犬が甘噛みをする理由や直し方&しつけ方【プロが解説】

子犬の甘噛みはそれほど痛くないですし、最初はそんな行動も「かわいい♪」と許してしまう飼い主さんも少なくないと思います。しかし、甘噛みはエスカレートすると噛まれた方がケガをするほど強く噛むようになったり、成犬になってから「かわいい」とは言えない甘噛みをするようになったりしてしまいます。人や他の犬に怪我をさせてしまったら大変ですので、飼い主さんがしっかり甘噛みのしつけをしてあげましょう。今回は「犬の甘噛み」についてドッグトレーナーの西岡が解説します。

犬の甘噛みとは

「甘噛み」とは、犬が人や他の犬に対して、本気ではなく加減して噛むことをいいます。犬は本気で噛んでいなくても、噛まれたほうは本気で痛い場合もありますし、エスカレートしてどんどん噛む力が強くなる場合もあります。飼い主さんが問題行動と考え「なんとかしたい!」と悩むことが多いケースの一つです。

甘噛みだから噛まれても大丈夫?

犬にとっては甘噛みのつもりでも、子犬の歯は細く、意外と痛いです。飼い主さんは「我慢できるレベル」「これくらいなら許しちゃう」と思っていても、犬に慣れていない子どもや他の人にとっては「かわいらしい甘噛み」ではなく、単純に「犬に噛まれた」としか思えない場合もあります。甘噛みであっても、場合によっては腫れてしまったり、出血したりすることもあります。

甘噛みしやすい時期

おもちゃで遊ぶボーダーコリーの子犬
Photo by shun.maru1114 Thanks!

甘噛みは生後1歳未満の子犬(パピー)の時期に見られる行動です。特に、乳歯が生えてくるころや、歯が永久歯に生え変わり始める時期に見られます。歯の生え変わりは8カ月頃、遅くても1歳になるまでに終わります。

犬は1歳(大型犬の場合2歳)を過ぎると成犬とされ、遊び方もだんだん変わってボールやロープなどのおもちゃを使った遊びが多くなります。子犬の頃に多かった甘噛みもほとんどしなくなります。しかし、子犬の頃に正しい育てられ方をしていないと成犬になっても甘噛みをする子になってしまうこともあります。時には寂しくて、構ってほしくて、甘噛みをする子もいます。飼い主さんに撫でられるのが嬉しくて、愛情表現として甘噛みをしたり歯を当ててきたりすることもあります。

どうして甘噛みするの?

犬が甘噛みをするのにはいくつか理由があります。子犬の気持ちになって考えてみましょう!

歯がムズムズしてかゆい!

乳歯が生えてきたり、永久歯の生え変わりでムズムズするという理由があります。人はそういうとき、グラグラしてきた歯を自分の指で触ることができますが、犬はできません。そのため指で触る代わりに「何かを噛む」ということにつながるのです。

遊びの一環

通常、子犬の頃は母親や兄弟と一緒にいますので、じゃれたり、噛んだりして遊び、いろいろなことを学びます。犬同士の遊びの中で噛む力の加減を知ることもあれば、時には母犬に怒られながら「どれだけ噛んだら痛いか」を教わります。そのため子犬の頃の甘噛みは、大人になるための学習の一環でもあるのです。

甘噛みの原因は飼い主さんかも?

飼い犬にとって甘噛みのきっかけは、「歯がかゆい」「飼い主さんの動く手足がおもちゃに見える」といったことがほとんどです。この甘噛みは犬として自然な行動ですが、甘噛みをされた飼い主さんの反応によって、その後の(飼い主さんが考える)問題行動のきっかけになってしまうことがあります。

例えば、こんな反応してませんか?

  • まだ子犬だし甘噛みされても痛くないからと、手で遊んであげている
  • 甘噛みしてくる姿がかわいくて「かわいい~!」と喜ぶ
  • 甘噛みが痛くて、「痛い!」と手を引っ込める
  • 甘噛みをやめさせようと「噛んだらダメでしょ!痛いでしょ!」と怒る

実はこれらの反応は、犬にとって嬉しい・楽しい行動になってしまいます。飼い主さんは怒っているつもりでも、犬は「噛めばかまってくれる」と勘違いしてしまいます。

犬の甘噛みは問題行動?

必ず通る道ですから、甘噛み自体は自然な行動です。しかし、誰に対しても甘噛みをしたり、だんだんとエスカレートして加減がわからなくなったりしまうこともあります。それが問題行動となるのなら、飼い主さんは愛犬の甘噛みが噛み癖にならないようにしつける必要があります。

犬の甘噛みの直し方・しつけ方

甘噛みで悩んでいる飼い主さんは、以下の点に注意してみてください。

適切なおもちゃで遊んであげる

ロープで遊ぶ子犬
Photo by akari_aru Thanks!

犬はおもちゃにして良いもの、悪いものの区別ができません。例えば飼い主さんが、「この使い古したタオルは噛んでいいけど、新しいタオルは噛んじゃダメよ」と自分なりに区別したところで、犬には全然わかりません。同じタオルです。こういった人間側の都合でしかない物を遊びに使うのはやめましょう。

飼い主さんが手に持って遊ぶロープのおもちゃは、長さに注意が必要です。飼い主さんはおもちゃで遊んでるつもりでも、犬にとっては飼い主さんの手もおもちゃだと勘違いしてしまう場合があります。ロープだけでなく、犬のおもちゃには木やゴムでできたゴングなどたくさん種類があります。犬の好みにあわせながら、適切なおもちゃや遊び方で遊んであげるようにしてください。

無視することも大切

当たり前ですが甘噛みされて飼い主さんが喜んでいたり、嬉しそうにしていたりすれば、犬は「もっと噛んでいいんだ!」「ママもパパも楽しんでくれてる!」と勘違いしてしまいます。不快感を表現したとしても、犬にそれが伝わらなければ「噛めばかまってくれる!」と勘違いしてしまいます。上手く怒れないときは、無視することでしつけましょう。

噛まれてもすぐに手を引っ込めない

犬は動くもの、逃げる物を追う習性があります。飼い主さんは痛くて引っ込めたつもりでも、犬は遊んでもらっていると勘違いして余計に手を追いかけてくるようになります。また、噛まれたとき反射的に手を引っ込めるのは危ないのでやめましょう。強く噛まれたときに同じように手をひっこめる、鋭利な乳歯だとちぎれてしまいます。どうしても口を開けてくれない場合は、おもちゃなどを使って他に気が向くようにしましょう。好きなおやつを使ってしまうと、「噛み続ければ大好きなおやつがもらえる!」と勘違いしてしまいますので注意してください。

叱るときは低く冷静に一言だけ

意外と難しいのが叱ること。犬は低い声のほうが「叱られている」と感じやすく、高い声は「褒められている」と感じやすいといわれています。そのため特に女性の場合は声が男性に比べて高いので叱ることが難しいです。叱るときはいつもより意識して冷静に、低い声で一言だけにしましょう。言葉に決まりはありませんが、「ダメ」「No」「いけない」などが一般的です。どちらにしろ叱る方法は難しいのでオススメしません。

よくある質問

甘噛みは飼い主さんから相談されることが多いです。その際によく聞かれる質問を紹介します。

どうやっても治らないけど、どうすれば良いの?

先ほど紹介した方法で改善することもありますが、犬の性格や甘噛みの強さによっては一般の飼い主さんでは対処が難しいケースもあります。その際は犬のためにも無理をせず、専門のトレーナーさんに相談してみることをオススメします。

テーブルを噛むのはなぜ? ストレス?

子犬の頃は何に対しても興味津々です。人は初めて見る物に対して手で触って質感などを感じますが、犬の場合は舐めたり噛んだりして感じます。それ以外にも、つまらなくてかじってしまうことや、歯がかゆくてかじることもあります。

つまらなくて噛んでしまう場合は、何か別の理由でストレスがたまっている可能性もあります。おもちゃで遊んであげたり、しっかり散歩をしてあげたりして体力や遊びたい気持ちを発散させてあげることも大切です。その他、犬がかじってもいいものを与えたり、机や椅子には舐めると苦いビターアップルなどを塗っておくという対策もあります。

きちんとしつけることも愛情

愛犬はかわいくて、ついつい甘やかしてしまいがちですが、犬のためにもしつけをすることは大切です。何が良い行動で何が悪い行動かを確認し合うことで、飼い主さんだけでなく犬にとっても生活が楽になり絆も深まります。「甘噛みだから」と軽く考えず、先のことも考えてきちんと対処しましょう。

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