犬にヤギミルクは与えて大丈夫!その栄養成分や効能などを解説
犬に牛乳を与えるとお腹を壊しやすいことは有名ですが、代替品としてヤギミルクが人気なのをご存じですか? 犬用のミルクと同じく下痢になりにくい成分になっているのですが、ヤギミルクは栄養価が高く、胃や肝臓にあまり負担をかけずに栄養を消化・吸収できるので、水分補給やご飯のトッピングに適しています。今回はヤギミルクの詳しい成分や効果などを紹介します。
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犬はヤギミルクを飲んでも大丈夫

ヤギミルクは犬の母乳に近い成分のため下痢になりにくく、栄養価も高いミルクです。嗜好性も高いため、水分補給が必要な犬や食欲がない犬に与えると、積極的に飲んだり食べたりしてくれます。
まれにアレルギーを発症する犬もいるので、初めて与える時は少量にし、嘔吐や下痢を引き起こさないかを確認しましょう。
問題なければ、1日の最適カロリー量の10%以内で与えてください。1日の最適カロリー量はペトことオリジナルのドッグフード「PETOKOTO FOODS」の「フード診断」で簡単に計算することができます。

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栄養価が高いヤギミルク

ヤギミルクにはカルシウムやビタミン類、タウリンなどたくさんの栄養が含まれています。
タウリン
ヤギミルクには牛乳の20倍も多いタウリンが含まれています。犬は体内でタウリンを作ることができますが、年齢や体質によって十分に体内で作り出せないこともあります。そのため必要であればフードやサプリによって摂取させることが一般的です。
心機能の健康を維持し、動脈硬化や貧血、視力の低下などを予防する効果が期待されます。
カルシウム
カルシウムは骨や歯を丈夫にするだけではなく、神経や筋肉の活動を円滑に進むようにサポートしてくれます。ビタミンB2
主に皮膚や粘膜の健康維持をサポートする成分です。タンパク質などを体内でエネルギーに変換するときにサポートする役割もあります。タンパク質
ヤギミルクは動物性タンパク質です。被毛も内臓もすべてタンパク質で構成されており、代謝と免疫力を保つためにとても大切な成分です。ヤギミルクを与えるメリット

アレルギーを起こしにくい
牛乳のアレルギーを引き起こすのはαカゼインというタンパク質が原因です。しかしヤギミルクの場合はβカゼインというアレルギーになりにくいタンパク質が主体になっています。そのため、犬や猫にミルクを与える際は牛乳ではなくヤギミルクを推奨されています。ヤギミルクが下痢になりにくい理由
人間でも牛乳を飲むと下痢になる方がいますが、それは糖分の一種である乳糖を分解する酵素が少ないことが原因だと考えられています。小腸で分解できなかった乳糖は大腸へと移動し腸内の水分量を高めることで下痢を誘発します(浸透圧性下痢)。そういった体質を「乳糖不耐症」と呼びます。人間も犬も、生まれてすぐは母乳の乳糖を分解するための酵素を持っているのですが、成長とともに減少していきます。また、犬の母乳に含まれる乳糖は牛乳よりも少ないため、生まれてすぐでも牛乳を消化するには酵素が足りません。
ヤギミルクは牛乳に比べて乳糖が少ないので下痢になりにくいと言われることもありますが、実際はヤギミルクと牛乳で乳糖の量はほとんど変わりません(※1,2)。ではなぜ牛乳では下痢になりやすく、ヤギミルクだとなりにくいのでしょうか。その違いは「脂肪球」にあります。
ヤギミルク | 牛乳 | イヌ乳 | |
---|---|---|---|
乳糖(%) | 4.5 | 4.4 | 4.0 |
牛乳やヤギミルクが白いのは、脂質が脂肪球という小さな粒子によって存在しているためです。牛乳の脂肪球は粒子が大きく、時間がたつと乳脂肪の分離してクリームの層ができてしまいます。そこで市販されている牛乳は圧力をかけ、脂肪球を砕いて小さくしています。
大きい脂肪球は消化に悪いため砕くことで消化が良くなる一方、脂肪球に包まれていた乳糖がむき出しになることで乳糖不耐症が起こります。ヤギミルクは牛乳に比べて脂肪球が小さいため、そのままでも消化しやすく乳糖不耐症にも優しい状態を保つことができるのです(※3)。
※参照1:参照:日本ペット栄養学会(2014)『ペット栄養管理学テキストブック』、参照2:「食品成分データベース」(文部科学省)、参照3:『Size Distribution of Fat Globules in Goat Milk』(Journal of Dairy Science)
まとめ

ヤギミルクはアレルギーや下痢を引き起こしにくい
犬にとって嬉しい栄養素が豊富
水分補給やご飯のトッピングに適しています
食欲がない犬、量を食べられない老犬にオススメ
ヤギミルクは比較的アレルギーや乳糖不耐症の症状は現れにくいものですが、犬の体質によっては苦手な子もいます。初めて飲ませる時はひと舐め程度にして、様子を見てあげましょう。
参考文献
- 阿部又信(2008)『小動物栄養学』ファームプレス
- 奥恒行『ヒトにおける乳糖の一過性下痢に対する最大無作用量とそれに及ぼす食べ方に関する研究』長崎シーボルト大学