犬にとってあじさいは危険!中毒症状や食べた場合の対処法を解説
梅雨の時期の植物といえばあじさい(紫陽花)ですよね。私たち日本人にとって身近な植物で愛犬とのお散歩などで見かけることも多いのではないでしょうか。街を彩る美しいあじさいですが、毒を持つ注意が必要な植物としても知られています。犬にとってはどのような危険があるのでしょうか。今回はあじさいが持つ毒の危険性を中心に紹介します。
あじさいとは
あじさいは漢字で書くと「紫陽花」で、唐の詩人「白居易」の漢詩に由来します。漢字の通り紫の花を咲かせる植物だと考えている方も多いと思いますが、実は花のように見える部分はガクです。
ガクは花を包み保護する役割を担うために葉が変形したもので、実際のあじさいの花はこの内側に小さく咲いています。この記事で花という表記がある際にはこの部分を指しています。
余談ですが、白居易はもともと別の花(ライラックではないかとされています)を指して「紫陽花」と記したのですが、日本では源順という平安時代の学者が誤って別の植物を「紫陽花」と紹介したため、現在の表記で定着したそうです。
開花時期
あじさいの葉は冬の終わりに芽吹き始め、花は5月から7月にかけて開花します。雨に強く丈夫な葉と色鮮やかな花をつけることから、梅雨時期の花の代名詞となっています。秋から冬にかけて枯れたようにも見えますが、根と枝は次の季節へと準備をしています。
種類
日本原産の「ガクアジサイ」「ホンアジサイ」と呼ばれる品種は街路樹としてもよく見られる品種で、花の周りに大きな四角いガクがついているのが特徴です。一方で近年は西洋から逆輸入した品種も多く流通しており、「ダンスパーティー」と呼ばれる品種のように一見あじさいには見えないタイプのものもあります。
犬にとってあじさいは危険
犬があじさいを食べたことで食中毒症状を起こしたという事例が数多く報告されています。
肌への接触が有害であるという明確なデータは今のところ公式に発表されていないため、本稿ではあじさいを食べる危険性について紹介します。
毒性
一般的には、あじさいの「根」「蕾(つぼみ)」「葉」に含まれる青酸配糖体(アミグダリン)という物質が中毒の原因だと考えられています。この青酸配糖体自体に毒性はないものの、動物が食べると消化の際に出される酵素に反応して猛毒のシアン化水素が発生し、中毒症状を引き起こします。
青酸配糖体は梅やアーモンド、モモなどにも含まれます。
ただ、厚生労働省はあじさいの品種によっては青酸配糖体が含まれないものもあり、毒性成分は明らかにはなっていないとしています。
いずれにしても料理の飾りとして出たあじさいの葉を食べた客が食中毒を起こしたという事例が報告されていますので、動物にとって注意すべき植物であることに変わりはありません。
特に土を掘ることが好きな犬の場合、根を掘り出して食べてしまう可能性もあります。もし庭など犬が自由に行動できる場所にあじさいがある場合は、まだ葉をつけていない季節や花が咲いていない時期でも十分な注意が必要です。
※参照:「自然毒のリスクプロファイル:高等植物:アジサイ」(厚生労働省)、「アジサイの喫食による青酸食中毒について」(鳥取県生活環境部)
症状
犬が毒性のある部分を食べてしまった場合、ふらつきや興奮、過呼吸、嘔吐、痙攣、麻痺などさまざまな症状が見られます。毒を持つその他の身近な植物
あじさいだけでなく、ヒガンバナやスズラン、オナモミ、スイセンなども犬が間違って食べると危険な植物です。また、ユリやチューリップなどの球根類も犬が食べてしまうと中毒症状を起こす植物なので、芽が出ていなくても庭やプランターに植えた記憶がある方は、愛犬が掘り出してしまう前に確認するようにしてください。
犬があじさいを食べてしまったら
まずは動物病院へ
症状の有無に関わらず、まずは動物病院へ連絡してください。食べた量や時間、症状によってその場での応急処置が可能な場合もあります。獣医さんの指示に従ってください。
実際に診察を受ける際には、可能であれば食べたものと同じ株から枝などを持って行けると診察の参考になる場合があります。可能な限りの情報を伝えられるようにしてください。
応急処置
まずは口や足の周りについた残りの毒をさらに舐めてしまわないように、水でよく洗い流してください。状態によっては吐かせることができると症状が重篤化するのをくい止めることもできますが、慣れない対処は逆効果になる場合もあります。
無理はせず、動物病院へ連絡して獣医師の指示を仰ぐことを優先してください。
犬の誤飲事故を防ぐために
愛犬が誤ってあじさい食べてしまわないように、以下の項目ができているか確認しましょう。
危険な環境になっていないか確認する
あじさいを庭やプランターに植えている場合は、可能であれば犬が届かない場所へ移動させましょう。サイズが大きいなどの理由から移動させることが難しい場合は、フェンスをつけるなど、犬が近付けないように対策をしてください。また、その場所で愛犬を遊ばせる際には目を離さないようにしましょう。
しつけをする
普段からしつけをしておくことで事故を防ぐことができます。散歩中のしつけ
散歩中、犬の思いのまま歩かせるのは危険です。つねに目と手の届くところ、飼い主の横を歩けるようにしつけをしておくのが理想的です。コマンドを使ったしつけ
口に入れたものをコマンドで口から出すことができるようにしておきましょう。犬が食べ物だと思って口に入れている場合は難易度が高くなりますが、粘り強く訓練してみてください。拾い食いをした際に重要な役割を担うコマンドです。
散歩コースを変える
犬が散歩であじさいの株に興味をもっている様子が見られる場合には、散歩コースを変えたほうがいいかもしれません。単純にほかの犬の匂いがしてそれを嗅いでいるだけかもしれませんが、万が一の事故を防げる方法があるならばその方法を選ぶに越したことはありません。
愛犬とあじさいを楽しむために
あじさいが毒性を持っているからといって愛犬と一緒にあじさいを楽しめないのは、少し寂しい気もしますよね。基本的には食べなければ問題がないため、リードでコントロールしながら一定の距離を置いて散歩をすれば神経質になりすぎる必要はありません。
また、愛犬と一緒にあじさいの名所を訪れる場合は多くの人で混雑していることも考えられますので、抱っこして鑑賞するといいでしょう。
抱っこができないサイズの犬はカートに乗せるなどの工夫で、あじさいの誤食と人混みの中を歩く危険を避けることができます。
ぜひ梅雨の間も四季の移り変わりに触れながら、安全に愛犬との散歩を楽しんでください。
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