犬がしゃっくりをする原因や対処法を獣医師が解説

犬がしゃっくりをする原因や対処法を獣医師が解説

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犬もしゃっくりをすることがあります。一見可愛らしい姿ですが、不安に思う飼い主さんもいるかと思います。「犬のしゃっくりは止めてあげた方がいい?」「犬のしゃっくりに止め方はある?」「動物病院に連れていくべき?」など、初めて愛犬のしゃっくりを見たときは考えが浮かぶはず。今回は犬のしゃっくりについて野坂獣医科院長の野坂が解説します。

症状 しゃっくり(横隔膜などの筋肉が痙攣し、同時に急激な声門の閉塞を伴うこと)
原因 科学的に解明されていませんが、ご飯や心身の病気に関連していると考えられています。
危険度 低~高。生理現象の一つなので、病気の可能性は低いこともありますが、先天的な疾患や後天的な病気が原因として疑われる場合もあります。頻発するようであれば一度動物病院で診てもらいましょう。

犬のしゃっくりとは

しゃっくりをする犬の動画

犬も人と同様にしゃっくりをします。しゃっくりは、何らかの原因によって横隔膜などの筋肉が痙攣し、同時に急激な声門の閉塞を伴うため、「ヒック」という音が発生します。それが一定間隔繰り返される現象をしゃっくりといいます。

犬のしゃっくりの原因

パグ

横隔神経や迷走神経、呼吸中枢などが刺激された場合にしゃっくりを起こすことがあります。その原因は明らかになってはいませんが、ご飯や心身の病気に関連していると考えられています。ご飯を早食いしたり、ごはんが合っていなかったり、ストレスや不安などの心の問題や体の病気があったりすると起こるそうです。

子犬の場合、横隔神経と横隔膜が未熟であるためしゃっくりを起こすとも言われています。初めて子犬を迎えたばかりの場合、不安に感じたら一人で考えずに動物病院で相談を受けましょう。

食事が原因の場合

よくしゃっくりを起こす場合は、愛犬にご飯を与えるときに以下の様子がないか確認してみてください。

  • 早食い、ご飯を食べるスピードが早くないか。
  • ご飯の量が多い、食べすぎや飲みすぎではないか。
  • ご飯と一緒に空気も飲み込むような食べ方をしていないか。
  • 冷たいものや寒冷地で胃や体を冷やしてないか。

疲労や心労、ストレスが原因

疲労や心労、ストレスが原因で交感神経が過剰に緊張した場合にも起こることがあるので、緊張を和らげる方法を探してあげましょう。

子犬が新しい環境に来たときは、生活環境が変化し、ストレスや不安を感じることも多いため、怖がっていたり怯えていたりしてないか気にかけてあげましょう。病気が原因の時もあります。次の項目で危険なしゃっくりとの見分け方について記載しています。

しゃっくりのような症状が出る病気

先天的・後天的な病気が原因で、横隔神経や迷走神経、呼吸中枢などが刺激されたり、胃腸障害や脳の病気、循環器疾患、寄生虫感染などが疑われる場合もあります。短時間ですぐ止まる場合は問題ありませんが、長時間継続したときや、咳やくしゃみ、嘔吐を併発しているなど、いつもと違う感じがした場合は早めに動物病院へ行きましょう。

しゃっくりのような痙攣

脳神経に障害があるとしゃっくりが長時間継続したり、痙攣を伴ったりします。脳腫瘍やてんかんが疑われますので、なるべく早く動物病院へ行くようにしてください。飼い主さんも冷静になれないとは思いますが、その様子を動画で撮影することで病院での診察をスムーズに行えるようになります。

しゃっくりのような咳・呼吸

しゃっくりのような咳のような症状として、「逆くしゃみ」があります。発作的に喉の奥だけで苦しそうな呼吸を行いますが、1〜3分程度で自然に治ります。腫瘍や炎症、異物などが原因の場合は治療を行いますが、原因を特定することが難しく慢性的に続くことも少なくありません。詳しくは以下の関連記事もご覧ください。


犬のしゃっくりの止め方

犬

しゃっくりの原因が先天的な疾患や後天的な病気ではないことが明らかな場合に限り、おすすめの止め方は以下の3通りあります。

  • 犬の背中や胸をゆっくりとさすってみましょう。
  • 飼い主さんの指に水を少しだけつけて、舐めさせてみましょう。
  • 部屋が寒いのであれば、暖かくしてあげましょう。
舐める動作をしているうちに自然と止まる場合があります。人間のように犬をびっくりさせたり、無理に水を飲ませたりフードを食べさせたりすることはあまりお勧めできません。上手にできず、犬と飼い主さんの関係性が悪くなることがあるためです。

しゃっくりをしている最中に水を飲ませたり、フードを食べさせたりすることが原因で、しゃっくりと同時にフードや水が気管に入ってしまい、誤嚥性肺炎(※)のきっかけになるかもしれません。自己流の止め方はやめましょう。

※誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん):水や食べ物などが誤嚥により肺に入ってしまい、細菌が繁殖して肺に炎症が起きること。

その他対策

しゃっくりの原因をいくつかご紹介しましたが、しゃっくりの原因はフードが関係していることもあるので、フードの与え方を見直してましょう。フードを食べるときだけしゃっくりが出る場合は、フードをゆっくり食べてもらう工夫をしてみましょう。急いで食べることやご飯と一緒に空気も飲み込んでいることが原因になることがあります。

また、フードや水の量が適正でない場合や、フードが冷たい場合、飼育環境が寒くて体温が低くなっている場合もしゃっくりが起こることもあるので、フードの見直しも重要です。その他、疲労や心労、ストレスが原因のこともあります。生活環境の見直しもしてみましょう。

最後にしゃっくりの原因が、先天的な疾患や後天的な病気の恐れがある場合は、動物病院へ連れて行って相談しましょう。

犬もしゃっくりをします

笑顔の犬

犬も人と同様にしゃっくりをします。病気の可能性は低いですが、しゃっくりが毎日出る・長時間続くときや、咳やくしゃみ、嘔吐を伴う場合は要注意です。それに対して、フードの種類や与え方、飼育環境などを注意深く観察し、改善することでしゃっくりが治ることもあります。病気かどうか悩む場合には、動物病院へ連れて行って相談しましょう。

参考文献