【獣医師執筆】猫がスルメを食べるのはNG!その理由や食べてしまったときの対処法を紹介
晩酌のお供に好まれるスルメ。猫が隣で欲しがっていると、つい「少しだけ……」と与えたくなってしまいますよね。しかしスルメを猫に与えるのはリスクがあります。もともと人間用に加工されているスルメですが、塩分以外にに与えてはいけない理由をご存じですか?今回はスルメの成分や摂取後の危険性などを詳しく解説します。
猫にスルメを与えるのはNG
猫にスルメを与えてはいけません。スルメには塩分が多く含まれているためです。乾燥したスルメは猫にとって食べにくく、食道で詰まらせてしまうリスクもあります。消化にもよくありませんので、与えないようにしましょう。
猫にスルメイカは食べても大丈夫?
スルメとスルメイカは混同されやすいのですが、スルメはイカの内臓を取り出し乾燥させた加工品のことをいいます。スルメイカはイカの種類の一つです。スルメは長期保存に長けて栄養も含んでいたので、昔は今よりも重宝されていました。猫がスルメを食べた時の危険性
スルメが猫にとって良くないのは、塩分が多いからだけではありません。乾物特有の現象や胃腸への負担も気を付ける必要があるのです。それぞれ詳しく見ていきましょう。
下痢や嘔吐の原因に
乾物として加工されたスルメを猫が消化するのは胃腸にかなり負担がかかります。消化不良を引き起こし下痢や嘔吐につながる可能性もあるので、注意が必要です。塩分過多
塩分は体に必要なものですが、たくさん摂取すると血圧は上昇し、塩分の排出を行う腎臓に負担がかかります。猫は人間のように汗腺を持っていないので、汗をかいて塩分を排出することができません。猫がスルメを食べてしまった時の対処法
スルメを意図的に与えることはなくても「目を離した隙に食べてしまった!」ということは起こるかもしれません。
まず食べてしまった量を把握することが大切です。ひとかけらなどの少量であれば少し様子を見て、嘔吐をしないか、食欲低下が見受けられないか注意しましょう。スルメを丸ごと食べてしまっていたり、量が把握できなかったりする場合は動物病院にて獣医師に相談しましょう。決して自分の判断で吐かせようとしてはいけません。
猫がスルメを食べると腰を抜かす?
「猫がスルメを食べると腰を抜かすの?」と疑問を持たれるきっかけは、「猫がイカを食べると腰を抜かす」という定説が原因です。猫が生のイカを食べるとビタミンB1欠乏症になり、運動障害を起こしてしまう可能性が高くなるため「腰を抜かす」という表現が使われたのです。
猫は犬よりもビタミンB1要求量が多いため、ビタミンB1欠乏症になりやすいのです。しかしビタミンB1欠乏症の原因となるチアミナーゼという成分は熱に弱いため、加熱調理されたイカであれば猫も食べることができます。
猫にスルメは胃腸の負担に
スルメは人間用に加工された食材で、塩分が高いのはもちろんのこと、猫にとっては胃腸の負担にもなります。
おいしいものを一緒に食べたい気持ちはどの飼い主さんにもあるものですが、食べ物が猫の体の負担にならないかどうか、しっかりと確認するようにしましょう。そうすることで、人も猫も一緒にご飯を楽しむことができます。
なお、本稿は以下の情報を参照して執筆しています。
- 阿部又信(2008)『小動物栄養学』ファームプレス
- 全国イカ加工工業協同組合「イカ加工品ができるまで」
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