • 皮膚のかゆみ

ヒスタミン食中毒

ヒスタミン食中毒はヒスタミンという物質を含有している魚を摂取することによって発症する中毒です。魚がもともと持っているヒスチジンという物質が、細菌の持つ脱炭酸酵素の働きよって魚肉内でヒスタミンを生成します。魚を常温で放置することによって細菌が増殖するので、必然的にヒスタミンの生成される量も多くなり中毒を起こす確率が高くなります。

ヒスタミンは熱にとても強いため一度ヒスタミンが生成されてしまうと熱処理によって分解することは困難になります。予防策として新鮮な魚を購入することを心掛け、常温の状態で放置などしないようにしましょう。ヒスタミン食中毒になると摂取後2〜3時間で以下のような症状が出ると言われています。

  • 下痢
  • 嘔吐
  • 舌や顔の腫れ
  • 蕁麻疹
  • めまい

アニサキス寄生虫

アニサキスは寄生虫(線虫)の一種で、サバやイワシ、カツオ、鮭、イカ、サンマ、アジなどの魚介類の内臓に寄生します。鮮度が落ちると内臓から筋肉に移動し、生の状態で食べることで、アニサキス寄生虫が胃壁や腸壁に刺入して食中毒(アニサキス症)を引き起こします。人間だと嘔吐や激しい痛みを伴い、犬や猫にも同様の症状を起こす可能性があります。

アニサキスは熱に弱いので、煮たり焼いたりすればほぼ死滅すると考えて大丈夫です。また、人間であればお刺身を食べる時によく噛むことで、生きたアニサキスが体内に入ることを防ぐことができます。しかし猫によく噛ませるのは難しいので、あらかじめ小さく切って与えてあげるとよいでしょう。

黄色脂肪症

黄色脂肪症とは猫の腹部など皮下脂肪が酸化し炎症を起こしてしまう症状を指します。主な原因としては不飽和脂肪酸の過剰摂取と言われています。

魚にはDHAやEPAなど多くの不飽和脂肪酸が含まれているので、与えすぎると黄色脂肪症を引き起こしてしまいます。日常の食事に魚を取り入れている際に猫が腹部を触られることを嫌がったり、歩き方がおかしかったりする時は病院に連れて行きましょう。

猫に与えていい量

前提として、猫は総合栄養食のごはんを食べていれば、それ以外は与える必要はありません。

おやつとして与える場合は、1日の最適カロリー量の10%以内にしてください。毎日の最適カロリー量はペトコトフーズの「カロリー計算」(無料)で簡単に計算することができます。

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まとめ

首を傾げる猫

猫はサンマを食べても大丈夫です。骨やヒスタミン中毒、アニサキスのリスクがありますので、与える際は飼い主さんが注意して、安全に食べさせてあげてください。

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