【獣医師執筆】猫は栗を食べても大丈夫!栄養成分や与える際の注意点を解説

【獣医師執筆】猫は栗を食べても大丈夫!栄養成分や与える際の注意点を解説

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栗ご飯やモンブランと日本には栗を使った料理がたくさんあります。栗は9〜10月にかけて食べ頃になります。おやつに栗を食べていると、美味しそうな栗に興味津々の愛猫が寄って来て……。猫も栗を食べて大丈夫です。今回は栗に含まれている成分や与える際の注意点について紹介します。

猫は栗を食べても大丈夫

栗

猫は栗を食べても大丈夫です。栗にはカリウムやビタミンB1、ビタミンC、鉄、食物繊維などが多く含まれます。渋皮には抗酸化作用のあるポリフェノール「タンニン」が含まれ、老化防止や下痢の改善に効果的です。

栗に含まれる栄養素

エネルギー 152kcal
タンパク質 3.5g
脂質 0.6g
糖質 30.1g
カリウム 460mg
マグネシウム 45mg
ビタミンB1 0.17mg
ビタミンC 26mg
食物繊維 6.6g
※日本栗(茹で)100g当たり、参照:「食品成分データベース」(文部科学省)

栄養素
特徴
カリウム 過剰な塩分を排出してナトリウムとのバランスを保ち、血圧を安定させる効果があります。腎臓が弱っている場合は過剰になり心臓にダメージを与えてしまいます。摂取量に注意が必要です。
マグネシウム 骨を作り心臓を動かすために欠かせないミネラルで不足すると骨粗鬆症や不整脈などの心疾患につながります。過剰摂取ではストルバイト結石のリスクを高めるため、摂取量に注意が必要です。
ビタミンB1 チアミンとも呼ばれ、補酵素として糖質がエネルギーに変換されるのをサポートします。疲労回復効果があり、不足すると神経や心臓に障害が起こります(※人では「脚気(かっけ)」と呼ばれる病気)
ビタミンC 強い抗酸化作用を持ち、がん予防やアンチエイジングの効果が期待されます。生体内の異物を解毒する作用や、免疫機能を向上させる作用もあります。猫は体内で合成することが可能です。
食物繊維 腸内細菌のエサとなって腸内環境を改善したり、食後の血糖上昇をゆるやかにして糖尿病を予防したりします。水溶性は満腹感の持続や下痢の改善、不溶性は便秘の改善などの効果が期待できます。

猫に栗を与える際の注意点

栗

与える前にいくつか気を付けておきたいことがあります。

下痢

栗には食物繊維が豊富に含まれています。食物繊維はお通じの流れを良くする働きがあります。ただし、猫が下痢をしていたり、消化能力が弱っていたりする場合は与えないようにしましょう。

尿路結石

栗には適切な量を摂取すればプラスの働きをしてくれますが、尿路結石(尿石症)の原因となってしまうマグネシウムも含まれている点に注意が必要です。マグネシウムは体内にある300以上の酵素を助ける働きを持つミネラルです。子猫は100gあたり0.08%以上、成猫は1食あたり0.04%以上のマグネシウムを摂取することが理想的とされ、一般的なキャットフード(マグネシウム含有量0.08%)100gで80mgのマグネシウムを摂取していることになります。

チュウゴクグリには100g中71mg、ニホングリに100g中45mgのマグネシウムが含まれています。チュウゴクグリを猫が一つ食べただけで、一食分で摂取するマグネシウム量とほぼ同量のマグネシウムを摂取したことになります。

猫に与えていい量

前提として、猫は総合栄養食のごはんを食べていれば、それ以外は与える必要はありません。

おやつとして与える場合は、1日の最適カロリー量の10%以内にしてください。毎日の最適カロリー量はペトコトフーズの「カロリー計算」(無料)で簡単に計算することができます。

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猫

猫は少量であれば、栗を食べても大丈夫です。ただし長期的に栗を食べ続けてしまうと前述の通り、尿路結石などのリスクが高まってしまいます。そのため、猫に栗は積極的にあげないようにしましょう。猫は基本的に総合栄養食を食べていれば健康的に過ごせます。人間が普段食べている食材でも、猫が食べてはいけないものも多数存在します。栗に限らず「この食べ物を猫は食べていいのかな?」と疑問に思った場合は、すぐに調べるようにしましょう。

参考文献


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