猫はゴマを食べても大丈夫 セサミンの効果や与える際の注意点を解説
ゴマはサラダのドレッシングや和え物とさまざまな料理に使われていることが多いですよね。ゴマの成分を配合したサプリメントがあるくらい、私たちにとってゴマは健康的な食材ですが、猫もゴマを食べて大丈夫です。今回はゴマに含まれる栄養素や与える際の注意点について紹介します。
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猫はゴマを食べても大丈夫

猫はゴマを食べても大丈夫です。ゴマには肝臓の機能を高めるといわれているゴマリグナンや骨や歯を丈夫にするカルシウム、お通じの流れをよくする食物繊維が豊富に含まれています。
ゴマリグナン
セサミンやセサモリンなどのゴマだけに含まれている成分の総称をゴマリグナンと呼びます。ゴマリグナンは強い抗酸化作用を持っています。セサミン
セサミンの説明をする前に、ビタミンEについて簡単に説明します。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」では、8種類あるビタミンEの成分のうちα-トコフェロールのみをビタミンEと定めています。これは動物の体内を占めるビタミンEのほとんどがα-トコフェロールであるためです。ゴマに含まれるビタミンEのほとんどはγ-トコフェロールなので、先ほどの基準でゴマはビタミンEを含まない食品になります。しかしセサミンを含むゴマだけは特異的で、ゴマのγ-トコフェロールはセサミンによってα-トコフェロールと同様のビタミンE活性が見られます。つまり、ゴマは別名「抗酸化ビタミン」と呼ばれているビタミンEを含む食材であり、老化抑制効果や紫外線の障害予防効果が期待できます。
参照:日本栄養・食料学会誌,第62巻第4号『食品成分相互作用による生体内抗酸化機能の増強効果』
セサモリン
セサモリンはゴマを加熱したり、すったりすることでセサミノールという成分に変化します。セサミノールは脂質が酸化することを抑制したり、酸化反応によって体内で起こる生体にとって有害な作用を抑えたりする働きを持っています。ゴマ油が他の油に比べて、酸化しにくいといわれているのはこのセサミノールのおかげです。カルシウム
別名「天然の精神安定剤」とも呼ばれているカルシウムは骨や歯を丈夫にするだけではなく、神経や筋肉をサポートします。食物繊維
煎りゴマ100gあたり水溶性食物繊維が2.5g、不水溶性食物繊維が10.1g含まれています。一般的に食物繊維が豊富なイメージのキャベツの食物繊維が100gあたり1.8gですので、ゴマには食物繊維が豊富に含まれているといえるでしょう。水溶性食物繊維は腸内環境を整え、保水性をあげることで、便秘の猫には効果があります。不溶性食物繊維は便の量を増やすことで腸を刺激し、蠕動運動(ぜんどううんどう:消化したものを排出したり、腸内を移動させたりする運動)を促進する働きがあります。
猫にゴマを与える際の注意点

猫にゴマを与える際はいくつか注意点があります。
アレルギー
ゴマアレルギーに限った話ではありませんが、生まれつきの体質による先天性のアレルギーと、長い期間同じ食材を食べて発症してしまう後天性のアレルギーがあります。ゴマアレルギーを持っている子もいるので最初は少量を食べさせることからスタートさせてあげましょう。アレルギーには以下の症状になる可能性が挙げられます。- 下痢や嘔吐
- 皮膚をかゆがる
- 元気がなくなる
- 目の充血
下痢
食物繊維はお通じの流れを良くする働きがあります。猫の消化能力が弱っている場合はあげないようにしましょう。ゴマ油がフケ対策に効果的って本当?

脂肪を構成する成分には、大きく分けて「オメガ3」「オメガ6」「オメガ9」の3種類があります。ゴマ油に豊富に含まれているオメガ6は皮膚を健康に保つ作用を持っています。猫にフケが出てしまう原因はいくつか考えられますがその一つに皮膚の状態が悪いことが挙げられます。そのため、猫にゴマ油をあげるとフケ対策に効果的といわれています。ただし、皮膚疾患の可能性もあるため状態が悪い場合は動物病院へ行くようにしましょう。
ゴマ油に含まれているリノール酸は血中の悪玉コレステロールを減らす働きを持っており、高血圧を予防するのにとても効果的です。過剰に摂取してしまうと善玉コレステロールも減らしてしまいますので注意してください。
猫も安心な食生活を!

猫にとってゴマは健康的な食材です。猫は良質な総合栄養食を食べていれば栄養バランスの整った食生活を送ることができます。普段生活している中でゴマに限らずに「この食べ物を猫は食べていいのかな?」と疑問に思った場合は、すぐに調べるようにしましょう。
参考文献
- 犬と猫の栄養成分辞典(ロイヤルカナン)
- 消費者の相談(農林水産省)
- すぐわかる栄養成分ナビゲーター(グリコ)
- セサミン(わかさ生活)
※本記事は猫にゴマを積極的に食べさせることを推奨するものではありません。猫に健康的な食べ物は、栄養がバランス良く摂れるように配合された総合栄養食としてのキャットフードです。雑食動物の人と違って猫は肉食動物です。人の体に良いからといって猫にも良いとは限りません。逆に悪影響となったり、必要な栄養の吸収を阻害したりすることもあります。ただ、食事は飼い主と愛猫の絆を強くする大切な時間でもあります。同じものを食べたいと思ったり、欲しそうにしている愛猫に少しわけてあげたいと思ったりすることもあるでしょう。そんなときは必ず与えても大丈夫なのかを調べ、適切な与え方や量(あくまでおやつとして)を守り、様子を見ながら与えるようにしてください。