新型コロナウイルスは犬や猫にも感染する? 獣医伝染病の専門家が緊急セミナーを開催
中国・武漢から感染が世界中に拡大している「新型コロナウイルス」。さまざまな情報が飛び交っており、「愛犬・愛猫は大丈夫なの?」と不安に思っているペットの飼い主さんも多いはず。そこで、北里大学獣医学部が20日(木)に開催した緊急セミナーの内容を紹介します。講師は獣医伝染病学の専門家である髙野友美同大准教授が務めました。
犬や猫に新型コロナウイルスは感染する?
結論から先にお伝えすると、これまで新型コロナウイルスが犬や猫に感染した事例は報告されていないため、現時点で新型コロナウイルスは犬や愛猫に感染しないと考えられています。しかしウイルスは変異する可能性があり、100%感染しないとは言い切れません。
愛犬・愛猫への感染を過剰に心配する必要はありませんが、飼い主さんの健康は愛犬・愛猫のQOL(生活の質)に影響します。適切な予防法を身に付けて、「適度に怖がること」が大切です。
なぜ犬や猫に感染しないのか
ウイルスは表面に「鍵」(スパイクタンパク質)を持ち、細胞にある「鍵穴」(ウイルスレセプター)にその鍵をはめることで吸着・侵入して感染します。人に感染できるウイルスは鍵穴が違う別の動物には感染することができないため、例えばネココロナウイルス(ネコ伝染性腹膜炎)が人に感染することはありません。
ただし、コロナウイルスの一種である「SARS」がコウモリ、もしくはハクビシン、イタチアナグマなどの野生動物から人に感染したように、種を越えて感染する可能性はゼロではありません。
新型コロナウイルスの予防・消毒方法
基本的な予防方法としては以下の5点が挙げられます。
- 感染者との濃厚接触を避ける(人混みに行かない)。
- 「手洗い」をしていない手で、目、鼻、口を触らない。
- 体調が悪いときは家にいる。
- 咳やくしゃみの症状がある人はマスクをする。マスクがない場合はハンカチ、ティッシュで鼻と口を覆う。
- 人混みに行くときはマスクを着用する。
消毒方法
消毒薬に対する新型コロナウイルスへの影響はまだ研究されていませんが、これまでのコロナウイルスの研究から、「62〜71%のエタノール」「0.5%の過酸化水素」「0.1%の次亜塩素酸ナトリウム」が新型コロナウイルスの消毒に有効であると報告されています。こんな症状は要注意!
次の症状がある方は厚生労働省の「帰国者・接触者相談センター」に速やかに電話しましょう。- 「風邪」の症状、4日以上の発熱(37.5℃以上、解熱剤を飲み続けざるを得ない状態)
- 強いだるさと息苦しさ
以下の方に該当する場合は上記1、2の状態が2日続いたら電話することをおすすめします。
- 65歳以上
- 糖尿病、心不全または呼吸器疾患といった基礎疾患がある
- 免疫抑制剤、抗がん剤を用いている
- 妊婦
上記以外にも、新型コロナウイルス感染者(もしくは感染疑いの人)と濃厚接触(目安:2m以内で30分以上の会話など)した方は速やかに電話しましょう。
適度に怖がりましょう
すでに世界で30000人以上感染が確認されている中で、犬や猫へ感染した報告はありません。そのため、今現在は感染する恐れはないとされています。
ただ、新型コロナウイルスの動向はまだまだ研究途中で、不明な部分が多いのが現状です。これからコロナウイルスの突然変異で犬猫にも感染してしまう、ということがあるかもしれません。
愛犬・愛猫のために、飼い主さんも今できること、予防できることは予防していきたいですね。