【獣医師執筆】猫はヨーグルトを食べても大丈夫!栄養成分や与える際の注意点を解説

【獣医師執筆】猫はヨーグルトを食べても大丈夫!栄養成分や与える際の注意点を解説

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猫はヨーグルトを食べても大丈夫です。発酵により牛乳で問題になる乳糖が分解されているため、猫もお腹を壊さずに食べることができます。ヨーグルトには整腸作用や口臭を抑える働きがあり、おやつとして与えることで胃腸や口内環境の改善に役立ちます。与えていい量や注意点について解説します。

猫はヨーグルトを食べても大丈夫

ヨーグルト

猫がヨーグルトを食べても問題ありません。「牛乳と同じ乳製品なのに大丈夫?」と心配される方もいると思います。多くの乳製品には乳糖が含まれており、猫はその乳糖を分解するのに必要な消化酵素「ラクターゼ」を十分に持っていません。 そのため乳糖を多く含む牛乳を飲むとお腹を壊して下痢になってしまう可能性があります(乳糖不耐症)

一方、ヨーグルトでは下痢の原因になる乳糖の多くが発酵によって分解されていますので、猫もお腹を壊さずに食べることができるのです。


ヨーグルトの栄養成分

エネルギー 56kcal
水分 87.7g
糖質 4.9g
カリウム 170mg
カルシウム 120mg
リン 100mg
ヨウ素 17μg
※全脂無糖100g当たり、参照:「食品成分データベース」(文部科学省)

特徴
カリウム 過剰な塩分を排出してナトリウムとのバランスを保ち、血圧を安定させる効果があります。腎臓病の場合は過剰(高カリウム血症)になり心臓にダメージを与えてしまいます。摂取量に注意が必要です。
カルシウム カルシウムは骨や歯の材料になるだけでなく、神経の情報伝達にも重要な役割を持ちます。カルシウムは不足したときだけでなく、過剰摂取でも整形外科疾患のリスクを高めます。
リン 骨や歯の形成、エネルギー代謝に重要な役割を果たしています。腎臓病の犬猫ではリンの排出が正常に行われず腎臓病を悪化させてしまうため制限が必要です。
ヨウ素 ヨウ素は甲状腺ホルモンの原料になるミネラルです。甲状腺ホルモンはタンパク質の合成や成長ホルモンの分泌に関わり、皮膚や被毛の健康につながります。不足すると甲状腺の機能が低下し、体力低下や甲状腺腫の原因になります。

猫にヨーグルトをあげるメリット

ヨーグルト

ヨーグルトは猫にとって嬉しい効果をもたらします。その効果を見ていきましょう! 発売されているヨーグルトには砂糖が入っているものと入っていないものがあります。猫にあげる時は無糖やプレーンタイプを選んであげるとよいでしょう。

腸内環境を改善し、免疫力も向上

ヨーグルトの中には乳酸菌が豊富に含まれています。乳酸菌は猫の腸内にある善玉菌を助け、腸内環境を整える働きをしてくれます。そのため便秘や下痢の解消につながるのです。

消化を助ける

ヨーグルトは発酵食品のためたくさん酵素が含まれていて、酵素が消化不良をサポートしてくれます。

ヨーグルト歯磨きで口内トラブルを抑える

ヨーグルトに含まれる乳酸菌は細菌の増殖を抑えてくれます。ヨーグルトで歯磨きをするか舐めさせるかして、20分ほど水は飲ませず、乳酸菌が口内に止まるようにすると効果的です。

カリウムやビタミンも豊富

猫が若々しくいるにはビタミンなどの栄養素はとても大切です。カリウムやビタミンは代謝を助け、疲労回復の効果もあります。

猫にヨーグルトを与えていい量

猫

前提として、猫は総合栄養食のごはんを食べていれば、それ以外は与える必要はありません。

おやつとして与える場合は、1日の最適カロリー量の10%以内にしてください。毎日の最適カロリー量はペトコトフーズの「カロリー計算」(無料)で簡単に計算することができます。

愛猫のカロリー計算をする

どんなヨーグルトを食べるのか

ヨーグルトにはさまざまな種類がありますが、大きく違うのは乳酸菌やビフィズス菌などの違いです。ヨーグルトの種類や効果はメーカーによって特徴が異なりますので、得たい効果で選んでもいいかもしれません。

人間用のヨーグルトをおすそ分けしてあげるだけでも十分ですが、もし人間用だとお腹を壊してしまうようであれば猫用のヨーグルトなどを選んであげてもよいでしょう。

ラクトフェリンとは

ラクトフェリンは糖タンパク質で、母猫の母乳に多く含まれており、免疫機能を高めてくれる成分のことです。ラクトフェリンは母乳にしか含まれていません。

人間用のヨーグルトにはラクトフェリン入りのものもありますが、猫にあげる際は無糖か確かめる必要があります。猫に効率的にラクトフェリンを摂取させたい場合はサプリなどを与えるといいでしょう。

猫にヨーグルトを与える際の注意点

ヨーグルト

ヨーグルトは牛乳とは異なり乳糖不耐症にはなりにくいのですが、乳糖がまったく含まれていないわけではありません。お腹の弱い猫や、乳製品アレルギーの場合はヨーグルトでも与えない方がいいでしょう。

乳製品アレルギー

猫によっては食物アレルギーで乳製品に反応してしまう子がいます。初期の症状として皮膚の疾患が現れる可能性が高いので、フケが出たりずっと肌をかゆがっていたりしていたら、早めに病院に相談してあげましょう。

下痢や嘔吐をしていないか注意

ヨーグルトを食べた後に下痢や嘔吐につながらないか確認しましょう。体質によってヨーグルトでお腹を壊してしまう子もいます。そのような時は無理に与える方法を考える必要はありません。

尿路結石に注意

猫は排尿器系の病気になりやすいといわれていて、尿路結石はミネラル分を多く摂取することによって発症しやすくなります。

ヨーグルトにはミネラル分も含まれているため懸念されていますが、1日の分量を守っていれば心配するほどの含有率ではありません。

与え過ぎの肥満に注意

ヨーグルトは糖分が含まれているものもあるので、肥満にならないように気をつけましょう。猫に与える時は必ず無糖タイプを選びましょう。

毎日小さじ一杯程度なら問題はないと思いますが、猫は基本的にヨーグルトが大好きです。「太ったから」といきなり食べさせなくなると猫にとってもストレスになるので、日頃から猫の体と相談しながら与える量を調整してあげてください。

キシリトールなどの人工甘味料に注意

無糖やカロリーオフをうたう商品の中には砂糖よりもカロリーの低いキシリトールなどが含まれている可能性があります。

猫に対しての影響は詳しく分かっていないのですが、キシリトールは犬にとって非常に危険な成分で、下痢や嘔吐、重度の場合は発作や昏睡状態に陥ると考えられます。

猫にも同じ影響があるかは分かっていませんが、注意してあげて損はありません。

猫に喜ばれるヨーグルトの作り方

ヨーグルトとフルーツ

かつおぶしやフルーツと一緒に

ヨーグルトとフルーツの組み合わせは人間にとっても最高です。スイカやバナナ、メロンなどと一緒に混ぜておやつとして出してあげると嗜好性が高くなるので、食欲のないネコちゃんでも喜んで食べてくれます。ヨーグルトにかつおぶしをまぶして与える飼い主さんもいるようです。

ご飯に混ぜてあげる

普段のドライフードに少しヨーグルトをかけてあげると食いつきがよくなります。そしてヨーグルトが混ざったドライフードを噛みながら食べることで、ヨーグルトの乳酸菌も口内に残りやすくなるでしょう。

愛猫にヨーグルトで胃腸と口内ケアを

猫

ヨーグルトは与え過ぎなければ猫の胃腸、口内をケアしてくれます。体質によるところもありますが、まずは少し舐めさせるところから始めてみましょう。

舐めさせたあとで20分ほど水を飲ませないようにすると、ヨーグルトに含まれる乳酸菌が口内に止まり効果的です。ぜひ試してみてください。

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