犬のカルシウム必要量と過剰摂取のリスクを栄養管理士が解説

犬のカルシウム必要量と過剰摂取のリスクを栄養管理士が解説

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カルシウムは犬にとっても欠かせないミネラルですが、不足だけでなく過剰摂取でも病気の原因になる可能性があります。今回は必要量やシニア犬に与えがちなサプリメントのリスク、手作りごはんやおやつでオススメのカルシウムが多い果物や野菜などの食材について、ペット栄養管理士が解説します。#犬の食育

犬のカルシウムの必要量

PETOKOTO FOODSを食べる犬たち

カルシウムは犬の体に最も多く含まれるミネラルで、その99%は骨と歯を形成しています。残る1%は細胞や血液に含まれ、筋肉の収縮や神経を安定させる作用があります。

カルシウムの必要量として、AAFCO(米国飼料検査官協会)が策定する総合栄養食の栄養基準が参考になります。成犬では乾物1kg、代謝エネルギー4000kcalあたり0.5〜1.8%のカルシウムを含むことが推奨されています。

ただし、カルシウムは単体で推奨量を満たしてもビタミンDやリンの摂取量に大きく影響を受けて必要量より不足、もしくは過剰になる可能性がありますので注意が必要です。


カルシウムとビタミンD

ビタミンDはカルシウムとリンの吸収を促進します。AAFCOは総合栄養食の基準としてビタミンDの摂取量を12.5-75μg(※)としており、過不足はカルシウムの過不足に直結します。

※乾物1kg、代謝エネルギー4000kcal当たり


カルシウムとリン

カルシウムとリンの比率は1:1〜2:1が推奨されていますが、発育期は比率以上にカルシウムがどれだけ含まれているかが特に重要です。成長中の子犬(特に大型犬)は1.2%が推奨量とされています。

リンが適切なのにカルシウムが不足すると、続発性副甲状腺機能亢進症や低カルシウム血症といった病気につながります。逆に過剰になると骨格異常を引き起こします。

※参照:『イヌ・ネコのライフステージと栄養』(ペット栄養学会誌)

犬のカルシウム不足と過剰摂取

PETOKOTO FOODSと犬

カルシウムは不足だけでなく過剰摂取でも病気の原因になるため、ビタミンDやリンの摂取量も考慮したバランスの良い摂取が重要です。

カルシウムが不足した場合

カルシウムが不足すると骨折や低カルシウム血症、食欲低下や痙攣といった症状のほか、成長期では発育不良につながります。

カルシウムを過剰摂取した場合

カルシウム不足は骨の異常を引き起こしますが、過剰でも骨軟骨症や股関節異形成といった骨の異常につながり、大型犬は特に発症リスクが高くなります。過剰なカルシウムは亜鉛の吸収を阻害するため、脱毛や皮膚異常、免疫不全といった亜鉛欠乏症のリスクも高めます。

カルシウムを多く摂ることのメリットとして、腸内でシュウ酸と結び付くことによるシュウ酸カルシウム結石の予防が挙げられます。ただし、過剰になるとカルシウム結石につながる可能性もあるため、摂り過ぎにも注意が必要です。

※参照:『カルシウムの積極的な服用による腎臓結石予防法』(日本老年医学会雑誌)

犬にカルシウムサプリを与えても大丈夫?

PETOKOTO FOODSの匂いを嗅ぐ犬

総合栄養食を食べている犬の場合、カルシウムのサプリメントやカルシウムを含むおやつを与えると、カルシウムの過剰摂取につながります。特に大型犬の子犬は要注意で、発育期の整形外科疾患を発症する可能性が高まります。「与えないほうがいい」ではなく、与えてはいけません

シニア犬にカルシウムサプリは必要?

人では高齢になると骨粗しょう症が問題になるため、犬でも注意したほうがいいのではと心配になる飼い主さんもいると思います。犬の場合は総合栄養食を食べている限り、カルシウムが不足することはありませんので心配する必要はありません。

サプリメントでカルシウムを与えてしまうと過剰になったり、リンとの比率が崩れたりします。カルシウムは摂れば摂るほど骨や歯が丈夫になるというものではありません。バランスの良い食事を続けることが長生きの秘訣です。


手作りごはんは摂取量に注意

手作りごはんの場合は食材からカルシウムを摂取することが簡単ではないため、市販のサプリメントや卵殻を粉末にするなどして与える必要があります。AAFCOの基準値を参考に、カルシウムだけでなくリンやビタミンDの摂取量にも注意してください。

※参照:『小動物の臨床栄養学 第5版』


カルシウムが多い食材

手作りごはんやトッピング、おやつを与える際の参考として、果物や野菜などカルシウムを多く含む食べ物を紹介します。実際に与える際は、各食材にどれくらいカルシウムが含まれるかを確認して、不足もしくは過剰にならないよう注意してください。

カルシウムが多い果物

カルシウムはイチゴやキウイ、パイナップル、バナナなどのフルーツに多く含まれます。

イチゴ
キウイ
パイナップル
バナナ
イチゴ
与え方
キウイ
与え方
パイナップル
与え方
バナナ
与え方

カルシウムが多い野菜

カルシウムはモロヘイヤやしそ(大葉)、小松菜、ほうれん草などの野菜に多く含まれます。

モロヘイヤ
しそ(大葉)
小松菜
ほうれん草
モロヘイヤ
与え方
しそ(大葉)
与え方
小松菜
与え方
ほうれん草
与え方

カルシウムが多いその他の食材

カルシウムは果物や野菜以外では煮干しやごま、チーズ、ヨーグルトなどの食材に多く含まれます。

煮干し
ごま
チーズ
ヨーグルト
煮干し
与え方
ごま
与え方
チーズ
与え方
ヨーグルト
与え方

与える際の注意点

総合栄養食へのトッピングやおやつとして与える場合は、1日の最適カロリー量の10%以内にしてください。1日の最適カロリー量はペトことオリジナルのドッグフード「PETOKOTO FOODS」の「フード診断」(無料)で簡単に計算することができます。

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PETOKOTO FOODS

まとめ

PETOKOTO FOODS
ミネラルの中でも重要度が高い栄養素
ビタミンDやリンの摂取で吸収率が変化
不足だけでなく過剰も病気の原因に
バランスの良い食事が大切
カルシウムは骨や歯を作る大切なミネラルですが、不足だけでなく過剰摂取でも病気の原因になります。総合栄養食を食べている限り、サプリメントなどの添加は必要ありません。食事は愛犬の健康、寿命に直結するもの。バランスの良い食生活を心掛けましょう。

参考文献

  • 「小動物の臨床栄養学 第5版」


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