【獣医師執筆】猫はブルーベリーを食べても大丈夫!栄養成分や与える際の注意点を解説

【獣医師執筆】猫はブルーベリーを食べても大丈夫!栄養成分や与える際の注意点を解説

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ブルーベリーは、猫が食べても大丈夫な果物です。目に良いと言われているブルーベリーですが、「猫の目に良い」という研究結果はまだ出ていないという現状です。しかし、カロリーも低くプチプチ食感も楽しめるので、おやつとして少量与えるには良い食材と言えます。今回は、ブルーベリーの栄養素や、与える際の注意点など解説します。

猫にブルーベリーを与えても大丈夫

ブルーベリー

猫にブルーベリーを与えても大丈夫です。ブルーベリーは、猫が食べてはいけない果物として有名なぶどうに似ていますが、ブドウがブドウ科であるのに対し、ブルーベリーはツツジ科。ブルーベリーに猫が中毒症状を引き起こす成分は含まれていません。

しかし、初めて食べる食べ物に対してなんの異変も起こらないとは言い切れませんので、食べさせた後は異変がないか注意して見てあげましょう。


猫が食べて大丈夫なブルーベリーの栄養成分

ブルーベリー

ブルーベリーに含まれる栄養素について見ていきましょう。

ブルーベリーの成分(100gあたり)
エネルギー(kcal) 49
たんぱく質(g) 0.5
炭水化物(g) 12.9
カリウム(mg) 70
食物繊維(g) 3.3
ビタミンC(mg) 9


主な成分は炭水化物で、食物繊維が豊富です。タンパク質や脂質も微量ですが含まれます。ビタミン類は、ビタミンCとビタミンEが多いフルーツです。

アントシアニン

ブルーベリーは、フラボノイドの一種でもあるアントシアニンが豊富です。このアントシアニンが目に良いと言われるゆえんですが、科学的に立証されたデータが十分ではないこともあり、民間療法という扱いです。

ビタミンC

人の場合は意識して摂取しなければいけないビタミンですが、健康な犬や猫は体内でビタミンCを生成できるため必須ビタミンとは言えません。しかし、抗酸化成分として加齢や運動による酸化ストレスや、関節炎などに関連する病気の予防および治療に役立ちます。

ほとんどのペットフードは十分な量が含まれていますが、病気等で肝臓での生成が十分でない場合、ビタミンCをフードに添加する必要があります。

ビタミンE

トコフェロールとも呼ばれ、抗酸化作用を持ちます。毛艶を保ったり、アンチエイジングに効果があるとされています。

猫にブルーベリーは目に良いの?

ブルーベリー

ブルーベリーがもたらす効果の研究が年々進められています。今回は、二つの研究発表を紹介します。

肝臓や肥満に効果あり

Agricultural Research Serviceが、ハムスターにブルーベリーを与えたところ、コレステロールの抑制が発見されたと発表しました。これにより、ハムスターにおいてブルーベリーは肝臓疾患や肥満の改善に効果があることが分かりました。また、それだけでなくがんの抑制も期待されるとのことです。


網膜の障害を軽減する

2017年6月にわかさ生活が慶應義塾大学との共同研究「網膜光障害に対するブルーベリーと同成分のビルベリーの神経保護効果」に関する論文を発表し、科学雑誌『PLoS One』に受理されました。研究発表によると、強い光に目がさらされると酸化ストレスが引き起こされます。

光によるストレスは、網膜色素変性の進行や加齢黄斑変性の発症など、失明疾患をき起こす原因にもつながります。光による目の網膜の障害を軽減させることを目的とし、動物(マウス)にビルベリーエキスを経口摂取させた後、光に暴露させました。

ブルーベリー

その結果、ビルベリーエキスの持つ抗酸化力にて光暴露による桿体(かんたい)視細胞、錐体(すいたい)視細胞のダメージを軽減し、視機能の保護に寄与することがわかりました。本研究の結果より、マウスにおいて過剰な光のダメージに対し、ビルベリーエキスを摂取することが目の網膜にある桿体視細胞と錐体視細胞のダメージを軽減し、視機能の保護に役立つことが示唆されたということです。


猫にブルーベリーは健康に良いの?

ブルーベリー

成分上、ローカロリーで肥満予防には良いでしょう。しかし人間と同じく、ブルーベリーの成分が猫の目に良いということはまだ科学的に立証されていません。そして、白内障に効くということもまだ科学的に立証されていません。

ただ、前述のわかさ生活の発表など、これから科学的な裏付けが行われる可能性はあります。実際にブルーベリーが入ったサプリメントも販売されています。

猫へのブルーベリーの与え方

ねこ

基本的にはブルーベリーを生で与えて上げるとよいでしょう。粒も小さくて食べやすいですが、気になる方は細かくカットして与えてあげましょう。ドライブルーベリーも問題はありませんが、砂糖がコーティングされている可能性もあるため、きちんと確認してから与えるようにしましょう。

ブルーベリーヨーグルト

猫にヨーグルトを与えるのは問題ありません。「牛乳と同じ乳製品なのに大丈夫なの?」と心配される方もいるとは思いますが、猫が牛乳によって下痢になるのは、乳糖という成分が原因です。猫の体は乳糖を分解しにくいため、乳糖不耐症の子が多いのです。

しかしヨーグルトはすでにその乳糖が分解されているため、乳糖不耐症による嘔吐や下痢を引き起こす可能性がとても低いです。ただ、市販のヨーグルトは糖分が多く含まれますので、ブルーベリーヨーグルトを与える場合は、無糖のヨーグルトにブルーベリーの実をトッピングして与えてあげるとよいでしょう。

ブルーベリージャム

ブルーベリージャムを与える場合は、手作りで無糖で与えてあげましょう。市販のジャムは、多くの糖分が含まれていますので、健康に悪影響を及ぼします。

冷凍ブルーベリー

冷凍ブルーベリーは、夏の暑い季節には体を冷やすのによいでしょう。ただし、お腹を壊して下痢になる可能性があるため、与え過ぎには注意です。

猫にブルーベリーを与える際の注意点

ブルーベリー

前提として、猫は総合栄養食のごはんを食べていれば、それ以外は与える必要はありません。

おやつとして与える場合は、1日の最適カロリー量の10%以内にしてください。毎日の最適カロリー量はペトコトフーズの「カロリー計算」(無料)で簡単に計算することができます。

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アレルギー

食物アレルギーには、生まれつきの体質による先天性アレルギーと、長い期間同じ食材を食べることで発症する後天性アレルギーがあります。

初めて食べる食材を与える際は少量からスタートさせてあげましょう。アレルギーには以下の症状になる可能性が挙げられます。

  • 下痢
  • 嘔吐
  • 皮膚の痒み
  • 元気がない
  • 目の充血

上記のような症状があれば、すぐにかかりつけの獣医師に相談しましょう。一方で、アレルギーテストで陽性が出たから食べられないと思う飼い主さんも多いですが、それは間違いです。症状が出ていなければ食べさせても問題ありませんので、特定の食材を食べさせてアレルギー反応が出るか確認してみてください。


猫にブルーベリーはおやつ程度に

ねこ

最終的には愛猫の健康は飼い主さん次第です。そのため、きちんと正しい情報を理解した上で、愛猫がずっと健康で長生きできるように大切に育ててあげてください!

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