猫の耳が臭い!耳垢の色や状態による原因、対処法などを獣医師が解説
猫の耳を嗅ぐと、なんだか生ぐさいような匂いがすることはありませんか? 耳が臭い原因は、耳自体が化膿してしまうケースや、大量にたまってしまった耳垢が原因です。いわゆる「外耳炎」や「中耳炎」であることが多いです。耳垢の種類により、原因が異なるためさまざまな病気の可能性があります。それぞれ主な症状と原因について、 獣医循環器認定医の佐藤が解説します。
猫の耳が臭い場合に考えられる原因と病気
猫の耳が臭い場合、原因として以下の4つが考えられます。
- 真菌(カビ)感染
- 細菌感染
- 耳ダニ
- アレルギー
- 怪我
真菌(カビ)感染
黒色の油っぽいベタッとした耳垢が特徴的で、また匂いも生ぐさい匂いがする場合が多いです。真菌と呼ばれる菌が大量に繁殖し外耳炎になると、外耳道が赤く腫れて痒くなります。そのまま放っておくと中耳炎や内耳炎を引き起こすことがあるので、注意しましょう。
細菌感染
黄色や薄緑色の膿のような耳垢が特徴で、ツーンとする悪臭を伴うことが多いです。細菌が大量に繁殖し外耳炎になると、真菌と同様に赤く腫れて痒みが出ます。真菌感染より感染する可能性は少ないですが、真菌と細菌の混合感染の可能性もあります。もともと真菌や細菌が単独で大量繁殖をした状態が長期化することで、この混合感染が起こります。
混合感染の場合は比較的黒色の耳垢が出ます。匂いは真菌と細菌が混ざったような匂いであり、そして痒みもひどく、耳の奥の前庭部分に悪影響を及ぼすことがあります。
耳ダニ
少しパサついた黒色の耳垢が大量に取れること、また痒みが激しいことが特徴的です。痒みにより外傷が起こり、細菌などの二次感染を伴うことがあります。アレルギー
根本に何かしらのアレルギー体質が隠れていると、粘膜などのバリアが弱まり真菌や細菌感染を起こしやすくなります。そして、頻繁に外耳炎を繰り返すことが知られています。ですので匂いに関しては感染原因によって異なります。
怪我
多頭飼いで他の猫とじゃれ合った際に耳の中を傷つけてしまい、そこからかさぶたになって匂いを放つ場合もあります。グジュグジュしたりしていなければ自然とかさぶたが取れるので心配しなくても良いでしょう。ただ、グジュグジュしていて固まらない、悪臭を放っている場合は動物病院で診てもらったほうが安心です。
真菌・細菌・耳ダニに感染する理由
完全室内飼いの猫でも真菌・細菌に感染するのはなぜでしょうか。常在菌が大量繁殖し、それによって耳の中の環境が湿り、免疫が下がり、さらに大量繁殖をすることから起こります。
湿度が高すぎたり、ストレスによって免疫が下がっていたり……大量繁殖を引き起こす理由はさまざまです。
耳ダニに関しては、外にいる猫を触った手で愛猫を触ってしまったり多頭飼いの他の猫からもらったりして感染します。
猫の耳が臭いときの対処法
病院で処方してもらった点耳薬でケアすることが1番です。その他、患部を清潔に保つためにも、猫の耳掃除をしてあげてください。ウェットティッシュで軽く耳周りを拭いてあげるなど、常に清潔に保ちましょう。
その際に水を流し入れるなどは絶対にしないでください。さらに悪化させてしまう可能性があります。
そして、耳を痒がっている様子がないか、頭を変に振ったりしていないかなど、普段から気をつけて見てあげましょう。異常に気づいたら、症状が軽いうちに病院で診てもらうようにしましょう。
また、猫種によっても外耳炎になりやすい猫種がいます。垂れ耳の猫や耳道が狭い猫(スコティッシュなど)は2週間に1度の定期洗浄が必要な場合もあるため、飼い猫の状態を把握しキレイに保つことを心がけましょう。
耳ダニは病院の適切な治療により、早めに治ることが多いですが、真菌・細菌やアレルギーは長く付き合うことがあります。
猫の耳が臭い場合は冷静な応急処置が大切です
ペットが健康な状態を維持するためには、獣医師が最善の治療をすることはもちろん、飼い主の皆さんがペットの異変を察知することが必要です。
しかし、動物の病気を判断することはとても難しいことです。ペットへの知識を増やせば、最悪の事態を防ぐ手助けになることは間違いありません。
気づいた点があれば早めに病院に相談にいきましょう。何事も早期発見・早期治療がその子のためになります。